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プロローグ

 初めまして?ですかね。黒目です!新作お待たせしました。編集さんにリテイクを言われた回数は過去最高の七回!ごめんさない。

 今作こそは、完結させます。どうぞよろしくお願いします。


~追記~

完結から逃げるなというわけで。また書きます。

正確には上記の編集が退職され、代わりとして編集の手伝いをしていました。

「仙せんぱーい!神大衆しんたいしゅうから電報が来てますよー!」

「んやぁ?」


 ここは天界の中でも至って平和な方の神衆。神衆とは、神様が活動する部署のことで、様々な世界、世界線ごとに一部署ずつ配置されている。

 そして和風な家の縁側で横たわっている白髪で、とがった三角の耳ともっふもふな尻尾のある少女も神様の一人であり、彼女の場合は神様の中でも階級が高く、何よりもの証拠に神衆長のマークが右目に入っている。名を白仙びゃくせん

 そして、電報を伝えに来た新緑を思わせる髪色の少女もまた神様であり、白仙びゃくせんの弟子にして名を桃。白仙より階級は二つ下に位置している。


「先輩。また休んでたんですか?」

「んー。(わて)はもはや形骸化した神衆長しんしゅうちょうであり、七百の年を重ねた老人狐じゃ。仕事は若いものに任せるのがええ」


 などと言い訳を一つしながら、体を起こし自身の管理する世界の事象をことこまかに記録している器用さは、七百という歳月の経験と彼女自身の能力だろう。


「本題からそれましたが、こちら。先輩宛に神大衆からの」

「ああ、ほいほい」


 茶封筒に入った紙を取り出し、内容をざっと目に通す。

『第八神衆 白仙殿    配属先変更通知

白仙の神衆配備先変更を通達す。移動先は第八神衆から第八の一神衆へ。

理由は次の通りである。貴公の働きにより、前衆は十分に発展を遂げ安泰を期した。しかし、第八の異界では、危険な状態が続いてしまっている。よって神衆を移動し、安泰を目指してほしい。

 以上 神大衆第一大衆部』


「先輩?どうしました?いつも以上に白くなってますけど」

「し、島流し・・・」

「はい?」

「島流しされたのじゃ!!神大衆のじじいどもに島流しされたのじゃあ!」


 元から白い白仙が白さに磨きをかけ、涙をうっすらと浮かべる。

 島流しと呼ばれた配属先変更通知。これは、今までいた神衆から劣悪環境の神衆へ行かされ、永年そこから出ることはできないことを一方的に伝えられる、神にとっての死刑宣告であった。


「し、島流し・・・?先輩がですか?」

「どうしよう・・・しかも異界だって。桃ーどうしてじゃー!」


 後輩(561)に泣きつく先輩(700)の図には周りから見ればなんとも意味の分からないカオスな状態だろう。この天界ならばなおさらである。


「それは、わしが説明しよう」


 突如音もなく、家の庭に降り立った長い髭と杖が特徴的な低身長の老人。


「・・・神大衆。第一大衆部長・・・天城あまぎ・・・」


 この音もなく現れた老人こそ、白仙の配属先変更に許可を下ろした張本人。神大衆第一大衆部部長の天城であり、神大衆の限られた七人の一人である。


「あ、天城様!これは失礼しました!今すぐお茶を」

「いらぬ。少し(しろ)に話があるだけじゃ」

「は。了解いたしました」


 白仙の弟子で、基本的には白仙以外の指示を聞かない桃でさえ、お茶汲みを自発的にしようとするほどの天城という存在。

 白仙は天城が口を開く前に顔をうつ向かせながら異を唱えた。


「・・・なぜ島流しを我に・・・?」

「すまぬ。これはわしのミスなんじゃ・・・」


 突然、枯山水風に整えられた庭に膝をつきジャパニーズ土下座をした神大衆の一角に、桃は唖然として口をぽかんと開け、白仙は思わず演技をやめて半目になり、引いてしまった。


