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第二次防衛計画①

 すでに狙われている、そういう認識でダンジョン周辺の防御力を上げていかねばならなくなった。


「これ以上の、土地の売買は厳しいですよ」

「予算にも限りがありますし、周辺の理解を得られるかどうかだね。下手をすれば、我々が厄介事を持ち込んだと非難されかねないからね!」


 一番分かりやすい防衛策として、追加で周辺の土地を購入し、侵入者の早期排除をする方法がある。

 こちらの使える土地が広ければ広いほど、敵の排除に使える空間が広がるのも嬉しい。

 だが、その手は使えない。


 と言うのも、危険なダンジョンが近くにあるからと、逃げ出せる人はだいたい逃げ出している。

 金銭的な理由で逃げられなかった人も、最初の土地購入でだいたい居なくなった。


 それでも残っているのは、いま住んでいる土地や家に愛着がある人たちで、粘り強い説得か、問答無用のマネーパワーでどうにかするしかない相手である。

 一言で片づければ、地上げ屋もどきの俺たちから見て、面倒くさい人ばかりなのである。


 手間とコストを考えると、彼らとは関わる方が損である。

 さらに、本当に襲撃があった場合はその責任を問われかねない。〇ルトラマンはどこで戦ってどれだけ被害を出しても攻められないが、〇ンボット3は戦場になった地域住人から責められるようなものである。


 普通に考えれば攻めてきた奴が悪いのだが、責められるのは攻撃を受けた側という世間の構造。反撃し難い責めやすい人間を責めるという、衆愚の悪癖であった。



 よって、現在保有する土地だけで襲撃者をどうにかしようというのが話の第一段階だ。


「ダンジョン内の要塞化を進めるべきだと思う」

「それが妥当だね。内部にトラップを仕掛けよう。天井の崩落なら、そこまで難しくもないよ!」

「ローリングストーンは強力ですが……準備や片付けが難しいですね。断念しましょう。リユース、使いまわしがしやすい罠。ベトコントラップなど、いいですね。相手は足元に注意を向けるでしょうし、そこに振り子罠が襲ってくれば意表を突けるかもしれません」

「いや、それ要塞違う。〇ンディ・ジョーンズじゃないですか? もしくは〇ームアローン」

「何かおかしかったかね?」

「いえ、普通では?」


 外の拡張ができないなら、内部(ダンジョン)でどうにかしよう。

 教授二人は、ここのダンジョンはロケットストーンという天然の地雷モンスターがいるので、それを利用し、天井系の罠を作ろうとアイディアを並べ立て始めた。


 出てきたのは古い冒険映画などで有名な某シリーズを思い出させるトラップばかりである。

 詳しく聞けば、どこかのゲーセンのゲーム、その要塞ステージに出てきた罠だったらしい。

 何をやっているんだ、大学教授。


「当時は助教授ですらなかったのだよ!」

「関係ないですよねぇ!?」


 そういう問題ではない。



 冗談は横に置き、洞窟の崩落というのは殺意が高い。

 決まれば、確実に相手は死ぬ。

 たとえ逃げられても、崩落で塞いだ通路次第で、そのまま閉じ込めて終わりになるパターンだ。そしてそのまま死ぬことになる。

 運良く安全の方に逃げたとしても、その直後は退路を失った状態になるので、そこを攻めればわりと簡単に倒す事も出来るだろう。背水の陣は一か八かの起死回生の策でしかなく、後ろから攻められないというメリットがあるものの、戦力に相当な差が無い限り、持久戦に持ち込まれればそれで詰むのだ。

 なんなら追加で崩落させれば止めになる。


 このトラップの問題は、崩落の範囲を指定するのが難しい事。

 下手にやらかしてしまえば、想定以上の広範囲にわたって天井を崩落させてしまい、仕掛けた側が巻き込まれるというマヌケな展開になってしまう。

 洞窟の崩落は、自爆覚悟の大技に近い。こっちにとっても賭けなのであった。



 それと比べると、ベトコン――南ベトナム解放戦線のゲリラ兵士が使った、竹やりが無秩序に刺さったエリアを作るというのは、まだ作りやすい。

 モンスターも含め、そういった罠で足元に注意を引き、相手の意識を逸らしたところで振り子罠。天井に吊るした“何か”で侵入者の脳天を吹っ飛ばすというのは、古典的だが有効な手法である。

 特に、こういった罠は原始的だから、レーダーなどで判別できないというのもポイントが高い。

 金属さえ使わなければ、レーダーって役に立たないからね。意外と使えそうに見えるんだけど。


「問題は、そういった罠を仕掛けた場合、ストーンゴブリンが漢探知と漢解除で潰していきそうな事だと思います」

「うぐっ!」


 侵入者がいない間に準備する罠の大半は、住人であるモンスター、特にストーンゴブリンが引っ掛かり、壊していきそうだ。

 竹やりなんて、どう考えても生身の人間にしか効かないだろうからね。石の体をしたゴブリンなら、遊び半分に壊しかねないよな。


 指摘された及川教授はぐうの音も出ないようで、代わりに四宮教授が変な呻き声をあげた。

 もうちょっと、実現可能な話をしようよ。

 その為にも、先に条件とかをもう少し整理したいんだけど、良いかな?

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― 新着の感想 ―
[一言] >いや、それ要塞違う。〇ンディ・ジョーンズじゃないですか? もしくは〇ームアローン もしくは刻命館
[一言] いや、トラップダンジョンを作るより、敷地内の物理的セキュリティーを段階ごとに分けて、それぞれに必要な入場権限と障壁を確保することが最優先なのだが… その手の仕事をしてますが、的外れな対策と…
[一言] 入り口付近に高低差付けて二酸化炭素溜まりでも設置するとか? ロボットと召喚モンスは呼吸しないし中に入る時には 周囲の気温に左右されない大型ロボ(内部気密タイプ)に乗って出入りすれば 自身は罠…
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