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エピローグ 黄昏の帰還 【勇騎視点】

「……ねぇセンセー、まだ到着しないの?」



 一定のリズムで振動を刻みながら、俺達を乗せた列車は清々しい晴天の中を駆け抜けて行く。

 そんなとても気持ちのいい外の景色とは打って変わって、俺の隣の通路席に座るツンデレお嬢様のご機嫌は次第に雲行き怪しくなって来ていた。


「んー、さっきの駅でちょうど半分だな」


「えぇっ、まだ半分っ!? うぅ……私、もうお尻が限界に近いんだけどぉ……?」


 千年に一度の超VIPお嬢様には、どうやら一般庶民の乗り物は合わなかったらしい。


「いや、だからマモの穴で送って貰うってなった時に言ったじゃないか? ドゥルだけでも先に城まで送って貰った方がいいんじゃないかって……」


「……そ、そうだけど。でも、だってセンセーがこの二人と一緒に帰るって言いだすから。なら私一人だけ先に帰るなんて……なんか寂しいじゃない」


 可愛らしく頬を膨らませながら拗ねるドゥル。そんな俺達の前の座席には、ぐっすりと眠っている勇蘭とミハルちゃんがいる。

 ミハルちゃんの席の台座には、これでもかと山積みになった空の弁当箱達。



 そう……今回の事件が無事解決し、とりあえず報告も含めて一度日本まで帰還する事となったまさにその時。


 突如ミハルちゃんが可愛らしくお腹を鳴らしながらどうしてももう一度駅弁が食べたいと言い始め、そんなミハルちゃんに激甘で唯一金を持っていた勇蘭もそれに付き添うと言いだしたのだ。

 勿論、そんな二人を置いて俺だけ先に帰る訳にもいかず、星蘭さんとの約束の件からも当然二人に着いて行く形となり……そして今に至る。


「まぁまぁ。ドゥルだって自分の好きなものの為なら多少ワガママ言っちゃう時だってあるんじゃないのか?」


「……むぅ。まぁそれは……そうかもだけど……」


「だろ? それにせっかくだからさ、俺、ちょうどドゥルにお礼を言っときたかったんだよ……」


「……お礼? センセーが、私に……?」


「あぁ……」


 まるで心当たりがないといった表情のドゥルに、俺はここに来る前の事を思い出しながら語りかける。


「そう言えばまだ、君には言ってなかったな。……あの時、君が俺をこの世界に召喚してくれたちょうどあの時さ? 実は俺、自殺を図っていて……」


「……じっ、自殺っ!? な、なんでセンセーがっ?」


「んー、まぁ話せば長くなるからちょっと割愛するけど……まぁ単純に生きる希望ってやつを見失ってたんだよ、その時の俺は……。それで少し立ち止まるだけならまだ良かったんだけど、でも馬鹿な俺はその先の未来までも全部諦めてしまって、生きる事から逃げ出そうとしていたんだよ。……はは、本当情け無い話だろ? どんなに辛い事があっても、どんなに悲しい事があったとしても、頑張ってその悲しみを乗り越えて、一生懸命に前を向いて歩き続けてる人達なんて沢山いるのにさ……?」


「……センセー……」


「……だけど、理由はどうあれあの時。あの時君が俺を召喚してくれたから、俺をこっちの世界に連れて来てくれたから……だから俺はこうして勇蘭達とも出会う事ができて、そしてこの旅を通して、もう一度大切なものを見つける事が出来たんだ。……生きる希望を、意味を、叶えたい夢を、もう一度見つける事が出来て……もう一度、俺の人生を歩き始める事が出来たんだ。でもそれは、やっぱり君があの時俺を召喚してくれたから、例え偶然でも、あんな馬鹿な俺を助け出してくれたから……だから俺は今こうしてここにいられるんだよ。もし、あの時君が助けてくれていなかったら、きっと俺はあの世でもの凄い怒られてさ? 絶対に後悔していたと思うんだ……」


