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ステップアップ

 しばらく外でいろんなダンジョンに挑戦して時間を潰していたが、これと言って面白いイベントなどは何もなかった。

 モンスターは戦った事のある奴ばかりだし、そこまでバリエーションが無い。

 苦戦するほど強いのもいないし、歯ごたえが無い。


 いや、苦戦するほど強い敵と戦うっていうのは準備不足だから、そんなことが無いのは良い事なんだけど。

 ドラゴンと何度も戦って基準がそこになっているため、それに近いレベルのバトルを求めてしまうというか、あからさまに弱いモンスターと戦うのがつまらなく感じていた。


 バトルジャンキーになったつもりはないけど、ある程度集中して戦わなきゃいけないぐらいの難易度がちょうどいいと思ってしまう。

 片手間で終わらせられる戦い(作業)など、やる気が起きないんだよ。



 ラスダンに自由に通えればいいんだけど、そこは許可が下りないからな。

 単独パーティでラスダンに行くのは推奨できないからって、ちょっと過保護すぎやしないかと思う、今日この頃。


 できればドラゴンの万華鋼が作れるぐらいの、魔石ストックが欲しいです。





「よし! 今回は最前線だ!」


 そんな不満もここまでである。

 前回のドラゴン大討伐が評価された俺は、今回なんと、ラスダン最前線へと招待された。

 一応、前回も5日目キャンプを任されるぐらいの信頼を得ていたわけだが、もう最前線に連れて行って大丈夫と判断されたのだ。



 ぶっちゃけ、これは他の冒険者と比較し、途轍もなく速いペースの昇格である。


 ちょっと不思議に思って調べてみたけど、ラスダン通いの冒険者って、ラスダン以外にはあまり行かないものらしい。

 と言うのも、彼らにしてみれば「生活のため」に冒険者をやっているわけで、稼げるうちに大きく稼ぐつもりでラスダン通いを続けているものの、もう上を目指すのを諦めた人がほとんどだったからだ。


 だから実力が上がらないし、冒険者としてはここまでと、もう引退後を見据えた動きをして私生活の充実を優先していた。

 冒険者としての向上心も、安定・安全・安心のためであり、先に進むためでなく、今のままで居続けるためのもの。

 この間のロボット購入関連も、自身の安全確保というより、そういった「冒険者引退後のサイドビジネス」を意識しての判断だった。


 加齢により衰えていく体力をはじめとした年齢的な理由もあるし、そりゃいつまでも冒険者でいられないのは分かるが、ちょっと寂しい話である。

 ラスダン挑戦者として最高齢の九条さんが危機感を覚えるのもわかるよ。


 このままだと、ラストダンジョンは永遠に未攻略になりかねない。

 もしくは、ラスダンに通えるのは三人娘のようなロボット冒険者だけとか。

 その九条さんだって、いつまで現役でいられるか、なんだよなぁ。



 先に進む意思を持つ人間が九条さんで、そんな九条さんらと肩を並べられるようになった理由も簡単だ。

 単純に、九条さんはダンジョンで戦う回数が少なめだから、だ。


 現在のラスダン攻略だけど、九条さんら最前線組は、最前線までを最小の移動時間で駆け抜ける方式をとっている。

 九条さんらの道中の移動時間を減らすため、道中での戦闘はすべて人任せで、戦うのは最前線に出てからだ。

 最前線で戦う人間に最高のパフォーマンスを発揮させるための手段である。


 よって九条さんらがダンジョンにいる時間、ダンジョンで戦う時間は、他の冒険者と比べて少ない。

 戦う敵の強さは段違いだが、戦闘回数そのものが減ってしまえば総合的な経験値は他の人とそこまで変わらない。


 ゲームに例えればすでに十分レベルが高いために、次のレベルまでの必要経験値が増えて停滞している状態だ。

 九条さんと実力が並ぶまではいかずとも、距離を詰める事は難しくないのである。

 それがチームで動いているのなら更に評価は上方修正してもらえるので、俺も最前線に送っていいだろうと判断されたわけだ。



 なお、安定を望む実力者たちにしてみれば、ハイリスクな最前線よりも既知の稼ぎ場が美味しいと、そういう状況でもある。

 最前線にいない冒険者の中には俺より上の奴もいるだろうが、彼らは最前線を望まないという。

 だからやる気のある俺にお鉢が回ってきたと。そんな裏話もあったりする。



 何はともあれ、俺的には美味しい話なので、ラスダン最前線を楽しませてもらうとしよう。

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