「まさか天城・・・書類ほとんど見なかったのか・・・?」

「・・・ぐうの音も出ん。ごめんなさい」

「んの! あほんだら! 何度言えば気が済むのじゃ! 実績あるくせに変なところでミスしおって! 昔っからわてが尻ぬぐいとして隠滅などしておったら神大衆の一角!? 我を出し抜いて出世しおっておきながら? 挙句の果てにはミスで恩人の命を奪うなど! 殺しても殺しきれぬ屈辱じゃ!!! ぼけぇ!!」

 縁側に立ち上がり、庭で土下座をする神大衆の一角(笑)へ指をさしながら文句を言う白仙。それを抑えようと取り押さえる桃の姿は、もはや混沌の域を越していた。

 天界でありながら地獄さながらの状況。社長がへまをして重要な社員をリストラし、ごめんと謝りに来ているようなものだ。

 考えてみれば見るほど、恐怖でしかない状況である。

「・・・はぁ。処理してしまったものは仕方ない。我は神衆を移動するが。第八神衆長は誰にする気じゃ?」

「ああ、それはほれあの青い髪の天使の子がおったじゃろう?その子に・・・」

「・・・」

 その白仙の行動に桃は言葉を失い、天城は地に伏して悶絶。

 まさかの顔を上げ、返事を返した天城に白仙は縁側から飛び出し、空中で一回転からの天城の顔面へダイレクト打撃。飛び膝蹴りを食らわせたのだ。

 天城は右寄りに食らった衝撃で体を右回転にひねりながら庭の砂を滑った。

 綺麗に着地を決めた白仙ははぁーと一息つき、背にしたピクついている天城へ体を向ける。

「桃だ。我の一番弟子以外は神衆長にさせんし、天城。主が言う奴はこの第八神衆の中でも仕事はできるが、一番外とつるんでる者だ。調べもせず言うな。若造が」

 桃は、上司へ上から目線の言葉で言うあの雰囲気に覚えがあった。

 あの白仙の冷めきった表情と気持ちの一切入っていない言葉羅列。桃が弟子に入って型についてきて、少し天狗になっていた時の説教のよう。

 あれは、もう百年近く前。

 白仙(びゃくせん)が六百一歳。桃が四百六十一歳で、弟子入りから六十八年が経過した日。

 白仙が出張により、第八神衆を離れ桃が一時的に衆長として世界線の記録を担当した時であった。

 白仙から記録帳を受けとり、仕事用の机に広げいくつもの文書に目を通しながら記録するという、いつも見ていた仕事だったのだが、文書は三十分でゆうに千枚を超える。

 なぜなら世界線すべての記録ともなれば、この道二百年の白仙でさえ一人の人間がトイレをいついつにどこでした。などと記録できず、せいぜいある人間がペットボトルのポイ捨てを拾ったという天国か地獄の采配時に必要な情報が限界であった。

 つまりは、見ていただけの桃にさせた白仙も悪いかもしれないが、千枚から必要な文書を選別するのは無理があった。

 結果として、その出張の一日分はほぼ記録がなく、こればっかりは地獄側から采配ミスが発生したら少し処遇は考えると脅されるほどの問題であった。

 その時、帰ってきた白仙に開口一番に桃が文句を言ったせいで、ことは拡大した。

「先輩。なんで私なんかに任せたんですか!本当に!記録全然取れませんでした!ほんとうに・・・何で任せたんで・・・」

「何と言った桃」

 扉を開け、桃がいたことに安堵した自分を恨みたくなるような桃の発言に、表情は困惑を極めていた。

「いや。ですから何で任せたんですかって言ったんですよ」

「違う。記録を取れなかったと言ったかや?」

「ええ。私にはまだまだ無理でしたよ」

 次の瞬間には表情が消え去り、感情も無くなった白仙が少し身長の高い桃の左頬を叩いていた。

 その行動にも一切の表情の変化はなく、ただただ無で叩かれた桃は頬を抑えながら困惑していた。

「桃。(わて)は主になにも我のように記録をしろなどと言わなかった。それは見ているだけの主にこの仕事など務まるはずがなかったのを知っていたからだ。そして、我は仕事しろなどといったはずはない。我の本意は記録帳がどんなものか知ってほしかっただけじゃ。なぜ記録をしようとした」

