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想定された強敵①

「また五体か」


 種子を用意してボスエリアに入ると、またティターンが五体出てきた。

 今回も特殊能力無しかどうかは分からないが、また敵の数が多い。もしかしたらこれで安定したのかも知れない。

 俺は特殊能力無しである事を期待しつつ、“黒い剣”を構えた。


「今回は俺も前に出る! 光織、中央は任せるぞ!」

「アイアイサー!」


 今回、俺は遊撃に回る。

 正面から敵に当たるのは光織たちに任せ、俺は横から一撃加えるべく、左端の敵に狙いを付けた。





 今回のメイン武器はオーガ変異種を倒した時に手に入れた魔剣である。

 精霊銀の魔法剣ではティターンに対抗するのが難しいため、全然使っていなかったこの剣を引っ張り出してきたのだ。


 この剣の特殊能力は『敵を倒すと強化される』というものだ。

 この強化には時間制限があり、無制限に強化したままになるわけではない。強化上限も存在する。

 ただ、制限時間があるといってもデメリットとしてはそこまでのものではなく、今回の挑戦の間ぐらいは余裕で持つ。

 そう判断したから、今回のメイン武器にしたのだ。



 これぐらい使えるなら、こちらをメインにした方が良いと言われるかも知れない。

 それでも普段の使い勝手を考えると、魔法剣の方に軍配が上がる。


 未強化時の切れ味は精霊銀の魔法剣の方が上だし、魔法剣には火と土に関する魔法を強化する効果もある。

 普段戦っているモンスターが相手なら、魔法剣の切れ味は必要十分であり、そこまで困るものではない。

 ひたすら堅い、ティターンのようなボスなら使い道があるけど、もしもイレギュラーな遭遇戦で戦うなら、魔剣の強化が不十分というのも、十分に考えられる。

 そもそも、強化するために体力を使ってしまうので、ある程度消耗した状態でボス戦に挑まないといけない。万全な状態になるまで休憩しては、強化時間がギリギリになってしまう。


 だから俺の認識では、魔剣はサブ武器なのだ。



 それでも今はデメリットよりメリットが上回る。


「チェスト!!」


 強化された魔剣は、ティターンにも通用する。

 俺はタイタンに押さえ込まれ、ティターンが回避できなくなったタイミングに攻撃を仕掛けた。ティターンはレーダーで俺が攻めて来ていると分かっていても、俺の攻撃を躱せない。

 結果、ティターンの胴と腰の間を両断する事に成功する。


 切ったのは腰をひねるための、シャフトになっている部分だ。

 ここは明確な弱点なので、『スケイル(鱗の)ヘム()』と言われる複合外部装甲で覆い隠しているのだが、その装甲ごと切り裂いた。

 準備が大変だが、やはり最大強化した場合、魔剣の方が単純な攻撃力は上である。



「数が減った! この勢いのまま押し込むぞ!」


 こちらの主力、一番数が多いタイタンたちは、攻める気がない。

 基本は正面からティターンを迎え撃ち、足止めするのが主任務だ。

 タイタンの装甲強度は敵に劣るが、武器が同格なので、防御に徹すればそうそう負ける事などない。


 そこに光織たち三人娘が攻撃役として加わり、一方的に攻撃されない状況を作る。

 とはいえ、彼女らも本気で敵を倒すために攻撃するのではなく、防御にリソースを割かせ敵の攻撃頻度を減らすための攻撃をしているだけ。

 それで余裕が出来れば、勿論タイタンも攻撃に加わる。


 とはいえ、敵を倒す役目は俺だけだ。

 あからさまにそういう配置なので、敵もそれが分かっているのだが、分かっていても対処できない。

 思考がどれだけ高速化しようが、腕や足を動かす速度が変わらない事には、限界がある。



 魔法などと言うファンタジー装置があろうと、結局は物理法則全てを超越できるわけでもない。

 質を確保した数の暴力で、敵を撃破していく。


 あとは詰めていく将棋のように、ミスのない一手を打ち続けるだけ。

 一体でも敵を撃破すれば、数の差は更に増すのだ。こうなると、敵に逆転の目はなくなる。せめて、倒されるまでにこちらが大ダメージを食らっていれば話は違うのだが、それもない。

 こちらが油断して変な事さえしなければ、オケアノスがおらずとも、もうティターンに負ける事はない。


 そう思っていたのだが。





 三体目のティターン。

 中央にいた一体に攻撃を仕掛けたときのことである。


 俺は他のティターンにそうしたように、敵を両断しようとして。瞬間、危機感を感じ、全力で後退した。

 後退したが振り抜こうとした魔剣の先が敵の装甲をかすめると。


「ぐうっ!」


 俺の鎧、服、そして腹の辺りがそこそこ深く切り裂かれた。

 何が起きたのかそれだけで理解した俺は、更に後退してからポーションを飲む。


「とうとう来たか。『攻撃反射』の万華鋼」


 厄介な事になった。

 俺は用意してきた「手」が通じるかどうかを考えつつ、面倒な事になったと顔をしかめた。

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