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たいよう  作者: 会沢 翔
3/3

現在 夏

えー前回の投稿からだいぶ(覚えてない)経ちましたね。本当にすいませんでした。やっぱ僕に連載小説は難しいのかな?

ということで、時間はかかると思いますが、この話が完結しましたあかつきには、僕は少し小説から離れて詩を中心に書こうと思います。詩書くの、楽しいです笑

あと、冬の童話の作品はやはり投稿できそうにないですすいません。


長々と書いてしまいましたが、これからも応援よろしくお願いいたします。

では、お楽しみください。

 電車に揺られながら、沙苗(さなえ)は、外の景色を眺めている。素早く目の前を横切るその景色は、まるで時代の移り変わりを見ているような、そんな景色だった。沙苗はその景色が好きだった。

 やがてすると、車掌が、次の駅の名前を告げる。沙苗がその駅名を確認すると、「まだ降りる駅じゃない。」と、また外へと視線を変える。

 しばらく揺れていると、幼稚園児ほどの子が、書店の袋を持つ、母親であろう人と手を繋いでいるのが見えた。袋の大きさからすると、中に入っているのは恐らく絵本だろう。

 「絵本かぁ…」

と沙苗はつぶやいた。沙苗にとって絵本は、今も深く思い出に残る、そんな出来事のきっかけを生み出したものだった。




 3年前───




 街中を歩いているだけで、ひどく汗が体中から噴き出していた。拭えど拭えど、汗は出てくる一方だ。今年の夏は特に暑くなると、天気予報士は言っていた。去年も同じようなことを言っていた。日本はどんどん暑くなっていっている。日本に限ったわけではないが、暑がりの沙苗にとって、それはほとんど地獄のようなものだった。街を歩く人たちは、日差しを傘で避けたり、うちわで(あお)いだり、ささやかな抵抗をしているが、それじゃ、どうにもならない。

沙苗は、その暑さの中で、UV手袋をし、サングラスをかけ、日傘をさしていた。沙苗は肌が弱く、少しでも焼けると、焼けた部分が真っ赤になり、痛くてしょうがなくなるのだ。だからこうして、沙苗は、暑さよりも紫外線を優先しなければならない。


 本来の目的地は別だが、まだ時間にも余裕があり、少し暑すぎるため、沙苗は通りかかった書店へ入っていった。書店を選んだのは特に意味はない。ただ、外から見て、本を選ぶ人の表情が、涼しそうだと、感じたからである。


 書店の中は、冷房が効き、ふうっと一息ついてしまうような心地よさだった。入り口で一息つくわけにもいかないので、とりあえず沙苗は本を見て回ることにした。

 書店に行くと、沙苗は必ず人気小説家の作品を少し読んでいく。前に読んだページは大体記憶していて、その途中からいつも読み始める。記憶力は割とあるので、どういう話だったかは、覚えている。

 その小説の中に、「結婚」という言葉が、ちらほら出てくる。最近母の口からよく出てくる言葉だ。「もういい歳なんだから。」が彼女の口癖。いい歳といっても、まだ20代だし、仕事のほうも、なかなか上手くいっていて、恋人なんか作る暇もない。と、心の中で言い返している。母は、24歳で父と結婚したというのだから、そう言われるのも仕方がない。

 沙苗は今、とある食料品メーカーの営業で働いている。有名な子役が出演しているテレビCMが有名で、名前を聞けば誰もが頷くような、そんな企業に就職したのだ。そもそも大学時代に、就職先がなかなか見つからない中、それを祖父に相談すると、ここはどうだと紹介されたのがきっかけだった。理由を祖父に聞けば、友人が、その企業の重役らしい。コネだとか、そういったものは、沙苗は嫌いだった。だから沙苗は最初断ったが、祖父が強く推すので、その友人には教えないという条件で、面接を受けた。そして合格した。少し祖父を疑ったが、内定が決まったと祖父に伝えると、「そりゃあ、良かったのぅ。」と普段は聞けないような、嬉しそうな声で言ったので、聞かないことにした。

 就職後、職場はとても和やかで、上司も優しく、とてもいい会社に就職したと、沙苗は思った。就職して2年もたつと、仕事に慣れて、後輩もでき、さらに、小学校や中学校に出前授業をやりにいく仕事も任され、教師になりたかった沙苗にとっては最高の仕事だった。そのため、仕事に一途になって、気が付くと、恋人も作らないで26になってしまった。そのことを、母は心配しているようだ。

 気がつくと、10分以上その小説を読んでいたらしく、予定の時間はもうすぐになっていた。読み入ると、周りを気にしなくなるのは沙苗の悪い癖だ。そうやっていつも約束を忘れたりする。1度、仕事も遅れてしまったこともある。

 沙苗は、時計をちらりと見ると、「この章が終わったら行こう。」と読み続けた。まだその章は30ページ程ある。沙苗はそこそこ速読だが、それでも10分程度はかかるだろう。


 沙苗が予想していた通り10分ほどかかり、その章を読み終えた。まだ読みたいという気持ちを押し殺して、沙苗は本を閉じた。時計をちらりと確認すると、予定の時間まであと30分も無かった。少し急ごうと沙苗は書店を出ようとした。涼しい店内から蒸し暑い外へ出るのに少し抵抗があってか、入口のすぐそこにある新刊のコーナーに目移りしてしまった。そこには話題の映画の原作や、漫画の新刊が置かれていた。


 そこに一冊、沙苗が聞いたことも、見たこともない、ある絵本が置かれていた。作者の名前は、「きりはらしょうじろう」と子どもが読みやすいような、ひらがなで書かれていた。沙苗は、その名前がどこかで聞いたことがあるような気がして、その絵本を手に取った。少しまわりを見渡すと、1ページ目をめくり始めた。

To be continued …

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