表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
452/528

自衛隊同伴①

 自衛隊の人たちは、強い。


「一文字さん、ドリンクです。どうぞ」

「ありがとうございます」


 ダンジョンに入って2日目の昼、俺たちは4日目拠点キャンプで休憩している。

 今日のうちに5日目拠点キャンプ予定地まで進む計画だが、時間にかなり余裕があるので、ここまでの道中で暇を持て余したメンバーに戦ってもらっているからだ。



 道中は俺たちが戦う契約だが、自衛隊の隊員たちが休憩時間中ぐらいは戦いたいと言い出した。

 もともと、俺たちがメインで戦っているのは、こちらの収入に気を遣っての事である。


 ただ、最近は自衛隊のダンジョン攻略チームは、モンスターのドロップ売却益がそのまま収入になるよう、仕組みが改善されている。

 だから自衛隊の人たちだって戦っておきたいと考えるのは自然な話である。


 国を守る使命感はもちろん在るだろうが、彼らだってお金があれば嬉しいのは間違いない。

 むしろ、そうやって稼がせないと、人材を繋ぎ止められないとも言う。

 この件は言われ始めてから何年も経っていたが、国のお偉いさんも、太って重すぎる腰をようやく上げたというわけだ。



 で、そんな自衛隊の戦闘をゆっくり見ているわけだが。

 一言で言えば、強い。

 敵の動きを誘導するのが上手いので、有利な状況を作りドラゴンも簡単に倒していく。


 戦術レベル、連携の精度は確実に負けている。

 もちろん俺たちだって個々の戦闘技術は磨いているし、仲間との連携だってしっかりやっているので、客観的に見ればかなり強い。

 ただ、俺たちが自分たちのパフォーマンスを最大限に活かしているのに対し、自衛隊はプラスアルファで敵の強みを封じている。

 基本スペック、同数の戦力ではさすがに俺たちが勝っていると断言できるが、それでも能力以上に結果を出している印象だ。


 部隊としてはあちらの方が規模が大きい。戦えば、確実に甚大な被害が出るだろうな。

 いや、自衛隊と戦う予定なんて無いんだけど。

 なんで戦う前提で思考を組み立ててしまうかな。職業病かな?





 現時点で負けていると分かっているなら、学べるところは見て学び、糧にするだけだ。

 悔しいとか妬ましいとか、そんな事を考えるようでは時間がもったいない。

 むしろ今回の出会いに感謝し、良い勉強になったと思っておこう。



 それに、生身で俺たちの上を行く剣士の九条さんと比べるよりは、自衛隊の人たちの戦闘技術は分かりやすい。

 あの人が俺たちより上なのは経験値的に仕方がないけど、単純にスペックの差とかもあるので、真似しにくいのだ。


 あと、九条さんは何をどうやっているかが、今一つ掴めない。

 ドラゴンを剣で斬ると明らかに剣の刃渡り以上の斬り傷ができるとか。謎の歩法で瞬間移動するとか。

 俺の知ってる魔法とは明らかに違うんだよな。


 本人もそれをフィーリングでやっているから、聞けば教えてくれるけど、まともに説明してもらえない。

 最後は「見て盗め」「気合と根性があればできる」の世界の人なんだよ。あの人は。

 悪い人ではないし、面倒見もいい人なんだけど、そこはどうにかして欲しかったよ。これだから昭和の男は、って言いたくなるんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