表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
329/528

未知の能力①

 光織たち、ロボの整備はもう二日ほどかかるという話だった。


「陸式改が壊れた原因の対策案が出たので、そちらが終わってからの出撃をお願いします」


 陸式パイルバンカー改のバージョンアップ(改善)のため、ダンジョン攻略を遅らせて欲しいと、通達があった。

 及川教授にそう言われれば、こちらとしては飲み込むしかない。

 そういった話は及川教授に任せているので、任せた以上は信認するしかない。


 実際、装備の質が向上するのは嬉しいし、これでパイルバンカーの連続使用ができるようであれば、その方が絶対に良い。

 それを扱う六花の成長に賭けても良いんだけど、他にできる事があれば、やれるだけやっておくべきだと思うよ。


 それにしても、二日か。早いな。





 で、二日後。


「リテイク」

「申し訳ありません」

「早いのは助かりますが、それ以上に、 “質”を重視してください」

「返す言葉もありません」


 不機嫌な六花に駄目出しをされたため、陸式改の改善はやり直しとなった。



 何があったのかというと、改善されたはずの陸式改は、ちゃんとした組み立てをされておらず、このままでは組み立て精度不足で、前よりも簡単に壊れるというのだ。

 先日の喧嘩騒動の関係で急に人が減った事と、改善が急に入った仕事だったため、作業のチェックが甘くなってしまったのが原因だという。


「再発防止だけど、不具合発生の真因が無理な工程だから、今後は無理な工程を組まないように、こちらへの納期を遅らせて構わないから、とにかく作業精度を優先して仕事をして欲しい。

 俺たちへ意見をするのが難しいのは分かるけど、一つでもミスが有ったら、命を失う事になりかねないんだ。本当に、慎重に頼む」


 なお、短納期だった理由の一つが「偉い人()が納品相手だから」だったりする。


 言ってしまえば、機嫌を損ねたらクビにされかねないとか、そうまで行かずとも減給になるとか、閑職に回されるとか。そういった懲罰人事が行われるかもしれないという不安から、無理をしてでも早く仕事を終わらせたかった。

 「なる早で」と要求されれば、無理な工程も組んでしまう程度に、例の喧嘩に対する処罰もあって、俺は怖がられていたのだ。

 処罰の内容を決めたのが、鴻上社長であっても。



 立場が上の人間としては、下の人間に舐められてはいけない。

 それと同時に、話の通じない暴君と思われてもいけない。

 話が通じて道理を弁えている、そんな上司だと認識してもらわないと拙い。


 規範をあまりにも逸脱すると、どうしても甘く見られるし、人の意見を聞き過ぎれば、主体性が無いと舐められる。

 だからと言って、会社の規範(ルール)に則った行動をとっていても、厳しすぎると言われる事がある。これはしょうがない。感情面の問題だからだ。

 自分の中できちんとした線引きをして、それが揺るがないように振る舞うしかないんだけど、理屈は分かっていても、実践が難しいんだよな……。



 こういうのはどうしても経験不足で粗が目立つし、ダンジョンでモンスターと戦っている方が楽だと思うよ。あっちの方が覚悟を決めやすい。

 ん? あれ? それってつまり、俺が社会不適合者って事か?

 いや、さすがにそこまで酷くはない、はずだけどな。

 ないよな?





 今度はちゃんと改善が行われ、三度目のティターン・チャレンジをする事になった。

 前哨戦のウッドフェンリルの相手にもずいぶん慣れてきたため、既に戦いの中で不安を感じない。


「グレート動〇剣! 真っ向唐竹割り!!」

「斧で?」

「それは言わないお約束なの」


 まぁ、ここで苦戦するなら、ティターンには挑めない。

 それに数を熟せば、学習能力の高いロボットたちが勝てない道理はないのだ。


 勝てないとしたら、そもそも地力が足りないか、余計な事をしているかのどちらかぐらい。

 今回も遊びは、発言以外は、無かったので楽勝である。



 二度のウッドフェンリル戦を終え、準備が整えば、本番となる。


 今回は、種子を2個。

 報酬が魔石だけ、という事は無いと信じたい。

 もちろん、その分だけ敵も強化されている事だろう。


「エメラルドウルフは無いとして。ファイアウルフ、メジェド、リビングメイル、ゴーレム。どれが来るか。それとも、俺たちが作っていない(能力)が出てくるのか」


 気になる事としては、敵の能力。

 前回出てきたティターンは、エメラルドウルフの万華鋼を使っていた。

 前々回がゴーレムのものだったのを考えると、今回も違うものが出てくるのではないかと思っている。

 で、俺たちがこれまで作った万華鋼は5種類で、最初の一戦が種子6個で、1種類足りない。


 どこかで、何か別物が出てくる。

 そう考えると、油断はできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