「……あの世で怒られるって……ふふ、何それ?」


 その部分が俺の冗談だとでも思ったのか、ドゥルは可笑(おか)しそうに微笑んで見せる。


「いや、本当なんだって。……まぁとにかくそういう事だからさ? 本当に……本当に君には感謝しているんだ。こんな馬鹿で情け無い俺を助けてくれてさ、こんな俺にチャンスを与えてくれて……だから本当にありがとう、ドゥル。君がここいてくれて、本当に良かったよ……」


 俺は最大限の感謝の気持ちを込めて、彼女にお礼を伝える。

 すると彼女はとても気恥ずかしそうに、凄く真っ赤な表情になって……だけど隠しきれないのかとても嬉しそうに笑みをこぼしながら……ツンデレたのだった。



「……べ、別にっ、センセーの為に召喚してあげたんじゃないんだからねっ!」



             ☆



「ん、んー……っ、はぁ。あー、ようやく戻って来られたなこの街に。なんかこの駅のホームも物凄く久しぶりに感じるよ……」


 時は既に夕暮れ。

 とても綺麗な茜空に包まれながら列車を降りた俺は、ようやく長時間の拘束から解き放たれたこのマイボディを優しく伸ばしほぐしてあげる。

 するとその後をぞろぞろと勇蘭にミハルちゃん、ドゥルも降りて来て、皆一様に体を伸ばしながらその開放感を全力で味わっていた。


「……クスッ、そうですね。僕もなんか数年ぶりに田舎に帰って来たような感覚ですよ」


「お父様、それよりもそろそろお夕飯の時間ですし急いで帰りましょうっ」


「……はぁ、疲れた。とりあえず私は御飯よりも先にお風呂に入りたいかなぁ〜、って……あっ、ちょっと待って。ね、ねぇセンセー? 私もしかして今、臭かったりしない? 変な臭いとか発してたりとかしてないわよねっ? ねっ?」


 必死に自分の体の臭いをチェックするドゥル。そんなうら若き乙女の悩み事を、だけど俺は返事を返さず黙ったまま、ある方向へと視線を向けていた。


「……ん、センセー?」


「……勇騎さん? どうしたん……で…………」


 勇蘭もすぐさま俺の視線の先に気付き、そして同じく固まってしまう。

 なぜなら俺の視線の先……俺達の立っているこのホームから改札機の向こう側に、何故か見知った顔ぶれが集まっていたからだ。


 白い普通のシャツ姿の星士郎さん。


 和風ウェイトレスの衣装に身を包んだ愛鏡ちゃん。


 何故かその隣でしょんぼりとしたセーラー服姿の萌愛ちゃん。


 そしてーー



「……か、母さん……」



 周りに気づかれない為の変装のつもりなのか、いつもの高価そうな黒の着物ではなく淡い桜色の着物を身に纏い、髪の装飾なども全て外して、でもいつもの如く凛とした表情の……星蘭さんがそこに立っていたのだった。


 俺達はすぐさま改札を抜け星蘭さん達と合流し、俺はそのまま星蘭さんに向けてふと疑問に思った事を口にする。


「せ、星蘭さんっ、なんで星蘭さん達がこんな所でこんなバッチリ俺達が帰ってくるタイミングで待っててくれてるんですか?」


 俺のそんな疑問に、何故か星蘭さんではなく星士郎さんが答えてくれる。


「い、いやのぉ、少し前に急にあの行方不明じゃった天使兵の方々がいきなり穴から放り出されるように出てきての? それを見た星蘭がいきなり着替えて駆け出してしまいおって……。まぁでもそこでようやくワシもピーンッときての? じゃからこうしてお主らを迎えに来たという訳じゃよ?」


「え、あ、あぁ……ちゃんと天使兵の人達無事に帰って来てたんですね。……ほ、いや、良かったです」


「もぉ〜本当じゃよ〜、本当にお主達ようやってくれたぞい。いや〜これでようやくワシも城の兵達も、心置きなく安心して祝い酒が飲めるというもんじゃて。どうじゃ勇騎? お祝いにお主も今夜はワシ等と一緒にパーっと飲み明かすか?」


「は、はは……遠慮しておきます」


 俺が星士郎さんからのその危険な勧誘を丁重にお断りした、まさにその時だった。



(パァァンっ!)


