表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
465/528

分裂・分解②

 俺たちが冒険者を拾ったのは、環境が変わってから五日目、今から二晩ほど前の出来事である。

 そして昨日の夕方には淡島一尉と冒険者の一人がもめ事を起こし、場の雰囲気は最悪に。


 馬鹿な発言者をした冒険者とそれを庇う姿勢を見せたお仲間さんのグループとそれ以外の冒険者の間に深い溝が出来てしまった。

 こうなるともう、パーティ崩壊は目に見えている。


 あとは淡島一尉と部下二人の関係にもヒビが入った。

 感情任せに民間人――冒険者は一応でも民間人の括りとなる――を殴り飛ばしたのは、自衛隊隊員としての自覚に欠けると見られるからである。

 一連の映像があるので、ダンジョンから出たら淡島一尉が隊長の任を解かれるのは間違いない。


 たった一日半の間になぜこうなったのかと、頭を抱えたくなる。

 他人事だと思いたいけど、ここからあと約二日は同行予定なので、俺は朝から気が重い。

 見捨ててしまえばいい。ここから単独で、俺たちは俺たちだけで帰ると言えれば良いのだろうが、そこまで薄情にはなれなかった。


 「部外者が口を挟むな」って言われそうだけど、身内だけだと問題が悪化するケースもあるし。ここは部外者がお節介をするべき場面だと思う。

 「余計なことを」とか言われようと、繋がった縁を悪縁にしないよう、介入させてもらうよ。

 これは(俺は)紛争(マイスター)じゃないけどね。





「って事で、タイタンはすぐにラスダン投入は出来ないんだ。買ってくれた人も、他の冒険者を使って鍛えさせているよ。

 まぁ、契約した冒険者は自分で金を出さずにタイタンを使えるし、買った人は手間無くタイタンを鍛えられるし。どっちにとってもいい話だと思うよ」

「初期費用は購入分だけ、俺らなら出せないほどの額でもない。

 けど、バトルクロスは無理かー」

「仕方がないですね、自分の魔力に馴染ませないといけないから。動きも学習させないといけないし。

 その苦労の分だけ、使えるレベルになると強いですけどね」

「うーん。将来性に期待して、ちょっと頑張るかぁ」


 移動中の会話が減った分は、こちらから話を振って場の雰囲気を良くする。

 会話がないといつまで経っても空気が悪いままだし、それどころか悪化する恐れもある。


 幸いと言っては何だが、こちらは「ロボを売り込む」というカードを持っている。

 会話の糸口としては悪くない。



 ……この話題の欠点として、パーティ崩壊を加速させていることか。

 ロボにより少数パーティが成立するようになると、仲の悪いパーティメンバーと別れてもやっていけるからな。


 普通はダンジョンにソロで挑まないし。大人数の方が安定する。

 だから仲間とちょっと仲が悪くても、ダンジョン難易度に伴う収入やパーティの戦力を考えて別れたりしないからね。


 仕事なんだし、人間関係も致命的じゃ無きゃ、ちょっとぐらい我慢する。

 そうしないと、仕事が成り立たず、収入が安定しないからだ。


 ロボはその辺の問題が発生しないので、人間だけで完結しなくていいなら楽なのである。

 投資が必要でも数年で回収できる可能性が高いとあれば、導入する人も増えそうだ。


 そして、パーティが分裂していくと。

 一般企業じゃ転職への偏見もなくなりつつあり我慢しなくていい環境って整いつつあるけど、冒険者も同じ事になりそうだ。

 それが良いことか悪いことかは、俺が考えることじゃないからな。

 冒険者だけ我慢を強いられるとか、さすがにそれはおかしいもんな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 戦力が維持された状態で全国に拡散すると考えれば ダンジョンの間引き事情を考えても悪くはないのでは? 引退したあとも鍛えたタイタンならリースでそれなりの収入は見込めるし ある程度の不人気ダン…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