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卑しい美しさ  作者: toru
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追憶

何が起こったって驚かない現代。離婚しようが毒を盛られようが子供が親を、親が子供を殺めたって昼ご飯を食べ終わるころにはもう何も残らない。夢や希望、感情すら失った若者はどこか理性的でスマートにふるまう様はやはり次世代のカタチなんだろうか?情報は親から子へ、子から孫へ、孫からひ孫へリレーのバトンのように大事に受け継がれて神秘的で理解できない伝わり方をしているかのように子は親を必ず超える。知ってか知らずか、なんの躊躇もなく惜しみもなくすべてを子どもに与えたい。砂漠に住むムレイワガネグモのメスは産んだ卵を食べようとする雄クモから必死で守り抜いた末に力尽き、子は母親を食べて成長するのだという。ヒトは脳を自慢する、ほかの生命体を寄せ付けない比類なき優れた脳だと。だれができる?ひとつまみほどの虫が決意した死、だれができる?歴史の中で蓄えた知識がヒトの遺産なら、それが感情を麻痺さる副作用にもなりえるんじゃないかって思うこともある。


その美しさに鼓舞されてる。

ひとつまみに程ない虫の見えない何かに正されて


人を殺めたことがある。自分の子を。

幸せになる資格なんてどこにもない。

あるのは苦しみと償いの刑期だけ。


醜いって感じたこと、美しいと感じること

生きてるって感じたこと


人はいつか死ぬ

必ず

明日かもしれないし、もしかしたら死なないかもしれない

一生このままこの世界で空気を吸って風を感じて、寒さに毛布にくるまって、暑さでエアコンの下に立ち尽くして

生きてるって感じて、そしてすぐまた忘れて…


自分が死ぬまでに何人に人が亡くなって、今もこんな時間にも世界のどこかでは生まれて失って

この忙しなく動く指、モニターに映し出されるドットを読み込んで映し出す目、考えてるんだか考えてないんだかわからないこのアタマ


もしかしたらこの時が永遠に続くような気がして。

白状ものは自分のことしか考えない。

そう、今この時も誰のことも考えてない。

なんか不思議で幸せなさみしいと感じたこの空間

焦燥に駆られて生きる意味を失ったこの空間

時がたてばそんな空間が愛しくなったりするんだって


でもあん時はそんな悠長なこと言ってられなかった。

喪失感と罪悪感とエグられた胸を抱え込みながら泣きすすることしかできなかったんだ

暗闇の中でじっと息を凝らして止まった時間、前世のように感じるくらい変わってしまった

ドラマみたく綺麗じゃない、でもドラマみたく綺麗でありたかった

どこかロマンチックでメトロな水面が映し出す光をふたりこうやって眺めながらこの時を感じていたかった。一生、幸せな時間がながれて現実なんてどっかに置いてきて。


今こうしてまたひとり。

幻影を追いかけるように巡らせて

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