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撤退戦②

 1時間ほどで、目の前に居るモンスターは全滅した。


「お疲れ様でした」

「いやはや。疲れましたね」

「ドロップの回収、終わりました!」

「では、すぐに撤退しましょう」


 今回は一緒に居た自衛官さんたちが活躍し、敵を倒すだけなら負担は小さかったのに、結構疲れてしまった。

 それはどうしてかというと、モンスターが一度に襲ってこず、波状攻撃を仕掛けてきたからだ。


 レドームで敵の位置が分かっていると、攻めに行くのを考えてしまうぐらい離れたところにモンスターがいるのも分かる。

 近くに敵が居ると警戒を解けず、まともに休憩する事が出来ない。精々、呼吸を整えるぐらいだろう。

 意識が戦闘モードというか緊張状態だと、どうしても休憩の質は下がるのだ。


 だからと言って下手に人員を後ろに下げ、ちゃんと休ませようとすると、今度はその隙を突いて襲ってくる。

 休憩する人を襲うように動いてくるので、守る側の負担が大きくなる。

 それぐらいなら、全員で戦った方がマシだ。

 後半はこちらが休憩する人員を出したように見せてわざと襲いかかってくるように仕向けたので、悪い事だけでもなかったけどね。



 もっとも、俺は1時間程度の戦闘ではビクともしないし、まだ余力十分だ。


 自衛官の人らも、本来のコンディションなら耐えられた筈なんだけど、ここまでの行軍で疲れていたし。あと少しで休めると思っていたところで環境が変わり、未知モンスターを相手にしたから負担が大きかったんだろう。

 ここに来るまでの間、通常のモンスターを相手にした時は大丈夫だったからね。

 そうでもなければ、プロの戦闘職がここまで苦戦はしないのである。





 温かい飲み物を口にしながら、移動をする。


 バトルクロスは、脱がなくても何かを飲むぐらいは出来るようにしてある。

 こういった環境で脱げなくなる可能性も考えたし、長時間の戦闘で汗を流しすぎた時に脱水症状になる事も考えられるからだ。


 あんまり使う気のない機能だけど、血管に薬物を注射し、意識を強制的に覚醒させるという事も出来るよ。

 医薬品を扱う都合上、手続きとかがメチャクチャ大変だった。


 他にも軽い電気ショックによる気付けも必要だと思ったから用意したけど、こういう装置の出番はない方が嬉しいな。

 気絶したり意識が朦朧とするような戦闘を望むほど、こちらはバトルジャンキーではないので。

 安全に戦えるなら、その方がありがたい。


 うん。そういう状況にならない方がありがたいんだけど……


「つうっ!」

「……はぁ。ここらで一回、休憩をしましょう。薬の出番は、まだ先にしたいので。

 周辺の警戒などは、俺がやります。お三方は先に寝てください」

「冒険者とは言え、民間人に頼るようで、面目ない。お願いできるか?」

「ええ。ですが、後でこちらも2時間ほど頂きますよ」

「当然だ。ダンジョンからの脱出には、上手くいってもあと4日はかかるからなここは無理をする場面ではない」


 徹夜で移動し、何度も戦い続ければ、どうしてもお世話になる場面が出てくる。俺じゃないけど。


「ですが」

「その前に、敵を倒さないとな」


 バトルクロスはパワードスーツ。通常移動で動きをオートにしても、着たまま中で寝るなんてできやしない。手足を動かしたまま寝るのは難易度が高すぎるのだ。

 オートモード中は脱力ぐらいは出来るので、多少の休憩になりはするけどね。「座っているだけで筋トレ・ダイエット」系の健康器具を利用するよりは疲れるよ。



 そして疲労が蓄積したところで、進行方向にモンスターを見付けてしまった。

 疲労で意識レベルが下がっているときに開戦するのはリスクが高いので、疲れ目の人には気付けの電気ショック。


 それでも駄目ならお薬の出番だけど、お薬はまだ先にしたい。

 このお薬、何気にレベルアップしているし、効果がね、強いから。

 レベルアップの状態を見て使用量を減らすように調整しているけど、頼るのをためらうレベルのものなので。



 特に、使った後は病院で検査するように言われているので、本当に最後の手段だよ、これは。

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