表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されなかった男~二度目の人生は土下座から始まりました~  作者: あらまき
二度目の元勇者、三度目の元魔王

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

851/880

狙いはどこに?(中編)


 激しい雨によって真夜中の様な暗闇になっている外と比べ、洋館の中は異様に明るかった。

 拒絶の黒と、許容の光。

 正反対だが、どちらの事実も外に出る事を世界が拒絶しているかの様だった。


 ここにいると、もう二度と外に出れない様な気さえしてくる。

 そんなくだらない妄想を捨てる様に気持ちを切り替え、クロスは探索に意識を向けた。


 赤いカーペットのしかれた大きな階段で二階……には、後回しにしまずは一階から。

 その一階でさえかなり広そうで、既に相当時間がかかる予感がしていた。


 背後の仲間達を確認した後、エントランスから見て右手側に向かい奥の通路に。

 今にも動きそうな鎧が両側に配置された、いかにもな通路を道なりに進んでいく。

 そうして見かけた最初の扉で立ち止まり、周りに合図を出し、そっとドアを開いた。


 そこにあったのは食堂らしき場所だった。


 五十名位座れそうな大きな一つのテーブルには空の皿と食器が置かれている。

 食堂で間違いないだろう。

 何故誰もいない洋館に、しかも汚れのない空の皿が並んでいるのかはわからないが。


 魔王城のそれとよく似た食堂だなと思いながら調査をしてみるものの、特に何か出て来る様な事はなかった。

 全員の調査が終わった辺りで、皿と食器が勝手に消失していた事を除けば……。


 皿が勝手に消えた。

 それに関して調べてみたものの、メリー、メディ両方の視点からの徹底的な調査でも原因を特定する事が出来ず、ただ無為に時間を消耗するだけに終わった。

 持ち帰れたのは、淡い不気味さ位だろう。




 更に廊下を進んで、続いての部屋は厨房だった。

 百名以上分の料理が作れる様に厨房も非常に広い。

 鍋がコンロの上にかけられているなんて料理寸前の様な光景が並んでいるが、鍋の中は総て空だった。


 料理担当者としての経験が違和感に気付き、クロスはコンロの周りを調べてみる。

 コンロは単なる飾りだった。

 外見は城とか屋敷とかでそこそこ見られる魔力式の高級コンロだが全く魔力は感じられず、それ以前に火が出る構造になってない。

 スイッチを入れてみるが、やはり予想通り着火されなかった。

 更に言えば蛇口もイミテーションで水が出なかった。


 棚には皿からナイフやフォークと大量の食器が仕舞われ、あちこちにこれから料理をしようと言わんばかりに無数の鍋が準備された場所。

 同時に、火も水も出ず食べ物の気配が欠片もない場所。

 本来の役割を果たせない――取り繕っただけで果たす気がないこの場所は、何か別の意味がある様にさえ感じられる。

 だがその別の意味が何かを想像する事は難しく、結局無意味な部屋にみえない。

 ただ、わからないという怖さだけが残った。


 じめじめした空気の所為か、蒸し暑さの所為か。

 うまく……思考がまとまらなかった。




「……鎧の一個でも動いてくれたら少しは気が楽になるのにな」

 再び廊下に出て進みながら、クロスはぽつりと呟く。


 驚く程に、何も起きない。

 明らかに襲い掛かってきような鎧がいるのに動く事はなく、食堂の皿は消えただけで、ナイフやフォークも飛んで来なかった。


 何もない訳ではない。

 明らかにここはおかしい。

 だけど、何がおかしいのかうまく言語化出来ない。


 ここが自然の屋敷である訳がなく、確実にアリスの企みの範囲にある。

 だけど同時にここはアリスらしさを欠片も感じない。

 例え不条理ではあっても、アリスの行動には必ず()()がある。

 ここに、()()はない。

 違和感があるというより違和感しかない。

 ただただ気味が悪かった。


 大量の鎧が襲い掛かって来るとか、そういう直接的なトラップであった方が間違いなく気が楽だった。


 考えながらだからか、あっという間に通路の行き止まりに到着した。

 通路が途切れ、代わりに少し大きめの扉が。

