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ウッドフェンリル攻略⑤

 仕込みは間に合わなかったので、次回以降に回すとして。

 それはそうと、二回目のウッドフェンリル戦にやって来た。



「私達に……同じ技は通じない!」

「今の私は、一秒前の私より進歩している!」

「ぴきーん! 晴海はウッドフェンリルを見切った!」


 三人娘は二度目のウッドフェンリル戦に余裕の態度を見せている。

 ロボである彼女らの学習能力は俺よりも高いので、その余裕もあながち間違いではない。前の戦闘経験から、力の効果的な配分ができるようになっているはずだ。


 ただ今回は未来の自分のために、検証を行うつもりでいるため、ちょっとだけ生まれた余裕を使わせてもらう。




 ウッドフェンリルと相対する。

 隊列だが、俺の位置は後衛で、前衛中央に光織、左右にそれぞれ六花と晴海が控えている。


 ウッドフェンリルは無造作に、最も近くにいた光織へと噛み付こうとするが、光織はそれを躱すとその鼻面に一撃を加える。


「今回の香水に意味はなかったか。こうなると(にお)い爆弾も怪しいかな」


 現れたウッドフェンリルは初手に柑橘系の香水を付けた光織に噛み付こうとしたので、匂いを使ったヘイトコントロール、狙われ難くする工夫は無駄に終わる。

 その後もハーブ系の香水をつけた六花、アルコール臭い晴海にも普通に攻撃をするし、その行動が阻害された感じはしない。


 また、噛みつき攻撃を利用して口の中に『無農薬農薬』入のカプセルを食わせてやったが、それも効果なし。ウッドフェンリルに匂い攻撃は意味を成さないようだった。

 他にも除草剤などを使ってみるが、即効性のあるものは取扱い注意の危険物であるため持ち込めなかった事もあり、これといって効果がありそうな物は見当たらなかった。 


 また、継続的に燃やせるようにと、着火用のゲル剤を使って頭を燃やしてみたが、これも微妙。

 バケツ一杯の半分ぐらい着火剤を使っても、火を点けてから倒すまでの時間が短かったので、やはり意味はない様に感じた。

 付け加えると、それで視界が駄目になるとか、燃える顔面をどうにかしようと暴れてもくれない。

 長期戦ならば効果的な手段だったかもしれないけど、短期決戦で着火剤は駄目なようだ。





 三回目のチャレンジ。

 今度は仕込んでおいた、ゴーレム&ファイアウルフの万華鋼の斧を用意してみた。

 2種類の万華鋼を使っているが、合金にしたわけではなく、斧の刃部分をファイアウルフの物にして、残りをゴーレムの万華鋼にしたのだ。


 使うのは、光織とバトルクロス。

 それぞれ、バッテリーにゴーレムとファイアウルフの魔石を使っている。


 2種類の万華鋼の併用が出来るかどうかは賭けであったが、これはボス戦前にチェックしたので問題ない。ちゃんと同時発動できる事を確認したよ。

 作る時にイメージしたとおり、燃える刃の斧が巨大化する、そんなステキ武器が出来上がった。


 これで複数の万華鋼を使った装備の開発、運用が実現したので、今後はやれる事が広がると同時に、魔石の組み合わせの確認作業という追加の課題が積み上がってノルマが増えたよ。やったね!

 ……ただでさえ、生産量が少ない万華鋼の「やりたい事」が増えるのは、素直に喜べないけどな。



 愚痴は横に置き、ウッドフェンリル戦三回目。

 今度は巨大化する斧という新装備を引っ提げてやって来たものの、結局そこまで効率は良くならなかった。


 元々使っていた精霊銀の魔法剣は、現在保有する武器の中でもトップクラスなのだ。素で切れ味上昇と属性付きの特殊効果付きなので、ゴーレムだって易々と斬れる剣なのである。

 そして万華鋼は対応する魔石によって特殊効果を発揮する特殊金属だけど、物性はそこまで上位のものではなく、言ってしまえば基本スペックが格下なのだ。

 ゲームで例えるなら、特殊能力は強いけど攻撃力の低い武器のようなものだろうか。特殊能力による補正があった所で、その差を埋めるのは難しい。



 こうなると新しい斧は巨大化による攻撃力上昇で勝負するより、レベルアップの速度で挑むしかない。ベースとなった鬼鉄の性質もあり、レベルアップによる強化の速度だけは、万華鋼の方が上だ。

 光織の保有する経験値を斧の強化に使う事も考えたが、さすがにそれは勿体ない。使い込んで地道に強化をしていけば、この万華鋼の斧は“ウッドフェンリルに対しては”有効な武器となるだろう。


「他のモンスターに、そこまで有効かって言われるとなぁ。ドラゴン相手にも、使えなくはないか?」

「傷を焼く事でダメージアップ。もう一声欲しいですね」

「ファイアウルフの万華鋼ではなく、エメラルドウルフの万華鋼の方がより有効な気がするのだよ!」


 将来性を見越すなら、ドラゴン相手に使えるかどうかを考えないといけない。


 物干し竿のように伸びる剣、今回の斧のような刃が巨大化する斧。これがドラゴンにも通用する、優秀な特殊能力付きの武器なのは間違いない。

 ただ、これが最適解かと考えると、そういう訳でもなく。ドラゴン対策装備であればブレス対策に風属性の方が有効じゃないかなとか、そんな事を考えてしまうわけだ。


「攻撃力だけ見れば、こっちの方が強いんだし」


 考えるべき事は、まだまだ多い。

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