 履いていた外行の靴を脱ぎ、廊下で一体一の状況で相手は上司であり、切れた相手。言葉によっては何が起こるか分からない。

 ましてや言葉に重みはあるのに、気持ちは一切籠っておらず単調。ある一種の恐怖であった。

「ああ、六十年だ。弟子になって我の仕事を見てそれなりに経ち、それなりに記録することについて教えたが、やり方は教えていない。桃。主は神でありながら天狗であった。それの罪を深く重く思え。地獄へ送った記録帳は回収できるが、書き直せん。なぜなら、文書は提出とともに情報流出防止のために消えるからじゃ。送らなければ、書き直すこともできたかもしれぬのにな」

 そう言い残すと、最後まで冷徹な声と表情で言葉を切り、音もなく桃の左側を通って廊下を進み、またいつもの縁側へと過ぎ去っていった。

 頭を整理し、桃が謝るために縁側へ向かうと白仙は文書をしたためていた。目を凝らしてみると地獄宛に書かれた謝罪文。

 桃は筆を進める、白仙に近づき正座で深々と頭を下げる。

「白仙さま。この度は本当に申し訳ございませんでした。天狗であった自分を戒め、これからはこのようなことがないようにしたいと思っておりますので、お許しくださいませ」

 すると、白仙の筆が止まった。その時、顔を上げればいつぞやの弟子にする少し前の白仙の優しい顔があると思った。

 しかしそれはただの願望であった。

 顔を合わせずに、筆を置いた手を胸に入れ、一つの紙を取り出す白仙に、桃は心から悲しみにあふれ、顔も涙が伝い呆然とした表情に差し出された紙を受け取る。

「あるところに一人の少年がいた。彼は問題を起こして上の人間に怒られた。彼は謝罪を述べたが、許されなかった。上の人間は謝罪する少年に一言。謝るべきことがあるはずだと、謝罪に来ていた少年を返した。そして、何かと理由を考えては謝罪に来る少年に毎回、違う。やそういうことを謝ってほしいわけではないといい、返し続けた。やがて彼は答えを見つけれず、その答えが分からない状況から逃げ出してしまった。あれは、何が謝罪の正解だったんじゃろうな」

 桃は渡された紙の大きく書かれた破門状の三文字は幾度となく滲み、師匠の白仙の言葉も途切れ途切れに聞こえたいた。

 そして数分桃のすすり泣く声の後、白仙は墨のついた筆を持ち桃の目の前に穂先を向ける。

「その答えは我でも分からない。そして、そんな難題を弟子にかける気はない。我は謝っても直らないことはあると思っておる。でも、これは謝って直るものである。つまりは・・・」

 筆が桃の目の前から遠ざかり、真下にあった破門状の三文字の「破」に穂が置かれる。

 そして、強く押し付けた後に破門状の上に大きく縦に線が入る。

「このことの後始末は・・・大変だが、やっておく。桃?我は主が好きじゃ。愛おしいほどにな。それでもやってしまったことに対しては怒らなければならない。だから、あんなこと言うたが本当の罰はこれからじゃ。記録するということの重要さをこれから身をもって知ってもらうことになるじゃろう。我は長く記録という役目を負って、一度も楽だと考えたこともないし、できるならばやりたくない仕事じゃ。それでも、主は我の門下に入った以上。避けられぬ宿命じゃ。しかと心に刻み付けておくのじゃな」

 いつの間にか、桃が顔を上げると白仙の顔は優しさに満ち溢れた、初めて会った時のようであった。そして何よりも、声がとても優しかった。

 そしてその最初の状況に酷似している現状。

 あの感情が消え去った白仙から出る言葉は、何よりも心にまず響く。辛いという感情を心の器をに溢れんばかりに注ぎ込みながら。

「我はこのまま神大衆の意向通り。嫌味ったらしく言うが、神大衆の考えの通り第八神衆を去り、第八の一神衆へ移る。が、長は我が決める。でなければ、桃と二人だけ残して第八神衆の破を使う」