 今度は一体何が待っているのか。

 嫌な予感たっぷりの中、クロスは静かに扉を開けた。


「……風呂場?」

 最初、クロスにはそう見えた。

 部屋の隅にある長方形型の水入れは確かに、浴槽に見えてもおかしくない。


 だけど、すぐ自分の意見を否定する。

 浴槽らしき物はくすんだ銀色でやけに深く、壁は鉛に近い銀色で床は灰色。


 風呂場にしてはこの部屋は余りにも殺風景だった。

 無機質的でさえある。


 そもそもそれ以前に、脱衣場がない。

 それに違和感を覚えない程度には、この場所は浴場からかけ離れている。


 クロスはこの部屋に何の意味があるのか疑問に思った。

 もしかしたら意味さえないかもしれないが。


 一番似ているのは、捕殺場だろうか。

 だがそれとも大きく異なって……。


「ああ……わかった」

 メリーがそう言うと、皆がメリーの方に目を向ける。

 メリーは一人歩ききょろきょろと部屋の周囲を探りだした。


 そうして壁に隠されたスライド式の棚に気付いて大きな音を立てて開き、その中身を露見させる。

 棚の中にあった物は開いた衝撃で落下し、がらんがらんと大きな音を立てながら地面に転がった。


 トンカチ、ノコギリ、アイスピック、ペンチ……。


 関連性のなさそうな道具類が無数に転がり、そうしてその部屋は初めてその様相を顕わにする。


 表に出せない物を解体する場所。

 ここはそういった、所謂『()()()()』であった。


 本来の用途に気づいたとたんに、地面に、壁に、黒ずみこびりついた血がいきなり現れた。

 まるで、これまで何度も使って来たかの様に。

 同時に、水入れの中にバラバラになった無数の『手足(パーツ)』がはみ出し見えた。


 鼻に伝わる血と臓物の生臭さが幻臭なのか実際なのか、誰もわからなくなっていた。


「うっ……」

 ミリアが口元を抑える。

 機械であるのだから匂いには平気なはずなのに、どうやら最近人に寄りそい過ぎたらしい。

 人間を愛する者として、耐えきれぬ不快感が嘔吐感となりこみあげていた。


 メリーがあっけらかんとした顔で当たり前の様にパーツを見ようと水入れに近づく。

 メリーがその部位を手に取ろうとしたその瞬間……パーツは全て消滅した。

 いや、パーツだけでなく周囲の血も全て消え、部屋は元の様に新品同然となっていた。


 結局、使用後となったのはほんの一瞬だけだった。


「……ホラーアトラクションの設計者にでも職替えしたのかしらね。アリスちゃん」

 メリーは場の空気に飲まれかかった皆の空気を軽くする為、わざとふざけた口調でそう言ってみる。


 その言葉が滑った感じになる位には、既に空気は重くなっていた。




 部屋を出て通路に戻った時、鎧の数が変わっていた。

 一体少ないとか多いとかそういう細かい変化ではなく、鎧の配置そのものが最初とまるで違う。

 鎧自体に動いた痕跡はなく、まるで最初からそうであったかの様だった。


 もしかしたら、行きと帰りで違う道を通っているのだろうか。

 クロスはそんな錯覚を覚えた。




 エントランスホールに戻ってから左手、先程とは反対側の探索を始める。

 左右対称の様な作りとなっているが、こちらの通路には全く鎧の姿はなく普通の洋館の通路に見える。

 だけど、ランプの明かりが弱い為若干薄暗く、切れかかっているかの様に点滅していた。


 メリーがこのランプを調べてみたところ、これはガス式でも電力式でも魔力式でもなかった。

 それどころか何のエネルギーも補給されていない。

 ランプに見えているがランプではなく、点滅する何かである。

 それがわかったからといって何で動いているのかまではわからないが。


 一つ目の部屋の中は客間だった。

 中には衣服を着た等身大の動かぬ木製人形が五体。

 男性の衣服を着た四体はテーブルを囲んでカードゲームを興じている風になっており、女性の衣服を着た一体はその傍で日傘を差し立って眺めている様になっていた。


 この部屋で気になるのは人形位で、他に気になる事はなかった。

 とは言え、人形も異常な見た目で気にはなるが特に何かしてくるわけでもない。

 ミリアの調査でも本当にただの木製人形と判断された。


 強いて気になる事と言えば男性型人形の衣服全てが、寸分の狂いもなく同じ物であるという事位だろう。

