墓地ソース
ここで一旦デュエルが終わって日常回に入ります。
先行3ターン目。
「そろそろ攻めて行こうか!」
彼女が勢いよくカードを場に出した。
「ロイヤルナイツ速攻のハヤテ!、ハヤテはC4のカードだけど、カスミの能力によりC1軽減されるよ」
ロイヤルナイツ速攻のハヤテ C4 P3 速攻
茶髪の元気そうな娘がキャピキャピっと登場する。
「ハヤテは速攻の能力を持っているので召喚酔い無しでマスターを攻撃できる!よしバトル!」
ハヤテとカスミの連続攻撃を間近で受ける。
突然斬りかかってきたので慌てて声を出す。
「うわっ!...」
そこら辺のゲームよりよっぽど迫力がある、そりゃそうか...だってこれが今の俺にとっての現実なのだから。
剣撃が飛び交い、シールドのライフが5点取られる。
このゲームは20点のシールドを破った後に攻撃を通せば勝つというゲームである。
「くそっ...」
俺はゆっくり立ち上がり再びフィールドを見回す。
(ハヤテとカスミの二体と俺のキマイラか...)
冷静に今の状況を分析していると、彼女が「あなたのターンよ!」と力強く言ってくる。
「ああ、分かってる」
あくまでもこれはゲームだ、最後まで楽しんだ者が勝つ。
俺はニヤリと笑いながら山札のカードを引く。
「ドロー、エネチャ」
チャージを完了すると、次の手を考える。
(P1のキマイラじゃどっちのナイトも取れない、だったら...)
「俺は手札よりスペル叛逆の狼煙を発動!」
「スペル!?」
「そう、いわゆる魔法カードってやつだ」
俺は効果を読み上げる。
叛逆の狼煙 C3
「こいつは自身の使い魔を破壊して相手のコスト4以下のカードを破壊するカード、その後デッキから3枚墓地に落とす、俺はカスミを破壊する」
彼女は不思議そうな顔をした、なぜ攻撃力の高いハヤテではなくカスミを破壊するのか理解できていないようだった。
フィールドでは俺のキマイラとカスミが同時に爆破される。
「キマイラが死ぬ時更に山札からカードを二枚墓地に送る、計5枚のカードを墓地に置かせてもらう」
その時に“魔界の鰯”が落ちたのでさらに一枚墓地に落とす。
「攻撃力の低い方を倒すのは別にいいけど、あんた正気?」
「問題ない、これが俺のやり方だ」
あっそうと不機嫌そうな態度をとる彼女にターンを回す。
「私のターン、ドローからエネチャージ、もう一体ハヤテを召喚!」
二体のハヤテがこちらを見て笑った。
そう、ロイヤルナイツの戦略とは、ただの速攻だ。
こちらの準備が整う前に相手を倒してしまおうというデッキなのでほとんど低コストの構成なのだ。
これで更に6点を受け、俺の残り体力は9点だ。
普通に見れば絶望的な状況だろうが、俺にとってはさほど問題では無い。
9点ならば恐らく大丈夫だと思えたのは、相手の手札が現時点で一枚しかないからである。
速攻デッキの弱点はその手札消費の激しさにある。
つまりこの場さえ凌ぎきれば、あとはデッキトップで勝負するしかなくなる。
そのことに気がついていないあたり、やはり彼女は初心者なのだろう。
俺は墓地を確認する、11枚のカードがたしかに存在した。
俺のデッキは墓地ソース、墓地を貯めてから一気に逆転するデッキタイプ...、こんだけ墓地が肥えればどんな相手にも勝てる。
「俺のターン、ドロー、エネチャ、さあ逆転させて貰おうか...」
「あんた何言ってんの?、たった4コストで私の場を壊滅させれると思っているの?」
彼女は高らかに笑ったが、俺には逆転の為の札がすでにての中にある。
召喚するのにコストが11もかかるかなりの大物だ...。
「俺は墓地の10枚とエネ1枚を消費し、手札から暴食龍ラウガウガを二体召喚する!こいつは墓地の枚数分だけコストが下がる!ただし色分のコストは支払わなくてはならないので1コストだけ消費する!」
地下の底から何かが這い寄る音がしたかと思うと、地面が避け巨龍が姿を表す。
俺は一瞬急な地震でも起きたのかと勘違いさせるくらいに衝撃はでかかった。
フィールド中が揺れ動き、プレイヤーのいる場所も激しく揺れ動いている。
まさかこれほどとは...、ラウガウガはMWでもち超重量級の存在である。
だが、実際にそれを見てみるとその圧倒的な存在感に目を奪われた。
(俺は今までこんなのを扱っていたのか...)
そう思いながらも効果を発動させる。
「ラウガウガの効果発動!墓地にあるカードの枚数分だけ相手リーダーにダメージを与える!墓地の枚数は11枚!よって11×2のダメージを与える!」
俺がそう宣言すると凄まじい量の屍が彼女に襲いかかった。
明らかに異常な量なので一瞬爆撃でも始まったのかと錯覚してしまうほどであった。
一気に彼女のシールドライフが0になる。
一度に何点喰らわせようと、シールドがあればそれが壊れるだけであり、とどめを刺すにはもう一度使い魔で攻撃しなくてはならない。
ただ、俺の手札と場にはとどめをさせる使い魔はいない。
「ラウガウガは突撃の能力を持ちパワーは7!、ラウガウガ二体でハヤテ二体を攻撃する!」
突撃とは、相手の使い魔を召喚酔い無しで攻撃できる能力のことである。
俺の号令とともに二頭の巨龍は少女二人を踏み潰した。
あまりにあっけない様に少し拍子抜けするが、少女が巨龍に勝てるわけないと思った。
俺はそのままターンを終了し、彼女のターンとなるがエネルギーをチャージしただけでターンを返した。
恐らく今彼女が大事に持っている最後の一枚はあのカードだと予想はついたが、そのカードではどうしようもない事が分かっていたのでただただ巨龍で攻撃した。
だが、とどめを刺す瞬間にふと悪いような気がしてラウガウガの攻撃を止めた。
(いくら遊びとはいえ、女の子を踏み潰すのはなんか悪い気がする...、今日はこの迫力を教えてくれたしとどめを刺すのはやめとくか)
どっちにしろ俺の勝利ということに変わりはないのでデュエルは終了した。
「あんた...何者?あんなドラゴンを使役してるなんて?」
俺は満足そうに笑いながら質問に答えた。
「なあに、ちょっと世界1位になったただのカードゲーマーさ!」
〜カード紹介〜
暴食龍・ラウガウガ
種族・デーモンドラゴン
コスト11パワー7
突撃
このカードを場に出す時のコストは墓地にあるカードの枚数分×1下がる。
このカードの出現時、相手プレイヤーに墓地にある枚数分×1のダメージを与える。
フレーバーテキスト
ここにはね...、近づいてはならない存在があるの...
 




