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神音の羽球  作者: ボルタレン
1/7

第1セット、Towards a dream(夢に向かって)

中学生になりバドミントン部に入る事となった少年、河合千明

彼を中心に繰り広げるリアル系バドミントンストーリー


第1セット、Towards a dream



20xx年、ヨネックス杯


千明(…鳴れっ!これが最後だから…壊れていい…ゼロの音!)


パァン!


実況「クロスに決まったー!優勝は河合千明選手です!」


………………


2021年4月◯日


僕は河合千明。中学生になってこれからバドミントン部に入るんだ。

身長は160センチ、体重48キロ

水泳部とバドミントン部で迷ったけど父親がバドミントンやってて、バドミントンなら道具買ってやるって言うからバドミントンにしたんだ。

身長もクラスでは後ろから4番目で、バドも身長高いと有利だからって言われてるし…


よし!今日は部活見学だ!


(体育館)


トスッ…パーン…(シャトルを打つ音)

いーち!にー!さーん!

ファイトー!頑張れー!


千明(うわぁ…思ったより狭いなぁ。部員も結構いるし…)


河西陸「あ、新入生?見学なら上の通路でしててね!」

千明「はーい」


千明(…このレベルが高いのか低いのかもわからないや…でも3年生のスマッシュ…凄く速い…)


河西「おっしゃ行くぜー…ゥオラァ!」

パーンッ!

と高いスマッシュの音が響く


自宅


一輝「おーう、部活見学どうだった?」

千明「んー?うーん」

一輝「んだよそっけねぇなぁ。ま、いいや。ラケット買いに行くぞ」



ラケットショップ


千明(うわぁ…結構いっぱいあるなあ!初心者用からプロ仕様まで揃ってる!)


店員「いらっしゃいませー」

一輝「すいません、この子用にラケットとシューズとバッグを。あと自分のラケットも合うのがあれば」

店員「かしこまりました。どれになさいますか?」


一輝「んー、初心者ですぐ折られても困るしなぁ…ナノフレアの4Uで。ガットはこっちのコントロールで…テンション20で」

店員「かしこまりましたー」


一輝「おい、靴のサイズいくつだよ?」

千明「え?ああ、多分25.5…かな?」

一輝「え?ああ、そうか(既に俺よりデカい…)」

一輝「まあ履いて確かめてから決めろ。最初は怪我しないためにワイドなタイプな。試合出る頃にはまたデカくなるだろうし」

千明「ふーん」


解説、4Uはラケットの重量、テンションは硬さ


店員「お父様はラケットどうなさいます?」

一輝「ああ、俺はいいや。カラカルの軽いやつにするから。グリップは黒のウェット3個セットのやつと…あとシャトルのニューオフィシャルも1つ。」

店員「かしこまりました。それではお代は全部で3万6千円になります」

一輝「うーい(相変わらず高い買い物だよな…バドって)」


数日後(日曜日)


千明(おー、これがラケットかあ…)

一輝「おーし、道具揃ったし市民体育館でちょっとやるか」

千明「うんっ!」


(体育館)


一輝「うーわー、久々来たけど何も変わってねーなぁ」

千明(早く打ちたい)


一輝「おい、テキトーに準備運動しとけ。俺はグリップ巻いとくから」

千明「うーい」

一輝(太さは…まあ1本使い切るくらいでケツから巻いてきゃいいか)


解説、グリップテープを後ろから強引に巻き、最後に糊が付いた方で止める。普通はハサミなどを使い最後は別のテープで止める。


一輝「おし、久々やったけど忘れてないもんだな」


一輝がラケットを軽く振ると、ヒュッ!ヒュッ!と小気味の良い音が鳴る


一輝「ほれ」

ラケットを千明に渡す一輝

千明「早くやろう!」

一輝「ばーか。物には順番ってのがあるんだよ。オメーは持ち方すら分かってねーだろ」

千明「あ、うん…」

一輝「まずラケットの持ち方は、簡単にウエスタングリップとイースタングリップの2種類がある」

一輝「バドの場合は基本的にイースタンで、ラケットの面を縦にして手を添える」

千明「うん」


一輝「理由は簡単だ。バックハンドで打つ時にウエスタングリップで持った場合、手首の力で打つ力がどうしても弱いからだ。そして、イースタンの場合だと親指で支えて…打てる」


パーンっ!


千明「ふーん」


一輝「ま、フィーリングだったり、色々あるが、お前は基本のイースタンで待て」

千明「うん」

一輝「そう、親指で支えて…手首は軽く外側にして…そこで振ってみろ」

千明「うん」


………ヒュッ!ヒュッ!

千明(おお!)


一輝「ま、最初はそんなもんだろ。慣れればもっといい『音』が鳴る」


……ヒュッ!ヒュゥッ!