 つまり、ただ単に不気味なだけである。


 カードを見ても何もなく、人形も特に動かず、メリーが蹴飛ばしてみても人形が壊れるだけで特に何も起きない。

 調査は相変わらずただ気味悪さを感じだけの結果に終わり、クロス達はその部屋を後にした。


 ……興味本位で、ソフィアはもう一度扉を開け中の様子を除く。

 壊した人形もカードも、全部元通りになっていた。




 幾つかの小部屋を見た後通路の奥に辿り着き、その扉を開く。

 反対側が処理施設であった事も含め、とても嫌な気持ちとなりながら。


 開いた瞬間、ふわっと冷気が顔を通り抜けた。

 不快な感じはなく、むしろ清々しさを覚える。

 湿気強く蒸し暑い中に感じる心地よい清涼感。

 機人の部屋で味わった空気調整機の様な、そんな人工的な心地よさだった。


 テーブルと椅子、絵画等の調度品というちょっと豪華な建物ならどこにでもありそうな客間で、涼しい事を除けば変な所は何もない。

 そう思っていると、いきなり奥の壁が開き向こう側が現われた。


 壁の向こうには無数の楽器を持った大小様々な動物のぬいぐるみが三列で並べられていた。

 怪し気にクロス達が近づいた瞬間、それらは一斉に動き出し演奏を始めた。


 誕生日を祝う様な陽気でアップテンポな曲と、涼しい室内。

 ここは娯楽室の様な役割なのだろうか。




 特に何事もなく、演奏は終了した。

 結局こちらからアクションを出せず、ただ聞くだけの時間となってしまった。


 一曲演奏が終わると、こっちが動くより先にぬいぐるみ達に異変が生じる。

 ぬいぐるみ達は、まるで身投げするかの様に棚の上から転がり堕ちた。

 ガシャンガシャンと楽器が壊れる音と共に全てのぬいぐるみが落下し、その様子をクロスは覗き込む。


 転がるぬいぐるみは全て、何故かバラバラに斬り裂かれていた。

 そうしてバラバラとなったぬいぐるのみの頭部は全て笑顔で、じっとクロスの方を見ていた。


 気味悪さを感じながらも調べる場所はもうなくなり、クロス達は部屋から退出する。

 最後のソフィアが退出した瞬間に、部屋の扉が消えた。


 さっき出て来たはずなのに、まるで何もないかの様な行き止まりとなっていた。


 外に出てから涼しさは消え、不快指数の高い蒸し暑さが戻って来る。

 外からの乱暴な雨音は、まるで叫び声をあげているかの様だった。




 まだ見る場所はあるが一階の探索に一旦区切りをつけ、エントランスホールで休憩を挟んだ後クロス達は二階の探索を始めた。

 ソフィアにばかり負担をかけるのはという建前でミリアは自分を最後尾にしてもらってから、背後からこっそりと全員のバイタルチェックを始めた。


 この屋敷の意図はわからない。

 だけど、ここが精神的疲労を引き起こす場所という事だけは身をもって理解出来ている。

 だからミリアは意図的に感情プログラムを凍結させ、機械としての側面を高めていた。


 理解出来ない物を理解しようとする。

 その機能は人間という生物最大の長所だが、同時に欠点でもあるだろう。

 だからミリアはそれを一時的に放棄した。


 それが出来ない彼らへの悪影響は、現時点で相当の物だろうとミリアは推測していた。


 ピリピリとした空気はチームの仲が良い彼ららしくなく、彼らの首筋に流れる汗はただ蒸し暑いからというだけではない。

 理解出来ない不可思議な現象が続き、だけど一切攻撃もなく不気味なだけ。

 意図が見えない状況は、いや意図が見えないからこそ、不可思議現象による重圧と恐怖は相当の物のはずだ。




 クロスの精神は非常に頑強だった。

 人間として枠から外れていないにも関わらず精神的疲労はほとんど見られず、恐怖や不安を感じていない訳ではないが全て飲み込み、集中状態を維持出来ている。

 だがそれでも、普段の様子と比べたら精々八割位だろう。

 逆に言えば、この状態で八割のコンディションを維持出来ている事はとんでもなく偉業である。


 一切の危害がなく危害を加える気もない退屈な場所。

 未知や恐怖を煽り続け、不安感を増大させる場所。

 アリスという存在の罠としての理解出来ない不条理な場所。

 その中に不快指数の高い温度の湿度の状況化で居続け、これだけのコンディションを維持出来ているクロスはまごう事なき英傑である。



 

