決着
収束レーザーは、ドラゴンどもがここまで使ってこなかった特殊攻撃だ。
連発できないとか使い勝手が悪い、使える奴が限られるなど、使ってこなかった理由がいくつも考えられる。
それを使ったという事は、使わざるを得ない状況に追い込んだか、もう使っても大丈夫だと思われたか。
俺の脅威度をそれだけ多く見積もってくれたというなら、それはありがたい話である。
とりあえず、だ。
せっかく大技を使ってくれたドラゴンがいるのだ。
ここでそいつを仕留めなければ失礼というものだろう。
ありがたく、優先して狙わせて貰う。
こちらの大駒、コイオスとクレイオスなら単騎駆けでもやってくれると信じ、俺は俺で2発目に注意する事にした。
それはそうと、俺の異常な再生能力を周囲に見られたのは痛かった。
頭や心臓じゃなかっただけまだマシだが、わりと周りの人は引いていたので、同じ事が出来る奴はこの場におらず、他にいたとしても相当少ないと推測される。
そういった情報を持っているのであれば「ああ、あれがそうか」という反応になると思う。
なのにあそこまで反応されたのだから、みんなはああいった再生が出来る奴、俺の同類がいる可能性に気が付いていないとなる。
これだけ人がいる所で見せてしまったのだから、今後はこの情報が拡散すると思って良いな。
致命的ではないが、地味に痛い。
この話が元で、どこかで足を引っ張られなければ良いんだけど。
俺が引き気味に戦うようになり、全体的な殲滅速度は落ちてしまった。
みんなの疲労が濃くなったというのもあるな。パフォーマンスが落ちている。
しかし、三人娘の黒剣がドラゴン相手にかなり有効で、その分は優位に立っている。
また、敵の増援は本当に来ないようで、徐々に数を減らしているため、戦線にかかる圧力が弱まりつつある。
それにみんなで戦う事に慣れてきたのも大きく、連携が仕上がりつつある。疲労で個人の戦闘能力に陰りが出ようと、チームとしての戦闘能力は向上している。
このまま戦い続ければ、全員で生き残れそうだ。
戦い始めた時は増援抜きにしても勝てないのではないかと思ったが、意外となんとかなりそうである。
勝てない戦に挑もうと、戦いながら成長し、勝利を掴む。それが人間だと、鬼に堕ちた先で人として生きた先生も言っていたな。
相対した敵は「そんな人間ばかりだったら、天界で神が殺されている」と否定していたが。ピンチに覚醒して逆転するのはジャパニメーションのお約束だ。
言うほど劇的な覚醒をした奴などいないし、それらしいイベントも無かったが、俺たちは戦う前より強くなっている。
ドラゴンには悪いが、人間と戦う以上、そういうものだと思って諦めてもらおう。
「だから、死ね。俺は死なない」
ここまで状況が整ってしまえば、俺を殺したところで戦況はひっくり返らない。
コイオスたちと戦っているドラゴンがそれを無視して、俺に対し再びレーザーを撃ってきた。
それを回避しつつ、鏡を作って反射する。
魔法によるレーザーは物理法則に縛られないのだが、こちらも魔法の鏡を作ったので、俺の鏡はこのレーザーを反射できる。
聖闘○に同じ技は通用しない。来ると思っている攻撃なら、こういった対処も出来るのだ。
反射されたレーザーがドラゴンを他のドラゴンも巻き込みつつ貫通し、そちらはこれで決着となるのだった。