「・・・勝手にしろ。わしを蹴った罪も上乗せして一生帰ってこれんようにしてやろう」

 砂をほろいながら立ち上がる天城が前に垂れ髪の隙間から目をのぞかせて脅しをかける。

「桃や。第八の記録は任せたぞ」

 天城を無視して、桃に向き直り言葉をかけた白仙の表情は至っていつもの優しい笑顔だったが、どこか悲しさを思わせる雰囲気をまとっていた。

「先輩・・・」

 桃もなにも声をかけることができなかった。二人の後ろでは天城が足早に文書を残して出ていこうとしていた。

「桃。しばしさよならじゃ。屋根裏部屋、使ってもええぞ?我だけの専用部屋じゃ。面白いかは知れぬが、記録について我なりにまとめた紙がある。力になるだろう」

「・・・・・・」

「さて、早めに行っといたほうがええかの?桃。泣いてる暇があるなら紫雲と青雲を持ってきておいてくりゃれや」

「・・・分かりました」

 いつの間にか、過去のことを思い出していたせいも重なってか涙が数滴も足元に落ち、雫が木の上に乗っかっていた。

 それから、二本の紫雲。青雲と呼ばれた刀を手渡され、腰に下げ玄関先に立った白仙が、スッと振り向き桃と目を合わせる。

「桃・・・我はなぜこうして弟子が記録を取るという大役になるという光栄なことなのに、悔しさや悲しさがあふれてくるんじゃ?今もこうして桃を見て嬉しいはずなのに、悲しさが増してきておるんじゃ」

