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成功したダンジョン産業①

 リーダー()の仕事は、方針を決めて、仕事を割り振り、部下に必要な権限を与えるところまで。

 あとは必要に応じて相談に乗る事ぐらいかな。


 なお、たまに勘違いされるが、上司は部下と同じ仕事が出来なくてもいい。

 その仕事をするのに必要な情報を持っていれば良いのだ。そして仕事に必要な人と物を手配できれば良い。

 現場リーダー的に、部下に混ざって仕事をする分には、職人としての技術も必要だろうけどね。全体の監督としては、職能は必須じゃないんだよ。


 なので、自分に出来ない事は他人にお任せ。

 そこらへんは同じ会社だろうと別の会社だろうと変わらなかったりする。



 俺が雇った探偵さんたちは、見張り、張り込みのために更に同業者に声をかけ、それぞれの監視対象を調べている。


 汚職職員、市民団体の幹部たち。それぞれを監視しようと思うと、探偵五社じゃ足りていない。

 24時間体制で監視するなら、普通に考え最低三人。トイレなども考慮すればその倍は欲しい。

 そこまでガチガチにしないとは言え、少人数では話にならないのだ。


 本人を監視するだけでなく周辺情報を調べるとなれば、そりゃもう人海戦術を駆使するのが普通。

 その分コストがかさんでしまうけど、今回の調査は俺たちだけでなく協力関係にある同業他社からも支援してもらっているので、俺たちの負担はそこまででもないのが救いである。





 当たり前だけど、探偵に頼む調査は一朝一夕で終わるようなものじゃない。

 調査結果が出るまで、この件では待機が必要だ。


 だから、俺たちはダンジョンでドラゴン狩りをしていた。

 ラスダンではない別のダンジョンで、だけどね。



「豚丼、美味い」


 北海道は十勝川近くの、鹿追(しかおい)町。

 農業・畜産体験型宿泊施設や氷上温泉が人気の観光地だが、今では高難易度ダンジョンが近くにある事で冒険者相手のサービス業が強くなっている。

 高難易度ダンジョンに潜れる冒険者はお金を持っているので、美味い飯と温泉で高い宿泊費を取ってやれ、と言う事である。


 ついでにダンジョン内で食べる弁当にも力を入れていて、お高いが、その値段分だけ味も良かった。

 ボス戦があっさりと終わり、俺は豚丼弁当でランチタイムだ。



「おかわり、まだ?」

「リスポーンは明日」

「当たりが出てないから、もう一体にはならないの……」


 まぁ、高難易度ダンジョンとはいえ、エリクサーの時に潜った「火龍の(ねぐら)」より少し厳しい程度であり。自慢になるが、今の俺たちにはかなり物足りないダンジョンなのだ。

 ドラゴンが出ると言ってもボス限定。性能はラスダン2日目キャンプ拠点周辺レベルとなれば、雑魚敵認定していい。

 ……世間一般と比較し、基準がおかしい。


 三人娘も暇そうにしていて、武器の試し切りなどが出来ず、しょんぼりしている。

 ドラゴン1体では不完全燃焼と、この子らもずいぶん強くなった。

 戦力過剰だろうからと連れてきてはいないが、タイタンも強くなっているので、そのうち俺は世界征服でも出来るんじゃないだろうかと思ってしまう。

 やらないけどね。





 わざわざ俺たちが北海道までやって来たのは、ここはダンジョンが出来た初期から冒険者誘致に力を入れていて、成功した地域だからである。

 滋賀の市民団体とは違う視点を持っている、地に足の付いた成功者。


 観光産業を俺たちが参考にする事は無いんだけど、こういうのを知っておくのは、今後役に立つかもしれない。

 我ながら単純な考えだと思うけど、いつも同じダンジョンばかりでは視野が広がらない。

 こういった、様々なダンジョンに行くのも、良い経験になると思うんだよ。


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