 まるで誰かが平手打ちでぶたれたかのような乾いた音が、その場に鳴り響いたのは……。



 俺と星士郎さんはその突然の音に体をビクつかせながら驚き、すぐさま音の鳴った方向へと視線を向ける。

 するとまさしく平手打ちでぶたれていて、左頬を赤く染めながらその場で呆然と立ち尽くす勇蘭と……その平手打ちをかました右手を震わせながら、とても怒りが滲んだ表情で真っ直ぐに勇蘭を見つめる星蘭さんの姿がそこにはあった。


 無論、ドゥルやあの勇蘭第一主義のミハルちゃんでさえもこの急展開について行けず、その場で固まったまま当の二人を見つめている。

 ピリピリとした緊張感が俺達を包み込み、街中の喧騒など全く耳に届いてこない。だけど、星蘭さんの言葉だけはやけに鮮明に聞こえて来て……



「……何故叩かれたのか、分かりますか? 勇蘭」



 俺達同様未だ混乱し頭が回らない状態の勇蘭は、左頬を押さえながら黙ったまま星蘭さんをただ見つめている。

 なにか悪さをしてしまい、だけど一体なにがいけなかったのかが全然理解出来ていない子供のような……そんな表情の勇蘭に、星蘭さんは厳しくもきちんと諭すように話を続ける。


「……途中までですが、この度の貴方の行動を、愛鏡さんから教えて頂きました」


 ……ん? …………えっ!?


 俺はその名前が挙がった人物の方へとすぐさま視線を送る。すると愛鏡ちゃんが萌愛ちゃんと共に無言でごめんなさいポーズを取り始めた為、俺はすぐさまピンッと来てしまった。


 ……まさか愛鏡ちゃん達、()()()も喋ったのかっ?


 そう、それはあの……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()時の、まさにあの時の事だ。


「……勇蘭。本当は貴方もわたくしが伝えた通り、自分の力ではこの度の任務は達成出来ないと最初から分かっていたのでしょう? だから純粋に貴方を慕ってくれるミハルさんの力を当てにして、わたくし達に黙って勝手に城から抜け出した。そして愚かにも軽率に行動し、まんまと敵の策略に嵌まってしまい命の危険に見舞われたと……。しかもそれだけならまだ、ただの貴方の自己責任という事で片付けられますが、あろう事か勇騎さんにまで大変なご迷惑をお掛けする事になってしまって……貴方は、貴方は自分がどれほどの事をしてしまったのか……本当に分かっているのですか?」


「……っ、そ、それは……」


 勇蘭は何も言えず、ただ黙って下を俯く。


 きっとその事は、もう十分過ぎるほど勇蘭も分かっているだろう。彼もこの旅で沢山の事を経験し、沢山の事を学んで来たのだから。だからこそ今、何も反論できないでいるんだ。


 俺はそんな勇蘭を見るに見かねてしまい、つい口を挟んでしまう。


「……あ、あの星蘭さんっ。確かに今回の勇蘭の行動は軽率な部分もあったかも知れません。でも、それでも最後の戦いで俺がやられてしまった後、ミハルちゃんもエネルギー切れになってしまったそんな絶望的な状況の中でも、ちゃんと勇蘭は諦めずに活路を見出し、そして最後にはちゃんと相手を説得して見せたんです。だから今回の件が解決したのはそれはやっぱり勇蘭のお陰であって、だから俺達はこうやってみんなでちゃんと無事に帰って来る事が出来たんです。だから……っ」


「ですが、この子はその軽率な行動故に一度は確かにその命を失いそうになり、そしてあろう事か人様の、勇騎さんの寿命を、勇騎さんの未来を……分け与えて貰ったのですよね? ……分け与えて貰ったと言えば聞こえはいいのでしょうが、結局この子の行いが勇騎さんの大切な寿命を奪ってしまった事に変わりありません。だとすれば今回の勇蘭の行いを、愚行と言わずして何というのでしょうか?」