 先ほどの桃以上に涙を流す白仙に桃は、軽蔑的な目を送ることもせず白仙が気づいた時には、目の前に桃が抱き着いてきていた。

「先輩。先輩はあの日のこと覚えてますか?私を拾った時のことを」

「忘れもしないの。天界で類を見ない孤児なんて・・・見かけた瞬間には声をかけておった」

「先輩、最初に私のことを抱いたんですよ?あの時はまだ私より背が大きかったですし」

「そうじゃの。あと、主が成長し過ぎだけじゃ」

「うれしかったんです。悲しかった思いもあれでなくなってたんですよ」

「なんじゃ?それを我に返すと?」

「自己解釈で」

 そう桃が言うと、体を離した。

 白仙は内心、顔に出したいほど安心しきっていたのを感じていた。

 そしてそのまま、戸を開け外へ出る。その時、桃は玄関の外に出てまで見送ることなく、廊下で立って白仙の後姿を見送った。

「さて、行くかの。神衆総会でもっともブラックだと言われた第八の一神衆に」

 腰にある二つの刀に触れ、空を見上げる。空はまだ昼を過ぎたあたり。

「え。紐なしバンジー?」

「はい。神衆長にはあまりさせたくないんですけど、これ以外降りる方法がなくてですね・・・」

「・・・本気で言っておるのか?」

「はい。これまで三名の神衆員が降りていますがいずれもここから落下してますね」

 なぜ、こう天界という上空から下界となる管理下へ降りることになったかというと。

 白仙が家を出てから第八の一神衆へ来て数分のことである。

「お待ちしておりましたって!ええ!?」

「なんじゃ。人の顔を見るなり驚きおって」

「い、いえ。人事課が提出したのは一般の神衆員で、白仙さんのような長は呼んでないんですよ!」

 何やら手違いがあったようだが、処理されてしまった以上どうすることもできず職務に就くこととなった。

 そして、最初の仕事が言い渡された。

「ええ。今日はあの日です」

 顔見知った第八の一神衆長が重苦しく、全体へ告げると周りの顔色が悪くなってきた。

「彼が連絡を絶ってから一週間が経過してしまいました。これより第四回下界天罰者決定会を始めます」

「「はじ・・・めます」」

 長のその言葉に合わせはするが、心苦しそうであった。

「ええ。まず立候補者」

 その言葉に少しのざわつきと周囲を見回す神々。その姿は、誰かいないのかと探すようであった。

「立候補者は・・・いらっしゃいませんか」

 長が気を落とすように言う。その様子に白仙はある思いを行動に移した。

「我が天罰者?というものになろう。新米者じゃ。こき使ってくれて構わんぞ」

 手を上げ、至って普通に物申す白仙に集まる視線はまさしく奇怪なものを見る目。

 誰も声を出さず、静かで異様な空気が神衆の会議室内に漂った。

「なんじゃ?それに我がなろうと言うただけじゃ。はよその仕事を教え」

「いいんですか。白仙様」

「漣。我の性格を知っておる癖に言うのかや?」

 その白仙の言葉に漣と呼ばれた第八の一神衆長は小さくため息をつき、全体を見回したのちに彼の左手にいる紙とペンを手にした女性へ目線を送り、頷いた。

「バックアップは俺がやる。これから仕事の説明をするが、その前に現場へ行ってもらう。一の陣、用意せよ」

 ザっと前の方で軍隊のような敬礼をした音が聞こえ、複数の神が急ぎ足にばらけていった。

「白仙。用意ができるまで少し、話を聞きたい」

 いつの間にか周りにいた神々は自分の業務に戻ったようで、会議室には白仙と漣。そして漣の側近らしき女性だけとなっていた。

「ふ。話すほどのこともない。あいつがやったと言えばわかるのではないか?」

「・・・まさかお前の弟子が言っていたことが本当だったとはな」

「桃が?」

 いつの間に。と白仙は思った。なにせ家を出てここに来るまでで五分もなかった。それまでの間に桃が漣へ連絡を取る方法など、ほぼないに等しい。

 ただし、白仙には一つだけ可能なものがあると思っていた。それは、桃の特有の能力。風を司った神の中でも数少ない、風の寄神。と呼ばれる能力。それを持った桃ならば可能であったが、白仙が最後に見た風の寄神を使った桃の熟練度的に無理だと思った。

「知らなかったようだが、お前の弟子。頑張ったみたいだぞ?風の寄神を九千キロ近く離れたここに言伝(ことづて)を飛ばすなんて」

「・・・そうであったか。だがこれはこれだ。仕事を教えい」

「はあ。治らねーのかよその仕事バカは」

「?治すじゃと?無理難題であるし、我はあまり問題視していないのでな」

 ふと、漣と白仙の目が合った時、漣は疑問を覚えた。

 白仙は、もう神衆長ではないはずなのに、長の印である皿の上に浮かぶ月のようなマークは、はっきりと青い色の瞳の中に入っていた。

「おい」

 そう声をかけられ、ハッとした漣は焦って仕事の説明をすることにした。

 そして、あの時間へと戻り。

「用意ができました。漣様」

「ありがとう。さて、長話もここまでだ。頼んだぞ白仙」

「なにやら我はとんでもない仕事を請け負ったようじゃな」

 漣の部下につられるまま、定位置らしき場所に立たされる。

「さて、用意できました」

 その定位置から見えるのは、遥か彼方下にある地面と途切れた雲の端。

「ま、まさかここから落ちろと?」

「違いますよ?紐なしバンジーです!」

 張り切って言う、まだ子供の神が後ろから押そうと背中へ回る。

「ひ、紐なしバンジーじゃと!?」

「はい。せーの!紐なしー?」

 ドンっと後ろから押され、上空数千メートルからの紐なしバンジー開始である。

「うにゃぁーーーーーーーー!!!!」


 直後のその場に居合わせた神々。

「いやー。落ちましたね」

「ああ。さて、俺はバックアップに入るからそこ閉じとけよ?白仙なら上がりかねないからな」

「あいあいさー」

「よっしゃ。仕事すんぞー!」

「「おおー」」

 天罰者が正式に降りたことで、神衆内は一気に平穏ムードへと戻っていった。



 

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