総力戦①
巨人のとどめを刺すと、再び巨人がリスポーンする。
リスポーンしたのは少し離れた場所だが、そこにはタイタンたちが待ち伏せしている。
要するに。
「リスキル祭りだっ!」
これは冗談で、やるべきは、リスポーンを止めること。
どこかのカードゲーマーな社長も言っている。「無限などまやかしに過ぎん」と。
以前の復活するロボが止められたのだから、こいつのリスポーンを止める何かしらの方法があるはず。
場所の特定が終わっているのだし、あとはこの目で復活のシーンでも見れば、ヒントの一つや二つを得られるはずだ。
確証の無い「はず」ばかりだが、未知に挑む「冒険」なんて、そんなものだろ。
絶対に逃げられないほど酷い状況でもないし、最悪は淡島一尉を確保し、ダンジョンから出ればいい。
やるべきことははっきりしている。
今は深刻ぶって身動きできなくなるより、前に進もう。
そんなわけで、タイタンたちが特定したリスポーン地点に来てみると。
「巨人が10体、だと……」
「なんか増えてるー!?」
「クローン? コピー?」
「エ〇ンはいないよ!?」
なぜか増殖している、鎧とハンマーを装備した巨顔の巨人が10体と。
それを相手に防戦一方のタイタンの姿であった。
「あぁ、はいはい。かくかくしかじかね」
状況が掴めなかったため、タイタンとデータリンクを行い、何があったのかを把握した。
すでに破壊済みだが、ここにはストーンヘンジっぽい、石の環状建築物があったようだ。
俺たちが戦っていた巨人を殺した直後、その石の環から巨人が出てこようとしたため、タイタンは巨人のリスキルをしつつ、石の環の破壊を行った。
石の環は石の耐久力しかなかったようで、破壊そのものはあっさり終わった。
そうすると、石の環を破壊した仕返しだろうか。石の環を構成していた12本の柱と同じ、12体の巨人が出現。
うち2体は出現中に殺しきったが、残る10体が戦闘態勢に入ってしまったため戦力的に押され、現状に至る。
なお、俺たちはもとより巨人も某ライダーさんではないので、出現中とか変身中などという隙を見せてくれたのから、そこを攻撃するのは礼儀である。
そう。特撮ヒーローや魔法少女の変身バンクとか、どう考えても「ここで攻撃すれば倒せるよ!」と言っているのと同じなのだ。
本当に戦う気があるなら、変身は敵の前でやらず事前にしておき、戦闘モードに入ってから敵の前に出よう。
冒険者のお兄さんとの約束だよ。
状況は分かった。
リスポーンアンカーを破壊し、12体の巨人が現れ、2体を倒し、追加は無い。
つまり、この場にいる10体を倒せばおしまい。
敵戦力はこれまでで最大だが、“これぐらいなら”勝てないとは言わない。
敵の数は多いが、タイタンたちの情報通りなら、こいつらは連携ができていないからだ。
数の多さは脅威だが、連携が無い烏合の衆であれば、戦力評価は大きく下がる。
それに数はこちらが上で、連携もできる。
だから個々の強さが絶対の差ではない事を証明すればいい。
「じゃあ、終わらせようか」
景気づけに、近くの巨人の横っ面を蹴り飛ばし。
俺たちは戦闘を開始した。




