デッキを構えるとか中二病かよ
「俺はこのカードを使うぜ!!バーサーカーソ◯ル!!、手札を全て捨てて効果発動!こいつはモンスターカードが出なくなるまでカードを引き続け墓地に送るカード、そしてその分だけ魔道戦ブレイカーは追加攻撃できる!!ドローモンスターカード!!ドローモンスターカード!!ドローモンスターカード!!」
※まだ決闘しません。
※もちろんこんなシーンは存在しないので安心して下さい。
「うん?」
俺は目を覚ますと見慣れない平原に寝転がっていた。
「どこだここ...」
辺りを見回してみるが心当たりは全くない。
それでも、身につけていた物だけはしっかりと持っていたので少し安心する。
さっきのカードを眺めていると、不意に声をかけられた。
「あんたこんなところで何やってんの?」
急に声をかけられたので振り返ると、どこかでみたような金髪の少女が立っていた。
その少女の風貌はどこからどうみても剣士といったような出で立ちであり、正直ツッコミどころ満載だ。
(コスプレかよ!)
心の中で何回もその言葉を彼女に投げかけた。
「何でそんな格好してんの?」
俺は吹き出しそうになりながらも堪える。
「いや、むしろ私の方が聞きたいんだけど...、そんな軽装で旅なんかして大丈夫なの?」
「旅?俺が?そんなわけねぇだろ...、だいたいちょっと横見れば建物の一つや二つ...」
左を見ても右を見ても、上を見ても下を見ても立派な平原が広がっているだけだった。
都会っ子なだけに、こんな晴れ晴れとした何もない場所など見たことがない。
「え...何これ...、俺さっきまで家でパック剥いてたはずなんだけど...」
ただ下を向いた時だけは彼女に笑われたので無駄では無かったと思う。
「何で下向いたのw」
「なんとなく...」
もしかしてこれって...、今話題の異世界転生ってやつか〜!!!。
なんか急にテンションが上がってきてやる気が出てくる。
だってこう言うのってアレだろ!転生者特有のチート能力授かってたりするんだろ?。
俺はなんとなく手をかざして見たり空を飛ぼうと試してみるが、特にこれといった能力の発現はなさそうである。
俺のそんな様子を見た彼女が哀れみの眼差しでこちらを見てくる。
「ああ、なんてかわいそうな人...、頭がおかしいのね...」
「別に頭がおかしくなったわけじゃねぇ!!」
(ったくどうなってんだ?、これが異世界転生ならなんかちょっとくらい特別な能力を持っていてもいいと思うんだけど...)
俺がう〜んと考えていると。ふとした事に気がつく。
「お前、旅っていったよな?女の子一人で旅ってなんか危なくないか?」
「いや、別に一人じゃないし、私こう見えてもマスターなんだけど...」
「マスター?」
「そう」
彼女は当たり前のことを話しただけの様な顔をしているが、俺には分からない。
彼女は俺の腰にあるデッキケースを指差して答えた。
「それデッキよね?あなたも曲がりなりマスターなんだったら決闘の相手してくれないかしら?、私、実は最近マスターになったばかりなの」
彼女がデッキを俺に向けてきたのでやる気が出た。
「良いぜ、決闘ってことなら本気で行くがいいか?」
「臨むところ」
彼女もやる気らしい。
俺はデッキケースから40枚の紙束を取り出して準備しようとすると、彼女に不思議がられた。
「いや、デッキを構えるだけでいいんだけど...」
「デッキを構えるってなんだ?中二病か?」
とりあえず騙されたと思って構えてみる。
「こうか?」
俺が構えると、デッキが光り輝いた。