政治家ってタチが悪い
「日本の自衛隊の手にかかり、たくさんの中国人冒険者が死んだ。日本は責任を取るべきだ」
かなりふざけた中国政府の声明に、日本政府は
「私どもが対処したのは、ダンジョンで力をつけた強盗です。冒険者ではありません。
自衛隊はその名が示すように、自衛を行っただけです。これについてはそちらも許可を出したでしょう?
問題は、どうして強盗団が自衛隊が貴重なドロップアイテムを持っていると知ったかではありませんか? もちろん我々は、一切の情報を漏らしていません」
と返答し、むしろ中国政府が強盗団を唆し、けしかけたのではないかと疑ってかかった。
自衛隊の潔白は、防衛していたタイタンの記録データ全てを国連所属の各国で共有し、証明されている。
多数のデータが矛盾しないよう偽造をするのは難しく、現実的ではないと考えられたからだ。
データに改竄の跡が無い以上、日本政府の言い分を否定する要素はない。
中国政府のおもらしについても、ネット上の反応をみる限り、クロっぽい。
これは調査中だから、そのうち結論が出る。
結論が一般に公開されるかどうかは知らないけどね。
基本的に全滅させていた事については、ちょっと難しい対応となる。
冒険者を生かして捕らえるのはハイリスクなので、仕方がないというのが一般的な見解。
しかし自衛隊の実力なら捕縛も可能だった。
ただ、捕縛すればその分の人員を割く必要があり、いずれ破綻する。
だったら捕縛はしない、現場で処理すると決めた自衛隊は、何も悪くない。
それに元々中国政府の許可はもらっていたんだし、そうすると宣言してあったし。なんでこんなことを言い出したか理解できないレベル。
それを理解しない一部の人間は、それでも自衛隊を責めているけどね。
それはごく少数かつ、周囲の反論に叩き潰されているよ。
「だったらお前がどうにかしろ」の精神である。
事前の取り決めを無視して日本に集ろうとした中国政府が周囲から叩かれまくっている。
特に叩いているのが同じ中国を冠する連中で、欧州のバックアップを受けたもう一つの中国政府だ。
中国が領土の大半を放棄した後、共産党を討つべく立ち上がった集団のうち、北京ではなく香港を本拠とする人たちである。
彼らは自分達が主流派になり、今後、優位に立ちたいがために、全力で足を引っ張っている。
共産党を打破するために立ち上がった同志だろうと、目的を果たした後はただの蹴落とすライバル。
権利というパイを独占するため、他国民より身内の方が直に接するというのもあり、非難する声が強い。
欧米がそれぞれの支援者を立てているのは、こういった事態に陥ったとき、中国人同士で互いに潰し合うからだ。
もちろん彼らは欧米の代理戦争に使われているだけ、これが連中の作戦と理解しているだろうが、それでも従うしかない。
今の中国に独立独歩の芯はなく、助力があって成り立っている。
何より、権力者になる野心を捨てきれなければ、捨てたところで部下に謀殺されるだけと分かっている。
だったら野心を捨てずに修羅の道を邁進するしかない。
悪魔の契約は、一度でも応じてしまえば地獄に堕ちるだけである。
欧米の口車に乗ってしまった中国の両政府の主席は、永遠に操り人形なんだろうな。
きっと、死んでも何かの口実に利用されるだけだから。
政治家って、本当にタチが悪いと思うよ。
俺は直接関わりたくないなぁ。
無理だけど。




