これからもずっと......
「……という訳で航海をすることになったんだ」
フムフムとソフィアは頷いた。
「なるほど。そんな深い理由があったんですね」
「いやぁ、懐かしいね。お兄さん」
俺が話を終えると突如、一隻の金属でできた船がこちらに近づいてきた。
「この前は世話になったね! フランチェスコ海賊団。またまた参上!」
無人島で出会った海賊団か。性懲りも無く俺たちを追ってきたのか
「また、お前たちか……」
「前は面食らって負けてしまったが、改造に改造を重ねたこの海賊船でお前たちをギャフンと言わせてやるぜ!」
確か、ジェイだったか。海賊船を使って俺たちの船を攻撃してくるつもりらしい。俺は急いで操縦席に座った。
「デリートしましょう。船長」
ソフィアはとても物騒なことを言ってきた。無表情なのが逆に恐ろしいだが。
「ソフィア、私も手伝うよ!」
おお! 最強コンビ! この二人が入れば怖いものはないな。
「お、お前ら程々にな」
俺はむしろこの二人に戦いを挑んだフランチェスコ海賊団の方が気がかりになりそうだった。
「行くぞ! 野郎ども!」
フランチェスコが叫ぶと、いきなり砲弾をぶっ放してきた。
「くそ、いきなりかよ!」
俺は海賊船との距離をとった。
「任せてください。船長」
すると、ソフィアの両腕がキャノン砲に変形した。
「フルフレイムバースト」
無人島で見た時よりも一段と激しいビーミ砲がソフィアの両腕から同時に放たれた。砲弾とぶつかり、激しい爆風が生まれた。あまりの爆風の大きさに俺は思わず顔をしかめた。
「あ、あいつ! あいつは要注意だよ!」
フランチェスコはソフィアを警戒し始めた。
「お兄さん。奴らの船に乗り込みたいんだけど、何かいい方法はない?」
「はぁ? 無理だ。それに危険すぎる」
「先輩。私、飛行能力があるので、私に捕まっていただければ乗り込みすることができますよ」
「な、なんだと……」
俺はソフィアの初めて聞いた能力に驚愕した。
「それじゃ、お願い!」
スミスはソフィアの腰に捕まり、二人は空を飛んだ。ソフィアの足から炎が噴出していた。
「あ、あいつ! 飛んでるぞ!」
ジョーはソフィアが飛行している光景を見て驚いた。
二人は着陸し、フランチェスコ海賊船に乗り込み、十秒後には三人組と思われる叫び声が聞こえてきた。
「すみませんでしたぁ! ギャァ!」
「ゆ、許して……グフ」
「ちょ、ちょっと何するんだい! 辞めて! ストップ! ストップ!」
叫び声が聞こえた次の瞬間、フランチェスコ海賊団の船が爆発した。スミスとソフィアは爆風に飲み込まれる前に脱出していた。
「また負けたー!」「こいつら強すぎるー!」「覚えていろよー!」
三人は海の彼方へと飛んで行った。
ソフィアとスミスが船に戻ってきた。
「お疲れ様、二人とも」
俺はフランチェスコ海賊団を撃退した二人に労をねぎらった。
「いやー、余裕だったなぁ」
「あれくらい対処できなければ、クルー失格ですから」
「そ、そうか。お! あれを見ろ! 島が見えてきたな」
俺の視界の先に霧がかかっている一つの島が見えてきた。俺は島の方向を指差した。
「わー! 本当だ! 早く上陸しよう、お兄さん!」
「ああ、そうだな! あの島に乗り込むぞ!」
俺は船の速度を加速させた。思えば生き延びるために始めた航海だったが、後悔は何一つ無い。
これからもソフィアとそして、スミスと一緒に旅を続けていこう。