 ぽたっと、首元に雫が落ちてステラは短い悲鳴を上げ、慌てて上を見て……ただ天井が水漏れしているだけと気づいて安堵の息を吐いた。

 ここまで見ると、まるで普通の少女である。


 最もコンディションの低下がみられるのはステラであった。


 ステラは二階に登ってからという短い間に五度程意識が他所に反れている。

 集中状態の維持が出来ない現時点でのコンディションは、およそ三割程だろう。

 そのコンディション、メンタル両方の崩れ具合は一流冒険者とはとても呼べない。


 ステラはつい最近ようやく人としての……『生きる』としての『普通』を手に入れた。

 その普通を手にしてから感性が育っている為、良く言えば発展途上だが悪く言えば子供同然の精神強度である。

 これが戦闘であるならステラは問題ないのだが、逆に戦い以外で不安定でこの有様であった。


 メリーのコンディション低下はなし。

 ミリアでさえ若干の低下があるというのに普段と全く変わらない。

 驚きながらも考察し、ミリアはメリーの異常性を改めて再確認した。


 普通の人は調子の前後で体調が変化する。

 調子の良い時は十割出せる人でも、大体普段は九割位が精々だろう。

 調子が良い時上手くいくのは当たり前。

 どんな不調時でも普段通りの九割に近づける事を努力と呼ぶ。


 だけど、メリーは常に十割の力を引き出せる。

 精神影響の上下も、多少の肉体の疲労も関係ない。

 あらゆる状況化で十割の力を発揮できる精神性。

 それはつまり、寸分違えず常に同じ事が出来るという事を意味する。

 そんな物はもう人ではない。

 人の外見をした機械……いや、外宇宙的存在である。


 メリーはそっと後ろを振り向き、ミリアにウィンクする。

 それがミリアがこっそりメンタルチェックをしていると気付いた上で、『だからどんどん頼ってね』というサインであった。

 感情は凍結している。

 そのはずなのに、ミリアはどこか薄ら暗い寒さを感じていた。

 この屋敷と同等、下手すればそれ以上にメリーは外れた存在だった。




 メディールは七割程のコンディション。

 これは決して低い数値ではない。

 メリーやクロスが異常なだけでこれだけの精神的圧力をかけられた中で六割というのは十分過ぎる数値と言える。

 おそらく魔法使いとしての修練による賜物だろう。

 魔法という物は精神の影響を大きく受ける。

 だから常に冷静で居ようとする事こそが魔法使いである為の最初の課題であり、そして最後の試練であった。




 ソフィアのコンディションは五割程。

 恐怖に対しては非常に高い耐性を持っている様だが、常識外や未知に対して不安を感じている様だった。

 良くも悪くも普通の状態である。


 感情を抑制し、状況を分析し、メディカルチェックを行いながら、ミリアは考える。

 自分は何が出来るか、何を自分はやるべきか。

 心を殺し、機械に徹し、奉仕人形としてこの場で最も適切な選択は……。

 考えるが、答えは出てこない。

 最適解がない状況で選択出来るのは、間違いがある中選べるのは人だけの特権と言える。

 機械に寄っている今のミリアに出来る事なんてのは、バイタルチェックを行いながらメンタルケアをし、何かに備える事が精々であった。




