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死と再生③

 健康診断で引っ掛かりませんように。

 人間をやめたの、血液検査とかで引っ掛かったりするものなのかね?



 いつまでもダンジョン内でグダグダしていてもしょうがないので、地上に戻ってきた。

 外見は全く変わっていないはずなので、普通にしていれば大丈夫だろうと、いつものようにふるまってみる。


「今回のドロップはどうだったのだね?」

「出てきたモンスターは……そうですか。バトルクロスタイプのティターンだったんですね。実に興味深い」


 ヤバかった部分に関しては、光織たちに協力を仰ぎ、データを改ざんしてもらった。

 データ上では敵の攻撃は頭に直撃ではなく、俺が気合で回避して頭の横を通ったことになっている。

 敵の攻撃で俺の頭がぶち抜かれたなど、知られるわけにはいかないのだ。



 四宮教授も及川教授も、ダンジョン攻略の情報は俺の口頭の報告だけで満足せず、あとからデータも確認する。


 データにおかしなところは無いはずだけど、データ改ざんに気が付かれるとか、上手くいかなかったとしても、その時はその時だ。

 さすがに一度死んだというか、普通なら死んでいなければおかしいような目に遭ったとまでは考えないだろう。

 前例の一つでも聞いているならともかく、前情報一切なしでコレ(・・)を予測できたら、そいつはエスパーか何かだろうね。


 二人はデータに多少の違和感を感じたところで、俺に直接確認するとか、そういった対応をすると思う。

 もしくは、俺が何か隠していることに気が付き、あえて気が付かなかったふりをするか。


 そういった気遣いのできる人たちなので、もう大丈夫だろうと判断できた。





 普通にしていれば、まずバレない。

 その認識ができると、やっぱりホッとする。


 悲しいかな。俺の交友範囲は非常に狭く、会社関係者ばかりなのだ。

 その中でも特に仲のいい教授二人が気にしなかったのであれば、何か問題があるという事もあるまい。

 鴻上さんや開発チームの連中も特に何も気にした様子が無かったし、安心したからか、俺は一人になったところで大きく息を吐いた。

 見た目が同じなら大丈夫だろうと思っていても、実際に確かめてみるまでは不安が付きまとっていたのだ。


 某三只眼の漫画だと、不死身になってしまった主人公に友人たちがドン引きして化け物扱いするシーンが有った。

 自分と周りの関係もああなるんじゃないかって考えてしまったわけだ。



 とりあえず、身内は問題なし。

 そうなると、残る問題は同業者たちだろうな。


 レベルアップを重ね、魔法を扱うのに長けた人であれば、俺に違和感を感じる可能性がある。

 まぁ、俺自身がそれほど他人の魔力をしっかり覚えているとか、そういう事は無いんだけど。俺がそうだからといって、他の人もそうであるとは限らない。

 中には知り合いの魔力をしっかり把握していて、俺の、これまでの魔力との違いに気が付くような人もいる可能性がある。


 そこから一足飛びに、俺が一回死んだことがバレるというのは難しいだろうけど、楽観視はできない。

 下手をすると、モルモットコース。そうならないよう、立ち回る必要がある。

 ……最初にトップである九条さんだけ押さえておいて、国が何か言ってきたり他の冒険者が騒いだときは、九条さんにどうにかしてもらえないかな?


 いや、それだと九条さんにちゃんと説明をしないといけないわけで、ちゃんと説明したら、便利な奴に育ったと、コキ使われそうな気がする。



 いつまでもラスダンに挑まないというのは駄目だ。

 絶対に、他の冒険者に気が付かれる。


 不安から教授たちを誤魔化してしまったが、味方がいないより、居た方が良いのは明白で。

 この手の秘密をいつまで隠し通せるかと考えると。

 無理ではなく、無謀なんだろうな。


 少しだけ、勇気の要る決断をしないと駄目そうだよ。

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