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情報共有

「情報の共有をしようぜ」


 昼過ぎまでぐっすりと眠った俺たちは、昼飯を食うついでに情報交換を行う事にした。

 メインは勿論俺たちの持つノーマナー冒険者の情報共有だが、それ以外に、俺たちから聞きたい事もそれなりにあったりする。


 今回の出現した敵の事と、これまで戦った敵の事。また、それらに対する彼らの対処法。

 それらを対価として貰う予定だ。



 こちらばかりが情報を出すのは不公平であり、一方的に搾取される関係になってしまう。

 情報の重要性から伝えないという選択肢がないようにも見えるが、それでも線引きは大事だ。


 「それは公共性を考え、共有すべき情報だ」などと言い出すなら、モンスターへの対処方法なども「ダンジョン内における被害抑制に役立つ情報」であり、共有するのが“社会的に”ベストな選択となる。 

 「それは飯の種だから」と情報の出し惜しみするのであれば、相手も同じ事を言う権利を認めるべきだ。



「それぐらい、ちょいと離れた所から観察してりゃ、分かるだろ。お互い、同じ敵と戦ってるんだからさ」

「自分で観察して分かる事と、話し合いの場で聞ける情報は同じではないですよ。

 何を、なんのためにするのか。それを聞けるのは大きいです」


 幸い、こちらの要求は受け入れられ、揉める事なく和やかに情報交換は始まった。

 相手にしてみればそこまで隠したい情報ではなく、いちいち説明するのが面倒なのでわざわざ外に漏らしていないだけで、絶対に隠し通したい事とは違ったというのがその理由だ。

 仕事として教えるのであれば我慢するが、仲間でもない連中を相手に懇切丁寧に教えるのは嫌だと、そういう事だ。


 今の時代、タダで手に入る情報が多いからか、「タダで教えるのが当然」という態度の馬鹿もそれなりに居る。

 そんなお客様にもなれないお馬鹿様の相手を何度もすれば、教えるのが嫌になる気持ちもよく分かる。


 逆に、そういうのを反面教師にしているから、こちらの要求に素直に頷いたのだろう。

 何かを頼むのなら、教えを請うなら、対価を払う。

 「ちょっとぐらい」と軽い気持ちで頼むのが許されるのは、仲が良い相手だけなのである。





 複数のチームが関わると言っても、今回の話し合いで共有する情報は特に秘匿するものではないから、個別対応のような無駄な時間は使わない。

 まぁ、こちらの報酬、他のチームの戦術などを利くが時間の無駄だと判断すれば、自分たちの要件が終わり次第、この場から退出は可能なのだが。

 これも良い機会。どうせだからと、どこも退出する気はないようだ。


「小槌のとこか。あんにゃろう、なに考えていやがるんだ」

「見た感じ、うちのと同レベルの、かなり高性能なロボットを連れていたんですけどね。あれは彼らの誰よりも強そうでしたよ。

 たぶん、この騒動の対価があのロボなんじゃないかなって思うわけです」

「だからと言って、やって良い事と悪い事の区別も付かないのかよ! 帰ったら覚えていやがれ!」

「ただ、これがかなり確率の高い原因でも、まだ立証はされていないから。その疑いが強いってレベルの話なのは忘れないでくださいね」

「分かってる!」


 長くラスダンに籠もっている面々は、基本的に顔見知りばかりである。

 メインになる攻略エリアの差が親しさに比例するため、エリア一つ分の差、結構近い距離で戦っていただろう戦犯冒険者チームは、ここに集まった冒険者とはそれなりに親交があった。

 戦犯が親しい人間だった分、それを聞かされた人たちはかなりお怒りである。



 ちょとだけ俺たちが「適当な事、嘘を言っている」と疑われるかもな、なんて考えたのだが、そういう流れにはならなかった。

 動画映像付きの証拠を見せたため、説得力があったことに加え、彼らの「踊る」という行動がかなり奇異だったのが理由だ。


 それもそうだろう。

 何を考えたらダンジョン内で踊り出すんだと考える。普通、ダンジョン内で踊ったりしない。

 彼らの奇行はなかなか理解しがたいようだ。





「――で、ドラゴンの翼の付け根を切り落とすわけだ」

「真似できそうにないですねー」

「そのままは無理でも、応用を利かせれば、なんとか?」


 こちらの情報提供が終われば、今度は相手のモンスターとの戦闘に関する戦術情報交換だ。

 これに関しては、魔法の使い方がユニークで、俺たちとは違った戦い方をするところが多く、かなり参考になった。

 出来る事の幅がずいぶん増えたので、満足。


 この情報交換は、みんなにとって大きな利益になったのだった。

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