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プロローグ
「お前が最強の召喚獣か」
「はぁ?何言ってんの、このイケメン。顔はいいくせに頭は残念なの?」
「いけめん……?──シスル。もしやうまく制御できていないのか?言っていることは分かるが、時々分からぬ単語が混じる上に、命令を聞かぬぞ」
「解読は七割でございました故、多少は手綱が緩むことあるやもしれませぬ」
きんきらの髪をしたイケメンに、慇懃に答えたのはいかにも魔導師っぽいローブを着た若い男。イケメンは、髪と同じくらい派手な銀色に輝く鎧を着ている。コスプレ……と思いたいが、やたら緻密で重厚感あふれる感じが、本物だと言っていた。がっちゃがっちゃ動くたびに煩く音を立てているし。
「そうか。それなら仕方があるまい。だが、今ここにいる中ではお前が最大の能力の持ち主であるはず。何でも良い、早くあの魔物等を葬り去れ!」
イケメンに示された、得体の知れないうごうごとしたモノの山に、全力で叫んだ。
「あほかー!こちとら平凡な乙女なの!あんなもの倒せるわけないでしょ!私は召喚獣なんかじゃなーい!」