ガラスの世界
車窓から、
ふと、見えた。
白、薄黄土、茶、灰、
乱立する四角い群れが一瞬、全て偽物のように見えたのだ。
それに伴い走っている車も、バイクも、人さえも、全て偽物のように見えてしまう。
まるで、窓をスクリーンにして、ジオラマの中を覗いているような……
………………あれ?
ならこの電車は何だろう?
私の乗っているこの電車は、一体どこを走っているのだろう。
模型の中を走っているなら、この電車も箱の中。
ならその電車に乗っている私は?
私は何?
おもちゃなのかな?
空から降ってくる無情の手を想像しながら、不安に私は心を震わせるのだ。