勇者より魔王様へ愛を込めて
あれから色々ありました。
魔法を覚えて、光の力も使いこなせるようになって、元の世界では信じられないような身体能力も手に入れて。
あらゆる戦闘術を学び、強い武器防具を揃えて、頼りになる仲間も出来て。
そして遂に、私はあの日目を奪われた、銀色の人の前に立っている。
唇が震える。
手が震える。
何もかも全て、今この瞬間の為に…………!!
「……シリウス・ロード・ベルテッセン」
落とした言葉は、思いの外空間に大きく響きました。
あの人が私を見て、そして静かに立ち上がる。
その姿を見ながら、私も聖剣を抜き放って構えます。
「私は勇者サクラ……サクラ・カミシマと申します」
声が震える。
これまでの戦いのせいで髪も肌もボロボロだし、修行で強くはなったけど女の子としては傷だらけ。
可愛く着飾ってもいないし、敵同士だし、第一印象なんて最悪でしょう。
だけど、それでも。
さあ、胸を張りましょう。
それでもこれが、私が決めた恋の形です。
「私と戦ってください、魔王……シリウス、さん」
す、と目を細めた魔王さんが、ゆるりと杖を構えました。
頑張って頑張って、此処まで来ました。
だけどまだまだ足りません。
さあ、もっともっと頑張りましょう。
この人をたった独りにせずに、世界を一つにする為に。
これでなんとか編集は纏められたと思います。