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危険なのは魔王より開発部長だったみたいです

作者: 猫パン
掲載日:2026/06/25

この話はご都合主義です!

深いことは気にせずにお読みください!


「さあ、魔王よ!覚悟を決めるがいい!!」



いよいよ、魔王との決戦。今まで使っていた短剣をしまい、奥の手として取っておいた聖剣を出す。アレンが緑色の光を纏った聖剣を構えると、辺りには緊張した空気が張り詰めた。



だが1人、その空気を無視し、今までも、そしてこれからもこの状態で聞くことがないだろう一言を放つ者がいた。



「…勇者アレンよ、その聖剣の説明書きは読んだのか?」


「……説明、書き??」


「ああ、その聖剣を抜き取った岩の裏に刻んであったであろう?」


「はは、何を言っているんだ。そんな分かりやすいハッタリに引っかかるわけないだろう。ここは魔王城の最奥の間。正々堂々勝負するべきだ。」


「いや…」


魔王が困惑した表情になる。


アレンはこの聖剣を『聖剣の刺さった岩』から抜き取ったとき一緒にいた仲間の方を振り返る。


「「「……」」」


「試しに剣にはまっている魔石を押して見てくれ。」


怪しみながらも聖剣にはまっている色とりどりの魔石のうち、黄色の魔石を押してみる。すると聖剣が黄色の光を纏うようになる。


そしてーー


『今日のラッキーカラーは…パッパカパーン!青です!青色の服や食べ物を選ぶようにするといいことがあるかも!?』


「あの…魔王…?」


「その中のどれかが戦闘モードらしいぞ。」


「これは魔王が作ったものでは?」


「いや、それを作ったのは魔王城開発部。今の開発部長は新しいことが好きで、変なものをたくさん作ってくるんだ……〈正直、魔王城の中で1番関わりたくない人ランキング〉1位に10年連続記録更新中だ。」


「逆にどうやったらそうなれるのか不思議です。」


「ああ、あいつに捕まると数時間に及ぶ発明品の紹介がついてくるからな」


「うわぁ…」


「魔王城の廊下を全て動く歩道にしたり…」


「それは便利そうですが」


「1mにつき1000円。」


「この広い魔王城で…」


「トランシーバー作ったり。」


「魔王城の中を行き来しなくて済みますね」


「毎回1時間に及ぶ発明品の紹介を聞かなければ使えないがな」


「あ…お疲れ様です…。で、戦闘モードは…」


「すまんが俺はあの岩に刺しただけで、説明書はあとから、開発部が「書いときました!」と言ってたやつでな…」


「じゃあいろいろやってみましょう!」


『今日のおすすめ献立は……ハンバーグです!中にチーズを入れるとなおいいかも!作ったものを開発部当てに送ると、感想が返ってくるよ!ぜひやってみてね!!』


『今日のおすすめのおやつは焼き菓子セット!魔王城オンラインの焼き菓子の詰め合わせ5万円分だと好きな組み合わせにできるのでおすすめ!』


『この機能を使うには会員登録が必要となります。ひと月5万円からになります。』


「いや、高っ!魔王さん、このお金はもしかしてあの開発部に行くんですか!?」

「残念だが、多分そうなる…」



やっと最後の紫のボタンを押す時が来た。でも、僕が最初に剣を構えた時より緊張感があるのはいかがなものか。


『戦闘モードです。会員登録をして、さらに95万円払い、プレミアム会員になった方、または会員登録をして、10時間お待ちいただければご利用できます。』


「5万円+10時間か100万円か…」

「待ってもいいぞ。俺もあの開発部長の懐に金がザックザクと入ってくのは正直すごく悔しいからな!」

「じゃあ待ってもらえますか?」

「ああ、でも10時間となると暇だな。」

「そうですね、あ、こんな広い魔王城ですからトランプやボードゲームのひとつやふたつあるんじゃないですか?」

「確か…あ。」

「どうしました?無いなら別の遊びでもいいですけど。」

「いや、あるんだ。あるにはあるが場所が場所でな……」


魔王はしばらく迷うと、決心をしたように言った。


「遊びがあるのは…開発部だ。」


あの、開発部長が新しいもの好きでよく変なものを作ってくるというあの開発部。


「なるほど、でも10時間の暇には耐えられません。」

「同感だ。」

「「いざ、あの開発部へ!!」」




開発部の部屋に入ると、リスと開発部長という名札を下げた女の人が何やら話していた。


「開発部長さん〜!『計算が早くなるけどゾウになる薬』と間違えて『計算が遅くなってリスになる薬』を飲んじゃいました!」


「大丈夫、明後日には人間に戻れるわよ。でもいい間違いをしたわね!それ飲んでくれる人いなくて実験結果なかったのよ〜」


「わかりました…」


「あら〜?魔王じゃない。あっ、わかったわ!さっき勇者パーティーが攻めてきたから魔王軍の4大将軍を吹き飛ばした爆弾を取りに来たのね!」

「こんにちはー、勇者のアレンです。」

「ぎゃー!!爆弾早く探さないと!」

「やめてください…さっきあなたの聖剣のせいで僕のお財布が大打撃を受けたんです。お詫びの品なら貰いますよ?」


「はー、びっくりした。でも、さっき私のところに5万円が舞い落ちてきたのはアレンのおかげなのね。早速、ネットスーパーで焼き菓子の詰め合わせを買ったの。届くのが楽しみだわ。」

「開発部長…今回はカードゲームかボードゲームを取りに来たんだ。」


「まあ〜!!私の新しい発明を自ら取りに来てくれるなんて!魔王もやっと私の開発の良さが分かるようになったのね!?長かったわぁ〜。せっかくだし、アレンも一緒に新しい発明品の説明聞いてって!今ならお得、10万円で売ってあげても宜しくてよ?」


「遠慮しときます。買ったあとも課金しないと使い物にならなそうなので。」


「残念だわ。魔王は買ってってくれるわよね?ね?ねぇ?」

「あ、ああ。もちろん…」


「お買上げありがとうございま〜す!ごほん、では早速、これから魔王城開発部、部長の発明品の紹介を始めます!!

エントリーNo.1アイデアくん!アイデアくんはいいアイデアを1回につき1万円で考えてくれます!」


「タッカーイ」

「ウレナサソウー」


「棒読みやめなさい!

では魔王から1万円を貰って試してみましょう〜!さぁくださいな?」


「痛い…ああ、さらば我の1万円…」


「ご協力感謝しまーす。アイデアくんに1万円を入れてみると…

僕はアイデアくん!今回のアイデアは…魔王郡の軍服をピンクもリボンのかわいいをテーマにした軍服にすること!敵も可愛さで卒倒し、無血開城間違いなしだよ!

だそうです!やってみましょうか!」


「却下。」


「えー、デザイン案だけでも作ってみましょう!」


「やめとけ!!ほら、アレンも、勇者パーティーならわかるだろ?あのオークがかわいいリボンのちりばめられた軍服を来ているのを想像してみろ。」


「…っぷあはははははは、はー、笑いすぎて、お腹痛い…あはははは」


「おお!いい反応じゃないですか!?これは着させてみないと分かりませんね!魔王、開発部の予算舐めないでください、魔王城の予算の7割ですよ?だいたいのことはできますよ?」


「アレン…魔王軍を救ってくれ…!」


「俺は一応敵なんですが?」


そんな感じで3時間もの間、正座で発明品の説明を聞き続け、やっとトランプとチェスをