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第一部 トロープの定義、概観

 トロープとは何か?


 一言で言ってしまえば「常套表彰」である。


 ……と言っても何のことかわからないわけで……。


 アメリカ映画評論の文脈でよく言われる単語なんですよ。


 常套句的表現を指す言葉。


 つまり、特定の作家、特定のタイプの作品の中で、「何度も」使われるアイディア、イメージ、フレーズ、キャラクター、プロットの要素のことです。


「何度も」ってのが大事ですね。


 歴史上、全ての作品を調べてみて、一回しか使われてない表現はトロープにはなりません。


 模倣、参照、再生産……。


 それを経て受け継がれていくもの、もしくは全く参照されていないのに再発明されて、結果として何度も繰り返し別の作品に出現し、パターンとして見ることができるものがトロープなんですよね。


 例を挙げます。


 ヒューマンライクロボット、と呼ばれるトロープがあります。


 SFでよく使われる、人間と全く見た目の区別がつかないキャラクターのことです。


 普通の役者が何のメイクもせずに登場して、「この人はアンドロイドです」なんて紹介されるわけですね。


 映画でよく見たことがあると思います。


 これはトロープの一つ、つまり、互いに直接のつながりのない複数の作品の中でよく使われる表現、です。


 メキシカンスタンドオフ、と呼ばれるトロープもあります。


 二人の登場人物……(大抵は主人公と敵のボス)が数歩離れた距離で銃を向け合う……。


 そしてその作品にとって最も重要な口論がなされるというパターンです。


 これも複数の作品でよく見られる表現なのでトロープです。


 他にも、ティーンエイジサイドキックス(成熟したヒーローのお供として戦いに参加する十代の戦士)、コンフリクティングアセンブル(異なる考え方を持つ人間を一緒のチームにする、現実では異なる考え方の人間はお互いを避けがち)、ティーンズアーフォーエバー(十代の頃の関係性がそれ以降の世代でも継続し、人間関係を規定する。例えば『ハリーポッター』のスネイプ先生のコンプレックスなど)があります。


 もうお分かりですね。


 キャラクター、キャラクターの関係性、舞台装置問わず、複数の互いに無関係なはずの作品の中で、常套句のように繰り返し使われるのがトロープなのです。


 トロープはしばしば現実とは何の関係もない、非現実的なものです。


 人間のようなロボットが存在しないことは当然ですし、メキシカンスタンドオフのような状況が実戦で起こることもありません。


 そして、一般的な娯楽作品のプロットは、そういったトロープの集積によって出来上がっていると言えるでしょう。


 トロープとは何か? ということについてはご理解いただけたと思うので次に行きます。

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