拠点キャンプ地の管理依頼①
話し合いを重ね調整を図った末の結論は、全員ラスダンに連れて行き、三人娘と新人二人をそれぞれ別チームとして運用するという、ごくありきたりな対応。
ひねりも工夫も無い結論だが、奇策は有効だと思えるシチュエーション以外じゃ使えない手なのだ。
ここは一つ、お互いに切磋琢磨するような関係になって貰うべく、張り合わせるしかなかった。
俺の目の前でなら、致命的な拗れ方をしないと信じたい。
なお、当たり前の話だけど、俺からの信頼の面では三人娘が上になる。
信頼なんて実績を重ね、交流を深め、時間をかけて積み重ねるものだからだ。
それなり以上に能力が上であろうと、ぽっと出の新人を重用する気は無い。
そう考えると、ナーロッパ系ファンタジーラノベにおける「主人公か優秀だからといきなり爵位を授ける王様」ってどうなんだろうかと思ってしまうな。
読者視点で言えば、主人公が信用できる、重用して問題ない人物だと分かっているから良いけど、登場人物たちから見たら王様の無茶苦茶な行動に怒ってしまう気がするわけだが。
優秀・有能で他に盗られたくないというのは分かるけど、これまでチマチマと地道に功績を積み重ねてきた連中にしてみれば、自分たちの努力はなんだったんだと言いたくもなる。
それこそ、主人公の事など知らない連中は、国への忠誠心を大きく減じるだろうよ。
優秀な人間を特例で取り立てる制度をあらかじめ用意していないと、謀反の一つ、起こされても文句は言えないよな。
まぁ、そこらをグダグダすると話のテンポが悪いと言われるから、ショートカットするのも仕方がないわけだが。
チーム編成が終わり、再びラスダンに挑む準備が出来た。
今度は九条さんをダンジョン奥まで送り届けるための補助を依頼されているので、指定された地点でキャンプをして、行きと帰りの計2回、九条さんの受け入れをする事になった。
ダンジョンに入ってから2日目の拠点と言うことで、九条さんの他にも、更に奥でキャンプをする人たちのために物資を運ぶ運搬人の受け入れもする。
前回までは移動ルート周辺の雑魚掃討という依頼で、割と自由に動けたんだけど、今回からはそうも行かない。
その前回でこちらのチームが思っていた以上に強かったことが証明され、高レベルなロボットがほとんどで長期キャンプ向きという特性も評価され、この配置となった。
ロボットは人間よりも必要な物資が少なくて済むからね。夜警も苦にしないし。人間多めのパーティよりは得意だと自負している。
ある程度の回数を熟せばこうなるだろうと思っていたし、配置についてこちらから文句を言うことはしないよ。
それに、こういう任務の方がチーム二つを運用するのに向いている。
三人娘をキャンプ周辺の警備に、新人二人を出稼ぎに動かせば、ちょうど良い感じに役割分担が出来る。
問題は新人たちだけでドラゴン退治が出来るかどうかなんだけど。
本人たちはこれまでの戦闘データを分析して、ドラゴン戦も確実に勝てると主張しているし、だったらやらせてみようという流れである。
俺? 俺は勿論、三人娘と拠点のキャンプ地にいるよ。
俺以外に、他の冒険者に対応出来る人材がいないからな。俺が居残りは確定なんだ。
この対外対応のためだけに他の人員を導入するわけにもいかないので、そこはもう受け入れている。
キャンプ地だって襲撃されないわけでは無いから、そこまで暇もしないだろうよ。




