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強化プラン そのに

 バイクは普段の移動手段としても使えるので、公道を走れず自分の土地の中だけとはいえ、あった方が便利なのは間違いない。

 山と山の移動というのは体力を使うし、歩きでは時間がかかる。車よりも小回りの利く乗り物があると都合が良いのだ。


 レベルアップについてはダンジョン内での使用を考えた結果なので、外では必須と言えないんだけどね。

 まぁ、性能が良いに越した事は無いだろう。



 そうやって足回りを強化しているわけだが、最近は新しい攻撃手段の模索もやっている。


「ヨーヨーでは、ダメージが与えられないという結果が出ました」

「当たり前じゃないですか」

「スケバ〇刑事(デカ)ならぬ、スケバンロボ。語呂は良かったのですけれど」

「あ、57mの方じゃなかったんですね」


 時々、及川教授(・・)が愉快な装備を置いて行き、使い方をレクチャーしているけど、実際にモノになったケースは稀である。


「武器としてと言うよりも、遠方にある木に引っ掛けてロープを張るなど、そういった使い方ができれば良かったので、問題はありませんけれど。武器としても使えれば、もっと良かったのですよ」

「あ、ちゃんと実用性を考えていたんですね」

「それは勿論。ヨーヨーの紐に使っている物も、最新素材なんですよ。これは簡単に切れないし伸びにくいので、光織たちがぶら下がっても大丈夫なんですよ」


 中には武器ではなくファッションアイテムが混じるけど、それなりに使い道を考えて作られているので、良しとしておく。



「射撃系の武器が使えないのは、やはり痛いですね」

「日本だもの。仕方がないですよね」


 ネックになるのは、射撃武器が無い事。

 日本では遠距離攻撃武器への制限が厳しいため、銃やクロスボウなどが装備できないのだ。

 ロケットなパンチすら、様々な理由で許可が下りたりはしない。



 こういった遠距離攻撃は、経験値効率が最悪になるため、出番が無いように思われがちである。

 しかし、先制攻撃でダメージを与えておけば、接近してからの戦闘が楽になるし、連携力は必要だが複数で1体を囲んで戦うのも楽になる。

 状況によっては接近される前に数を減らしたいだとか、様々なシチュエーションを考えれば遠距離攻撃武器はあった方が良いのである。


「四宮式でいきますか?」

「ピッチングマシーンですか。懐かしいですね」


 人間の冒険者であれば、魔法という攻撃手段があるので、銃が使えなくてもそこまで問題が大きくならない。

 しかし光織たちは魔法を使える可能性が低いため、別の手段で補う必要があった。


「普通に投げるのでは、回転率が低すぎませんか?」

「そこまでの連射性能を……必要とする場面も、あるにはありましたね。ですけど、威力の低さはどうしようもありませんよ」


 単に、遠距離攻撃手段と言うなら投石などでもいい。

 そこらに落ちている石などでは形が安定しないのであまり期待できないが、投げる物を事前に用意しておけば、投石でもそれなりの効果が見込める。


 ただし投石では投げるモーションが大きすぎて、速射性や連射性能に難がある。

 それらを高くすると、今度は威力が期待できなくなる。

 指弾などといった攻撃は牽制以上の効果が見込めず、射程も短いので使い勝手が悪い。

 その昔、四宮教授が提案した個人携行を可能としたピッチングマシーンというのは理に適っているのである。


 残弾の問題が出てくるが、それはどんな遠距離攻撃にも言える話なので、そこは無視していい。





「使用者からある程度離れると、刃を展開して敵を切り刻むヨーヨー。面白いと思ったんですけれどね。制御も楽ですし」

「そんな、マンガじゃあるまいし。ヨーヨーの回転数じゃ切断力に期待できるはずもないでしょうが。敵に食い込んで、回転しなくなって終わりですよ。それぐらいなら、素直に電気でも流してくださいよ。

 と言うか、どれだけヨーヨーが好きなんですか」

「ロマンですよ、ロマン。さすがにゴルフで敵を倒そうとしていないんだから、いいではありませんか」

「ゴルフ? クラブで殴るんじゃないですよね。まさか、普通に打ってゴルフボールを当てるんですか?」

「そういうドラマが、昭和の時代にはあったんですよ。火のついたゴルフボールを打つシーンが有名ですね」

「何をどうしたらそんな事をするキャラが生まれるんだろう……? いや、ヨーヨーで戦うスケバンも大概ですが」

「続編の鉄仮面なんて、今考えると本当に意味が分かりませんよね」


 及川教授はアラフィフであり、昭和生まれだ。

 当時のドラマなどをリアルタイムで観ていたからか、そちら方面からネタを引っ張ってくる事もある。

 きっとバスターなホームランの元ネタだろう、ゴルフネタは横に置き。


「そういえば、リミッター解除系のネタはやらないんですよね」

「戦闘中は、常にリミッターを解除していますよ。戦闘状態で機能に制限を設けていた場合、敵から攻撃を受けてやられては意味がありませんからね。だったら無制限に力を使わせ、敵の攻撃を回避した方が、最終的な被害が少なくなるんですよ。宇宙戦艦の主砲を出力120%で撃つのと同じ理由ですね。

 ……以前、説明しましたよね?」

「申し訳ありません!」


 ちょっと気になっていたのは、様々なロボットアニメで見かける、出力制限解除機能についてだ。

 ピンチで「リミッター、解除!」と叫ぶのはロボットアニメだとお約束だったので、それに近い機能を用意したりしないか、気になっていたのだ。

 光織たちは無理でも、タイタンにならまだ搭載できそうだったので聞いてみたが、ちょっと怒られた。


 すでにその機能が付いているとは思わなかったし、しかも普段使いしていたとは。すっかり忘れていたな。

 謎エネルギーとかでもない限り、俺がイメージするリミッター解除は出来ないと。

 諦めるしかないか。

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― 新着の感想 ―
なんちゅう懐かしいネタを···なんちゅう懐かしいネタを読ませてくれてんや(涙 まぁレベルアップという不思議現象が起こる世界なら、植物をレベルアップさせた方式による『物品のレベルアップと販売』という商売…
[一言] >>無制限に力を使わせた方が、最終的な被害が少なくなる 負荷の掛かりやすいパーツはデータ取りも含めてすぐに交換、常に一定以上のコンディションを維持してる 実質採算度外視な運用環境だから言える…
[良い点] リミッター解除といえばいいけれど、安全係数無視した稼働が常態化するのは、うん……よくあることですな(´・ω・`)定格で70kg積める台車なら100kg近くまでは積載しても問題ない理論。 ジ…
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