千明が振った音より数段高い音


千明(うわぁ…こんな単なる親父なのになんでそんな音出るんだよ…)


一輝「じゃあそこのシャトル拾って」

千明「あ、うん」

左手で拾おうとする千明


一輝「ばーか、イチイチ手で拾うやつがあるかよ。ラケットで拾うんだよ」

千明「え?」


ポスッ


ラケットで軽く掬い上げ、そのままバックハンドで千明の腹に打つ一輝


一輝「今みたいにラケットで拾えるようにしてろ。俺も準備運動するから」

千明「うん」



………スコッ…スコッ…全く拾える気配の無い千明

千明(クッソ!なんであんな簡単にやってんだよ)



一輝(流石に15年振りじゃあ怪我すっから入念に伸ばしとくか…)


…スコッ…スコッ…


一輝「おい、シャトル全体を拾うんじゃなくてコルクを掬ってみろ」

千明「え?うん」


…スッ

千明(あ、出来た)



一輝「よし、じゃあやるか」

千明「うん!」



一輝「まずバドはどちらかが打ち始めなければスタートしない」

千明「うん」

一輝「お前、下から打ってみろ」

千明「うん」


ポスッ

シャトルを左手に持ち、不器用にも当ててみる千明。シャトルはネットを超えたが当然の様に飛ばない


一輝「ま、そうなる」

千明「うん」

一輝「見てろ」


一輝は左手に持ったシャトルを胸の位置まで上げ、ラケットも同じ程の高さで構える


…スッと左手のシャトルを離し、軽く下からラケットを振り上げる


パンッ!………コン

数メートルの高さまで上がり、エンドライン手前に落ちる


一輝「これがロングサーブの基本だ」

千明「……」


一輝「まあラケットは基本的に円を描く様に動かす。グリップは軽く持っててもしっかり打てるから。打つ位置や角度やタイミングは自分で覚えろ」

千明「うん」


…ブン…ブン…


一輝「まあ部活で嫌ってほど素振りはするからそこで覚えろ」

千明「うん」


…ポーン…少し高く上がる


一輝「ま、最初はそんなもんだ。俺もそうだったし」


一輝「じゃあ次は上から打つ」

千明(やった!)

一輝「上からにしろ下からにしろ、ラケットは基本的に円運動、まあ野球のピッチャーのオーバーハンドみたいにしっかり振ってみろ」

千明「うん」


…ブン…ブン……

全然音は鳴らない


一輝「まず左手を高く上げてバランスを取って溜める。そしてラケットを振り上げる前に肘を上げろ」

千明(…こうか?)

一輝「最初から思い切り振るんじゃなく、スローで確認してみろ」

千明(…うーん、ここで肘を上げて…)

一輝「そう、肘を上げた所で止めて、そこから振ってみろ」


…ヒュンッ

千明(おおっ!)



一輝「よし、じゃあ上げるぞー」


パスっ


千明(よし、ここで…思いっきり…振るっ!!)

ヒュンッ!…スカッ!

一輝「wwww」


一輝「ま、タイミングは自分で覚えろw」

千明「…クソ…」


パスっ…

千明(うーー、らっ!)

カンッ!(フレームショット)


パスっ…

千明(あ…た…れっ!)

ポスッ!


パスっ…

千明(あ…た…れっ!)

ポスッ!


千明(あ…た…れっ!)

カンッ!

……………



一輝「よし、今日はこんなもんか」

千明「はっ…はっ…ふーっ」

一輝「じゃあ最後にちょっとロブ上げてくれ。俺も何発か軽く打ってみるわ」

千明「……ふー…うん…」


…パスっ…パスっ…パンっ!

一輝(あー、やっぱ何度か壊した肩だから怖いなー…)

一輝(ま、もう現役じゃねーし、いっか)


一輝「じゃあラスト3球いくぞー」

…パンッ!…パンッ…

一輝「…ほっ!」

一輝はしっかりと半身の体勢から右足で蹴り込みラストを打つ


…パーンっ!

千明「うおおっ!」

千明は避けきれずシャトルは左肩に当たる


一輝「うっし、久々の割にはインパクト取れたな。あ、わりいわりい。シャトルは顔にでも当たらない限り大丈夫だからよ(笑)」

千明(クソ親父が…)




こうして始まった千明のバドミントン生活。その行く末はどこに向かうのか…

登場人物


河合千明(主人公)、1年1組

河合一輝(主人公の父親)35歳

佐々木翔平(部員)サウスポー、1年1組

金子勇人(部員)体力バカ、エロ、1年2組

田中祐希(部員)チビ、1年3組

伊藤和馬(部員)パワー系、無言、1年3組

牧原飛鳥(1年女子)1年1組

宮田ひなこ(1年女子)1年2組

岡本萌(1年女子)1年3組


小野胡桃(2年女子エース)


河西陸(3年生男子キャプテン)

山崎那月(3年生男子)

中澤麻耶(3年生女子キャプテン)


高梨修一(部活顧問)58歳


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