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ウッドフェンリル攻略④

 タフな再生持ちに長期戦を仕掛けるのは自殺行為だ。

 出し惜しみ無し、全力全開の短期決戦を挑む。


「これなら!」

「やったか?」

「それはやってないフラグだよ!」


 手数よりも一撃の重さで勝負。

 大振りの攻撃に制御可能な魔力を上限まで乗せての波状攻撃。

 そこまでやればさすがにダメージも通るようで、ウッドフェンリルの体に大きな切り傷とが刻まれ、そこから大量の蒸気が噴出していた。


 俺たちの攻撃は火と土の属性を持つ魔法剣による攻撃だ。

 切れ味向上に加え、切った相手を燃やす追加効果があったのだが、蒸気が噴き出すだけで燃える気配がない。

 どうやらウッドフェンリルの体内にあった水分が邪魔をして、火が点かないようだった。



 燃やせなければ与えたダメージの回復も早く、ウッドフェンリルに刻まれた傷が目に見えて癒えていく。


「させるかよっ!

 からの、シュート!!」


 ならば、やるべき事は単純だ。

 相手が回復しきる前に押し切るしかない。

 俺は三人娘が付けた傷の一つ、後ろ足のスネに追撃を加え、切断に成功する。そして切り飛ばした足の先を蹴り飛ばし、再生に利用されないようにした。


「しょーりゅー〇ーん!!」

「ウィニング・ザ・〇インボー」

「わが生涯に、めっさ悔いあり!!」


 切り飛ばしたのは、たかが足一本、ではない。

 四肢の一つを切り落とされれば、四つ足の獣であっても機動力の大幅な低下は免れない。

 獣を模した姿である以上、その動きは大きく制限される事となる。


 三人娘はその隙を突き、身体の下に潜り込むと、彼女らの頭上にある腹に向け、剣を突き立てた。

 そして制御など考えず魔力を注ぎ、ウッドフェンリルの腹を焼き払う。


 今度は剣を深く突き立てた状態からの燃焼だったため、さっきよりも火力が強い。

 ウッドフェンリルはたまらず伏せるように動き、三人娘を押し潰しつつ、ついでに消火しようと転げ回ろうとしたが。


「「「インパクト!!」」」


 それを阻止する、ナックルバンカー。

 10tトラック並みの巨体のウッドフェンリルであったが、レベルアップを重ね、魔力でガチガチに強化された三人娘が協力すれば、持ち上げられない重さではなかった。

 しかも伏せに対し、カウンターのように繰り出されたナックルバンカーの威力を高めただけであり、ウッドフェンリルはその巨体をひっくり返す羽目になった。


 ひっくり返ったという事は、無防備な姿を晒しているという事であり、攻撃する絶好のチャンスだ。

 俺はウッドフェンリルの尻の方にいたので、尻の穴から体の中を焼き尽くしてやろうかと一瞬だけ考え、その考えを破棄してから、唐竹割で切り易そうな尻尾を付け根から切り落とし、切り落とされた尻尾も遠くに蹴り飛ばす。

 犬の尻尾は体のバランスを整えるものらしいので、足だけでなく尻尾を切り落とすのは効果的な攻撃なのだ。



「他の足も切り落とせ!!」


 そして俺よりも前足に近い三人娘に追加の指示を出した。

 これで足をもう一本奪えば、ウッドフェンリルはまともに戦える体ではなくなる。

 時間を与えればまた生えてくるのだろうが、そうなる前に倒し切るだけだ。


 もちろん俺も、残る後ろ足の細い所を狙って切り付けていく。

 一度勝ちパターンに入ってしまえば、後は処理するだけである。こうなるともはや戦闘ではない。油断さえしなければいいのだ。


 全力で攻撃してもさすがに全ての足を切り落とすことはできず、ウッドフェンリルが起き上がるまでに前足を片方切り落とすにとどまったが、これで戦闘はかなり有利になった。



 ウッドフェンリルは身体を起こして再生しようとするが、足を二本、尻尾も失い、残る足も無傷ではない。これではまともな移動や攻撃もままならず、噛み付きや悪あがきの体当たりにさえ気を付ければいい。


 時間をかければ失った足を再生できるんだろうが、そんな時間を与えるはずがなかった。

 足がなくなったところでそのまま猛攻を仕掛け、太い首を切り付けていく。


 傷を広げようと、炭化した部分に追撃を加えていく。

 そうすると首を両断する前にウッドフェンリルの命が尽きたようで、黒い靄になって消えていった。

 危なげなく完勝できた事に安堵の息を吐く。


 

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