表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「初めまして、どちら様?」

 そうして、今日も僕は少女と出会う。


「初めまして、どちら様?」

「こんにちは。君の友達さ」


 ベッドに腰掛けている少女。僕の一番の友達である彼女は、施設のお医者様曰く、記憶をたった1日しか保てないという奇病を患っているそうだ。

 一年前出会って以来、その病気が治る兆しは全く見えていない。


「ごめんなさい。私、あなたのことを知らないわ」

「いいよ。でも僕は一年前、君と友達になった。昨日の君とも友達なれた。だから今日の君とも友達になりたいんだ」

「そう……昨日の私とは何をしたの?」

「ずっと話してた。君はとっても知りたがりだもの」

「聞きたいわ」

「うん、話そう」


 今日までのことをたくさん、たくさん話す。

 話して、話して、話して、話す。


「――と、こんなことがあったんだ」

「ふふ。それはとても面白そうね」

「うん、とても面白かったよ」

「羨ましいわ。その日の私が」

「僕は今日だって負けないくらい面白いよ」

「奇遇ね。私もだわ」


 時折そんなふうに感想を言い合って。

 そうして、そして――今日が終わりを迎える頃。


「ありがとう。今日はとっても楽しかったわ」

「僕もだ。ねぇ、明日も来ていいかな」

「絶対来て。絶対よ」

「うん、また明日」

「ええ、また明日」


 こうして、僕は昨日の少女に別れを告げた。

 そうして、僕は明日の少女と出会う。


「――初めまして。どちら様?」

「――こんにちは。君の友達さ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 僕からしたら彼女との関係についてはループしているようなものですね。 でも、彼女からしたら初対面という。 アレ? 少しうるっと来た。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