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イレギュラー⑥

 出力を落とせば、残りエネルギー、バッテリー問題は解決する。

 ただ、敵にやられてしまえばバッテリーの問題が解決したところで終わりなので、それはできない。

 防御主体の遅延戦闘にだって限界はある。


 敵の召喚主を潰せるかどうか。

 残念ながら、ドラゴンという敵増援のせいで別動隊を作る余裕がなくなってしまった。

 そもそも、召喚主が見つかっていない現状では、そちらを先に潰しに行くという選択肢が出ていない。

 嫌な話だが、奴は探知能力縛りで隠れているわけではなさそうだ。他の、何かしらの条件を満たさないといけないのだろう。


 もしかしたら召喚主などおらず、勝利条件は敵ロボの同時撃破かもしれない。

 そういった可能性を考え続けてはキリがないため、こういった考えは頭の片隅に置いておこう。



 希望は、三人娘のドラゴン戦が思った以上に早く終わること。

 あの三人が戻ってきてくれれば、また打てる手が増える。取り得る選択肢が多ければ、全員で帰還する未来も見えてくるのだ。

 それを信じて、その可能性にすがって、何もしないのは論外だ。

 だけど、心を折られないためには、希望はあるのだと信じたくなる。


 ……希望の光に目を眩ませ、全滅ルートだけは避けなければいけないんだが。





「やっぱり学習されつつあるな」


 何度か敵を倒してしまいつつも、俺たちは敵の魔力切れを狙うような戦い方をしていた。

 相手の魔力残量が少なくなればこれまでとは違う展開もあるだろうと考えての事だ。


 それとは別に、ほんの少し。ほんの少しだけ出力を落とさせ、わずかばかりの延命を指示して数分。

 敵ロボがこちらの戦闘パターンを解析したのか、俺たちの攻撃を躱し、いなし、こちらの防御行動にも対応し始めた。


 勿論、こちらも敵ロボの攻撃パターンを解析して上手く戦っていたのだが、相手の方学習速度の方が早い。

 これはこちらの方がレベルが上で、高レベルだからこそレベルアップに必要な経験値が遅く、敵ロボの方が低レベルな分だけレベルアップに必要な経験値が低い状態だからだと考えている。


 基本性能も戦闘技術もこちらが上なんだけど、相手の技術向上により、差が縮まっていった。

 おかげでタイタンたちは徐々に被弾が増え、ダメージが蓄積していく。



 俺はまだ大丈夫だし余力があるけど、タイタンは本当にヤバい。敵は最初からフルスロットルな事もあって、魔力の残量を気にしていないのも影響している。このままではやられかねない。


「Vガ○ダムがうらやましい。種Dとかもなぁ。真ドラは勘弁だけど」


 Vの付くリアル系ロボットアニメでは、主人公の搭乗する最初のロボは大量生産された量産機である。

 途中、体の一部を分離してミサイルのように扱うなどフレキシブルな運用をしていたが、使った後は戦闘中でも新しいパーツを近くに飛ばして貰い、空中で合体するシーンがあった。量産機という特徴を使った演出だ。

 種Dでは主人公機が戦闘機三つが合体して人型になるパターンだが、こちらも戦場で分離・合体を可能としていて、似たような運用が可能である。というか、そういった運用をすることで軍事協定に抵触しないようにするという抜け穴を付く、(こす)い、主人公機にあるまじき設計思想だったんだけどね。


 同じ事が可能であれば、タイタンたちも戦闘中に被弾した部分を分離し、手持ちの交換用パーツに換装する運用が出来るんだけど。

 まぁ、被弾ありの戦闘中にそんな事をしているヒマなんて無いんだよなぁ。

 あれは空中や宇宙空間のような、特殊な戦闘フィールドだからこそ可能なんだろう。地上の俺たちにそれは無理な相談だ。


 いや、そもそも合体時の衝撃やらなんやらをどうにかする技術が無いか。

 タイタンたちの内部は精密機械であるため、非戦闘中の換装時にだってかなり気を遣わないといけないし。

 力任せに、強引に換装を行えば、不具合、故障の原因になるもんな。


 そういった意味では、ゲッタ○は無い。アレはゲ○ター線ありきだから、科学技術や魔法分野でどうにか出来ると考えては駄目だ。

 既存の常識では無く、「○ッター線のある世界」を軸にしないと駄目なんだよ。

 ……いや、それを言い出すと「ミノフ○キー粒子」「ニュータイ○」「ニュートロンジャマ○」だってサイエンスファンタジーとしか言いようがないけどね。



 ちらりと遠くに意識を向ければ、未だに空を飛ぶトカゲ(ドラゴン)の姿と三人娘。


 それともう一つ。

 もっと離れたところに、たくさんの人間の魔力反応。

 逃げていた人たちが援軍を呼んでくれたらしい。


 どうやら、今回も無事に窮地を脱出できたようだ。

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