ティターンのリザルト
「これでドロップがショボかったら、本気で泣く」
今回はいきなりイレギュラーなボス戦だったため、俺たちは体制を立て直すため、一度、外に戻った。
初見のボスだからトレジャーボックスの中身が分からないため、ドロップアイテムの確認はしていない。
デカい物を引き当てた場合、持ち帰るのが大変だからだ。トレジャーボックスのままなら、手のひらサイズなので問題ないというわけである。
「ふむふむ。種子はダンジョンボスの変更に使われたのだね。
これが種子の正しい使い方なのかもしれないじゃないか! いや、今まで誰もたどり着けなかった謎が分かってしまうとはね! 素晴らしい!!」
なお、タイタンの中に仕込んであった、ウッドフェンリルの種子は6つ消滅しているのを確認した。
タイタンのログを確認すると、ボス部屋に入った瞬間に消えているのが分かった。僅かだが魔力反応があり、重量が軽減されたのでそのタイミングが一番怪しい。
そして種子が消えてからティターンが出てきた事を考えると、これが正解なのだと思う。
検証のため、ティターン召喚の再現試験を行う予定を立てたけど……正直、しばらく遠慮したいと思う。
またすぐに“アレ”と戦うのはゾッとしない。巨大化後の対策まで考えてから挑む所存である。
俺は慎重なチキン野郎なのだから。
種子の使い方が分かり、種子を使ったアイテムの研究は一時中断。
他にも使い方が見付かるかもしれないけど、ティターン召喚のリターンが大きいのなら、そちらに使いたいからだ。
なお、それを進言したのは四宮教授。俺ではない。
「じゃ、開けますよ」
「うむ! やってくれたまえ!」
「楽しみですねぇ」
今回の収入は、ティターンのドロップと、ティターン討伐後に倒したエメラルドウルフなどのドロップだけ。
ティターンのドロップがショボかったら、光織たちやタイタンの燃料代にもならず、マジで赤字となるほど侘しい。
たから今回は色んな意味で期待している。
「え?」
「ほ?」
「あら?」
そうしてトレジャーボックスから出てきたのは二本の槍。あとは。
「タイタン? いや違う」
「これは、まさか?」
出てきたタイタンに、四宮教授と及川教授の驚く声。
二人はすぐにそれがタイタンではないと気が付き。
「ティターンだ、これ」
「「はぁぁぁっ!!??」」
思わず俺が呟いた正解に、叫び声を上げた。
高価なものが出てほしいとは考えていたが、さすがにコレは予想外もいいところである。
もしもこのティターンがダンジョンで出てきたティターンと同じなら、ノーマルのタイタン10億円でも安すぎる。100億円出すと言われても売りたくない。もう一桁、1000億積まれようと首を横に振る。
むしろこれを売る奴は、よほど急ぎで大金が欲しいのでもないなら、ただのバカぐらいじゃないだろうか。「これを売るなんてとんでもない!」のである。
そして槍も良いものなので、これも売りたくない。
精霊銀の魔法剣よりもランクが上なので、二本しかないけどチームの新しいメインウェポン決定である。
……つまり、大赤字決定。
これを将来の投資と考えれば、しばらくすれば回収できるんだけど、現段階では圧倒的赤字。僕らは貧乏神に呪われている。
資産的には黒字なんだけどなぁ。
なのに魔石的には赤字とは、これ如何に?
予定していた収入がほぼ無くなったため、しばらく他所で魔石を稼がないと、だな。はぁ。
「む? 全く動かないね。バッテリーの残量がゼロなのかな?」
「そのようですね。巨大化したという話ですし、ゴーレムの魔石でバッテリーの補充をしましょう。
いえ、その前に内部の構造の確認を……ああっ! メンテナンスハッチが無い! これは、どこからバラすべきでしょうか」
「落ち着きたまえ。せめてスキャンをしてからなのだよ。
それよりも、ティターンかね? このロボットのAIはどうなっているのか……」
やや落ち込み気味の俺と違い、教授二人は目の前のオモチャに夢中になり、ワイワイと楽しそうに相談をしている。
いやなんか、解体しちゃいそうじゃないか?
……壊さないでくださいよ。ホントにね。