 寝室や子供部屋といった居住空間が多かった二階を探索し、一階と同じ様な目に遭いながら彼らはエントランスホールに戻り、仮眠混じりの少し長めの休憩を行っていた。


 浅い眠りの中、クロスは小さな違和感に気が付く。

 この洋館という大きな違和感だらけの中にある、本当に細かな小さい違和感。

 普通の屋敷にあってここにない物。

 だからこそ逆にそれは浮き目立ち『もしかしたら重要なんじゃないだろうか』と考える。

 そうしてはっと我に返って目を覚まし……何を考えていたか、忘れてしまっていた。


「……あれ? 何だっけ……」

 ぼーっとする頭をとんとんと叩きながら、さっきまで何を考えていたか思い出そうとする。

 だが、叩けば叩く程に夢での記憶は霧散していった。


「おはよう。どうかしたの?」

 ミリアに小声で声をかけられ、クロスは考えを切り替えた。

「おはよ。悪いね、寝ずの見張りをさせて」

「問題ないわ。……とも言えないけど」

「ああ……やっぱり駄目だった感じ?」

 ミリアはクィエルに喰われた事による劣化で一日に一度数時間の休眠状態となる必要があった。

 たけど今回は『それエネルギー不足が原因ならこれでいけるんじゃね?』というメリーの発案の元、メリーの武雷の電気とメディの魔力注入を同時に行うなんて実験が試みられた。

 実験結果は概ね成功だったのだが……。

「いいえ、思ったよりも良い感じよ。昨日よりも二割増しで動けると思うわ。ただ、エネルギー問題以外にも色々とね。眠る事が癖になっているみたいなの。この体でも」

「そか。んじゃ少し眠る?」

「いいえ、エラーはほとんど出ていないから次の睡眠の時で構わないわ。逆にクロスはどうする? もう一時間位猶予はあるけど?」

 浅い眠りをしているステラ達を見た後、クロスは首を横に振る。

 元々ここに来るまでにそれなりに疲労しており、ここで極度の緊張を与えられた。

 疲労感はけだるさとして現れ、もう少し眠りたいという欲求に後ろ髪が惹かれる。


 だがそれよりも、皆の為に何か用意をしたいという気持ちの方が大きかった。


「料理の下ごしらえをしときたいかな」

「そう……。手伝いましょうか?」

「大丈夫。ミリアは寝ずの番だったんだからゆっくり休んでてよ」

 さっと飲み物とテーブルと本を用意し、クロスは料理の支度に移る。


 ミリアは用意された天使に不要な娯楽でしかない飲み物を口にし、情報を得る訳でもない物語の本を手に取る。

 人に働かせ自分は何もしないなんて天使として許されざると思いながらも、その楽したいという欲求にミリアは逆らう事が出来ないというか逆らう気がない。

 感情をほとんど殺しているにも関わらず、ミリアはミリアだった。



ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  ホラゲチックだなぁ……  前編にあった生命反応どうなったかなぁ。 [気になる点]  メリーの異常な精神って子供に遺伝するのかね……  クロスとの子供だから、どんな風に変容するか分からない…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