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汚職職員を探る

「そうですね、この件は連携して――」

「うーん。ニュース番組で取り上げるにはまだ弱いので――」

「全ダンジョンが公営化された場合のメリット・デメリットの比較ですが――」


 ダンジョンに入りたい人を扇動し、企業保有のダンジョンを公営化、一般開放を要求している市民団体たち。

 それらに対抗すべく、こちらは連合を組み、情報を共有していった。


 上手くいく事ばかりではないが、ある程度でも足並みを揃えたことで反撃は効率よく行えるようになっていった。

 怪我の功名というか、共通の敵ができたことで同業他社と仲良くなれたのは良かったよ。



 とは言え、相手にしてみれば「目的が達成できない方が長期的に資金を引っ張れる」という最悪な発想でこちらに喧嘩を売っているため、長期戦は避けようもない。


 この手の市民団体など、その主張のほとんどが金儲けの手段なのだ。

 しかも感情論に振り切った発言ばかりなので、ロジカルなデータを用いた反論も「それとこれとは話が別!」とばかりに関係があっても切り捨ててくる。

 他国の海洋環境保全団体などと同じで、何を言われようが自分が常に正しいと言い切るのだ。


 だから周囲の理解を得られない状況に追い込み、資金源を断つしかないのだが。

 そのためには一般開放されたダンジョンの混雑を解消する必要があり、そんな都合のいい手段など無いという結論になる。



 ダンジョンの混雑がどうにもならなければ、連中が掲げる一番のお題名目が無くならず、いつまで経っても馬鹿の相手をしないといけない。

 こいつら、他人の足を引っ張るのが生きがいの悪質なクレーマーと同レベルだから、根絶されてほしいと切実に思うよ。





 普通なら、ただ自分たちの主張を続けていくしかない現状。


 しかし、これを運が良いと言いたくは無いが、史郎の奴から良くない金の流れがあることを知った。

 これが本当であれば、世論を味方につけて現状維持を世間が認める、そんな流れを作れる。

 金目当てで騒いでいるという事を証拠付きで公表できれば、そんな相手に賛同する奴も同罪となり、一気に潮目が変わる。

 主魁が犯罪者扱いされてしまえば、その言葉は誰にも響かなくなるのだ。


 そして一度沈静化してしまえば、同じネタで大きく動かれることもない。

 二度目、三度目はあるだろうが、規模が小さければ無視すれば済む話である。


 ここさえ凌げれば、あとはずいぶん楽になるだろう。





 なお、ここで動くのは俺たちではなく、雇った探偵たちだ。

 複数の探偵事務所に声をかけ、それぞれに調査してもらう事にした。



 ラノベなどなら、俺が直接調査をするのだろう。

 そしていくつかのイベントをこなし、汚職職員の秘密を暴くのだ。


 しかし俺にそんな事をしている暇はなく、そんな時間があるならダンジョンに行った方が良い。ここはお金を出して解決するべき案件だ。

 長野県に住んでいる俺が滋賀の彦根に行って調査とか、現実的ではないのだ。



 複数の探偵を雇ったので、時間はかかるが、結果は期待できるだろう。


 探偵の仕事は迷い猫探しのように地味なものが多く、そんな仕事すら貰えず金欠の探偵だって多い。探偵の仕事に理解を示し、迷い猫探しに何万円も払ってくれる依頼主は貴重なのだ。

 だから調査費用をしっかり払う、金払いのいい客は歓迎される。

 必要経費を負担してもらえるとあれば、次のためにも頑張るものだ。



 逆に、金を渋れば仕事もそれなりにしかやってもらえない、となる。

 当たり前だが、経費も出ないのに自腹で頑張ってくれるというのを、期待してはいけない。

 相手にも生活があるのだから、安い金でいい仕事をしろというのは傲慢だろう。


 なんか前に「地元のイベントなんだからタダでやってよ」と言われた芸能人がそれを断った話を聞いたけど、それと同じだ。

 プロに頼むのなら、金払いはしっかりと。知り合いだろうと同郷だろうと、自分に都合のいいことを言って安く済ませるのはアウトだ。

 金払いはなあなあで済ませていい話ではないのである。

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