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内モンゴル自治区②

 淡島一尉。

 ラスダンでは一緒に攻略を行った、自衛隊の隊長さんである。

 あの時はバトルクロスを使い、二人の仲間と十二体のタイタンを率いていたよ。


「その、現在は降格処分を受けて、二尉になりました。隊も解散しまして……」

「その、ええと……」

「お気になさらず。仕方の無いことと受け止めていますので」


 訂正。淡島二尉。

 ラスダンの一件で降格処分をくらった、元隊長さんだ。

 そして、今は部下無しの兵隊である。



「ははっ。以前の事を考える時間も無いほど、今は忙しいので。

 一文字さんに協力して頂け、心から助かったと感謝しております」


 ラスダンでは最後、俺たちとはほぼ別行動だったが、それでもあの巨人と交戦経験のある人として、この地に連れてこられた。

 現在はモンスターの間引きや浅めのダンジョン攻略に駆り出されている。

 淡島二尉はラスダンに行けるほど強いので、こちらではトップエースとしてこき使われているという。


 あの時の経験を引きずってはいないか心配だったが、淡島二尉は(・・・・・)大丈夫だったようだ。

 あの時に死んでいた二人のうち片方は蘇生が間に合ったようだが、そちらはトラウマ以前に身体に障害が残ってしまった。

 自身が死にかけ障害が残り、さらに同僚を亡くした事で現役復帰は不可能だという。


 そうなると形式的にも対外的にも淡島二尉に罰を与えないわけにはいかず、降格をしたけど、すぐに元の立場に復帰することになりそうだ。

 バトルクロスも個人用にレベルアップしているので、他の誰かに貸し出すなんてできないので、そのまま淡島二尉が使っている。

 ここなら戦果を上げ評価される機会も多いので、一尉に戻る日も近いだろう。


 元部下二人やその家族がそんな甘い処罰に納得してくれるかどうかは、考慮できなかった。

 されないのではなく、できない。


 麻薬関連の事で激昂するのは問題だが、それでも人格にあまり問題の無い、戦力になりうる実力者を遊ばせておくほど、自衛隊に余裕はないのだ。

 なにしろ。


「現在、近辺のダンジョン攻略は一割です。

 現地の協力者もあまり役に立ちませんし、例の巨人が出現しないようにするための条件を満たすのに、最低でも半年は必要だろうというのが、自衛隊の見解です」

「淡島二尉が加わって、それですか……」

「情けない話ですが、地上のモンスターを掃討する必要があるので、ダンジョンを攻略していく戦力がどうしても足りません」


 この内モンゴル自治区だけでも多数のダンジョンがあり、推定ラスダンとその周辺に限っても、完全解放などは夢のまた夢。

 そんな妄想じみた話は横に置き、せめて推定ラスダンとその周辺のダンジョンを攻略し巨人を封じ込められればいいと妥協して、半年はかかるだろうと言われているからだ。


 そりゃ、使えそうな戦力は投入するだろう。

 「焼け石に水」は無駄な事の例えだが、かける水の量次第では無駄にならないので、水を増やしていくだろう。





 俺は今回、最大一ヶ月間に限って協力する手はずだ。

 その間に現れる巨人の処分はするし、ラスダンも再攻略するよ。


 だが、その後のラスダン攻略マニュアルを作り、自衛隊だけで、更に言うなら中国の冒険者だけでどうにかできるようにしてもらわないと、話にならない。


 淡島二尉には悪いけど、是非頑張って欲しいな。

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