「で、でもそれは俺が勝手にやった事で……っ」


「……そうですね。本当にその件につきましては勇騎さんには感謝してもしきれないほどです。この子の為になんの迷いも躊躇いもなく、その寿命を分け与えて下さったのですから。だからこうして今、この子はここに立っていられるのですから。……ですが勇騎さん? それは今回、たまたま()()()()()()()()()()()から、ですよね?」


「……お、俺だったから……?」


「はい。今回、たまたま事件に巻き込まれたのがわたくし達と接点のある()()だったから、だから勇蘭は命がけで助けて貰えた。事なきを得ました。ですが、もしこれが貴方ではなく全く別の……何の関係性もない()()()()だったとしたら……果たしてどうだったでしょうか?」


「……全く赤の、他人……?」


「はい。例えばもしその場にいたのがわたくし達親子とはなんの接点も関係性もない、全くのただの他人だったとしたら……なら果たしてその人は、自分の寿命を削ってまで勇蘭を助けてくれていたでしょうか? 自分とは何の関係もない勇蘭を、助けてくれていたでしょうか?」


「……そ、それは……」


 俺は言い淀む。

 そんな答えなど、痛いほど分かっているから。


「……勇騎さんも、もう分かりましたでしょう? でもそれは仕方のない事です。誰だって自分が一番可愛いものですから。勿論、中には善意で動き他人の為に行動してくれる人達もいる事でしょう。ですが今回のように確実に自身の命を削るといったような場面で……果たしてどれほどの人が勇蘭を助けてくれたでしょうか? どれほどの人が赤の他人の為に自分の未来を差し出してくれたでしょうか? その人にずっと一緒にいたいと思えるような家族や恋人がいれば尚更です。……でも、だとして勇騎さんはその人達を責める事が出来るでしょうか? 目の前に困っている人がいるなら、例えそれが誰であっても、自分の寿命を削ってでも助けるべきだと……そう責める事が出来ますか?」


「…………」


 俺はもう、答える事が出来なかった。

 星蘭さんの言う通り、例えば今回勇蘭ではなく全くの赤の他人だったとしたら……果たして俺は同じ行動を取っていただろうか?

 ……そう考えるともう、俺に反論の余地など残されていなかった。


「……人様の命を分け与えて頂くと言う事は、そういう事です。そして今回はたまたま勇騎さんだったから、だからこの子は助かりました。こうして無事に、ここに帰って来る事が出来ました。……ですがもし、その時その場所にいたのが勇騎さんでなかったとしたら……もしも他の誰かだったとして、そして見て見ぬ振りをされて、放置されて、そして周囲の誰からも助けて貰えなかったとしたら……」


 星蘭さんは再び勇蘭の方に視線を戻しながら……とても悲しそうに、だけど力強く、その真実を伝える。



「そしたら、そしたら貴方はっ……貴方はもうこの世界からいなくなっていたかも知れないのですよっ? この世界のどこにもっ、お父様の前からもっ、わたくしの前からもっ、もうどこにもっ、どこにもいなくなっていたかも知れないのですよっ? それが、それがどういう事なのか……貴方には分かりますかっ?」



 星蘭さんからのその悲痛な問いかけに、その真意に、どうやら勇蘭も気付いたようで……ようやくその曇った顔を上げて星蘭さんを正面から見据える。


 そう、気付いて当然だった。


 何故なら彼もまた……たった一人の父親を、大切な人を失った側の人間なのだから。



「……もしもっ、もしもそんな事になったら、わたくしは、わたくしはもう二度と……貴方の声を聞くことも、貴方の温もりを感じる事も、貴方の喜んだ顔や怒った顔、泣いてる顔や楽しそうに笑った顔を見る事も出来なくなって……ただ貴方の側にいる事さえも、もう二度と出来なくなってしまうのですよっ!? もう二度と、貴方と会えなくなってしまうのですよっ!?」



