イレギュラー④
再生能力を封じ順調に敵の数を減らしていく俺たち。
こうなると、さっきの冒険者チームが何で逃げていたのか疑問に思えた。
俺たちは強いが、他のチームだって強いのだ。しかも、ラスダンの先輩である。
こいつらは強いが、彼らが俺たちと同じレベルの戦いが絶対にできないとは思えなかった。
その「なんでドラゴンと戦える冒険者が逃げていたのか」を、正しく知ったのは、敵の数が残り三体になった時である。
「敵増援、来ます! 数は、五体!」
「は?」
敵の増援だ。
しかも、さっきまで戦っていた連中よりも魔力量が多い。
敵が強化されたのか、元からいた連中が消耗していただけなのか。
どちらにせよ、速攻で敵をせん滅するつもりだった俺たちには最悪の状況だ。
倒した奴はアイテムをドロップしている。
幻とか再利用ではなく、敵は確かに存在していた。
だとすれば。
「メジェドの神官のところの、岩モンスター。あの同類か?」
いま戦っている敵ロボットは、他のモンスターに召喚されただけの、端末のようなものである可能性が高い。
ついでに、ドロップアイテムはレアものではなく、ゴミの可能性すらある。
そりゃあ、誰も戦いたがらないわけである。
「光織! 六花! 晴海! センサーのリンクを解除して一部をオフに! オフにするセンサーは別々にして分担しろ!」
「不見!」
「不聞!」
「不言……それセンサーオフと関係ないよ!? 魔力反応カット!」
現状、敵がどこかで生産されているとして、どこかそれなりに近い所にロボを生産するそいつが潜んでいると俺は予測している。
そうなると、レドームで敵を見つけられないのは、何らかの探査をしていると逆に探知できなくなるという能力を持っていると考えられた。メジェドの神官が持っていた、謎の能力である。
俺は三人娘らに敵を探してもらうため、センサー限定による探査を任せた。
増援が湧いてきた方向にいるんだろうけど、まだ確証はないので、そちらにだけ意識を向ける事はしないよ。
相手も馬鹿じゃないだろうし、ブラフの可能性が高いんだ。他のところにいると思うんだな。




