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マシンゴーレム③

 目の前の敵が何なのかは横に置き、さっさと倒してしまおうと魔法を使う。


「あ、水系統の泥沼より、こっちの方が良かったか? 『溶岩沼』っと」


 ティターン一体の下半身を泥沼に沈めた後、次にターゲットを変える。

 今度は泥沼ではなく、溶岩の沼。

 普通のモンスターなら即死しそうな高威力高火力な魔法に見えるが、意外とそうでもないのであんまり使えない不遇な魔法である。


 さっきは下半身まで沈める沼を作ったが、溶岩沼は深さが足りないのでティターンの足首までしか浸からない。

 それでもそこそこのダメージを与えたように見えるけど、残念ながら歩けなくなるほどのダメージではなかったようで、敵はまだ元気だ。浸からせる時間が少なすぎたようである。

 魔法剣が魔法の威力をブーストしてもコレだっていうのが悲しすぎる。


 あと、高温で足元の草が煙を上げ始め、視界が悪化してしまった。ついでに臭い。

 ここが開けた空間だから使えるけど、狭い所で使えば溶岩の熱さで自滅する事にもなるからなぁ。ゲームみたいに、どこでも好きに使えるってわけじゃないんだ。

 今回はもうちょっとダメージを与えて機動力を奪えるかなって思ったんだけど。難しいな。


 続けて沼に沈めていくのが一番安全で効果的かなって判断し、続けて沼に落としてやろうと次のティターンに視線を向けると、奴は巨体に見合わぬ素早さを発揮し『泥沼』の魔法を回避してみせた。

 ヤバいな。もう魔法の発動を見切られたか。

 困った事に、敵は俺が魔法を使う前兆を察知できるようで、泥沼の魔法が使いにくくなってしまった。



 これ、かなりの強敵じゃないか?





 泥沼に落ちたティターンについてはタイタンとバトルクロス装備の光織がボコボコにしていて、沼から出てくる前に片付けようとしていた。


 ティターンの防御力はタイタン以上のようで、猛烈な攻撃のわりに与えるダメージはあまり入っていない。

 沼から出られなくすることは出来ているし、外から手助けが無ければこのまま倒せるが、ちょっと時間がかかりそうである。


 溶岩で倒そうとしたティターンはタイタンが引き気味に戦い、六花と晴海の二人がダメージディーラーとして槍を(・・)振るっている。

 槍?


 六花と晴海の二人は、今回は通常装備で、魔法剣がメインウェポンである。

 パイルバンカーはタイタンの担当で、こちらは予備の魔法剣だし、使えないという事は無いはずなんだけど。



 先ほどの光織たちの戦いぶりもある。

 俺は少し嫌な予感がしたので、今よりも後方に下がり、地面に突き刺さっていた、ティターンの投げた槍の穂先を魔法剣で軽く攻撃してみた。

 思ったよりも甲高い音が響き、返ってきた感触から嫌な予感が的中した事を知る。



「嘘だろ。この金属、精霊銀より強いじゃないか」


 この槍に使われている金属は、精霊銀の魔法剣よりも上位の素材だった。

 考えたくはないけど、もしも同じ金属がティターンを守っていた場合。何も考えず魔法剣を使い、全力でティターンに切りかかったとする。その場合、魔法剣はその刃を折られ、使い物にならなくなる。

 最初の投擲から俺を守った時に、武器の性能差を理解したに違いない。そこから敵の装甲がヤバいと判断したんだろうな。


 あの二人がスケールの問題で使いにくいティターンの槍を使って戦っているのはそういう事なんだろう。

 光織はバトルクロスを装備していて、専用武器である万華鋼の斧があるからいいけど、二人はそうじゃないからな。

 せめて装甲を一部でも破壊して中身を露出させるまでは、魔法剣は使わない方が安全だ。



 敵の装甲がヤバいなら、通常攻撃以外の攻撃手段を試すべきか。


 さっきの溶岩を頭からぶっかけてやりたいけど。それをした場合、仲間に被害が出かねない。

 電撃なんかは光織たちだって対策しているし……効果が無さそうな気もする。

 酸などもなぁ。手持ちが無いし、タイタンたちはそっちも標準で対策済みだから。敵も同じとみて良いと思う。


 自分たちで開発してきたロボットだが、こうやって敵対すると、かなり厄介だと思い知らされる。

 いや、レベルアップの回数次第って面もあるだろうけど。


 まったく。なんでこんな敵が出てきたんだ?

 ウッドフェンリルを出せよ、ウッドフェンリルを。

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― 新着の感想 ―
[一言] つまり種がボス本体でエメラルドウルフ+種=ウッドフェンリルだったと。 これは盲点でしたな。
[良い点] 一体何奴だ!?
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