 星蘭さんは震える声で、その胸の内に押し込めていた感情を、想いを、溢れ出させていく。



「あの日っ、世界で一番大切な人を失ってしまったあの日からっ、世界で一番大好きな人を失ってしまったあの日からっ、それでも絶望せずに、現実から逃げ出さずに、こうしてわたくしがここまで頑張って来られたのは全部全部っ、貴方が側にいてくれたからでしょうっっ!!」


「……大好きな勇介さんとの間に生まれた、世界で一番大好きな勇介さんと同じくらいとっても大好きな貴方がっ、そんな貴方がずっとわたくしの側にいてくれたからっ、生きていてくれたからっ! だからどんなに辛くても、苦しくても、悲しくても、わたくしは今日まで頑張って来られたのっ! 頑張って生きて来られたのよっ! なのに、それなのに……もしも、もしも貴方まで失ってしまったとしたら……そんなの……」





「そんなのわたくしが……耐えられる訳ないでしょう?」





 ふと気が付けば、星蘭さんのその綺麗な瞳からは勇蘭への熱い想いが止め処なく溢れ出していて……。

 俺がこの世界に来て初めて見る事になったそんな彼女の大粒の涙はとても……とても綺麗な茜色に輝いていた。


 愛しい我が子を想う、母の愛情。


 そんな星蘭さんの想いが届いたのか……勇蘭も泣きそうになりながらもそれをグッと堪えながら、そっと星蘭さんを抱きしめる。



「……ごめん、母さん……」



「……っぐす……ひっく……ホントです。……勇介さんが亡くなった後、あの後わたくしが……ひぐっ……どれだけ一人で、泣き明かしたと思っているんですか? ……どれだけ辛かったと、思ってるんですか? ……大好きな人を、世界で一番大好きな人を失って……どれだけ悲しかったと、思ってるんですか? ……ぐす……なのに、それなのに貴方はわたくしに……そんな思いをもう一度させるつもりなんですか? ……そんなの……ひっく……そんなの絶対に許さないんだから……」



「……うん。ごめん……本当にごめん。もう、二度とこんな無茶な事しないから……もう二度と、母さんを悲しませるような事なんてしないから……」



「……すんっ……()()、出来ますか……?」



「……うん。()()する……」



 勇蘭と交わしたその約束にようやく満足したかのように……抱きしめていた息子の体をゆっくりと離しながら、星蘭さんは優しく微笑む。



「……ふふ、なら今回だけは、特別に許してあげますっ」



 未だ茜色の輝く涙は溢れ続けていたが、でもその表情はとても晴れやかで、とても綺麗で……とても可愛らしい満面の笑顔だった。


 そんな星蘭さんの素敵な笑顔につられるようにして勇蘭も、そして俺達もみんな笑顔になる。


 とても綺麗な夕焼けの中。

 微笑み合うそんな二人の姿に、心がとても温かくなる。


 幸せな気持ちで……満たされていく。




 ……なぁ、蘭子?


 もしかしたら……そっちで君も見ているかな? このとても素敵で、とても幸せな光景を……。


 愛する我が子を思いやる心。


 大好きな母を思いやる心。


 お互いの事を大切に思いあう……そんな思いやりの心がきっと、俺達の人生で一番大切な事なんだって改めて思う。


 ……だからさ、蘭子。


 俺、頑張るよ。


 こんな素敵な光景をさ、もっともっと世界中に拡げていく為に。


 どれだけ辛い事があったとしても、どれだけ悲しい事があったとしても、それでも……世界にはこんなにも素敵な事がまだまだいっぱいあるんだって、沢山の人に伝えていく為に。


 だからさ、だから……もう少しだけ、勇蘭と一緒にそっちで待っててくれないか?



 必ず君との『約束』を叶えてみせるから。



 必ず最後まで、精一杯生きてみせるから。




 必ず……君の元へ、帰るから。

これにて第一部完結となります。ここまで読んで下さった方は本当にありがとうございました。

第一部では愛鏡ちゃんなどの謎部分の回収などが全然出来てないのですが、需要があればまた二部以降も頑張って書きたいと思います。

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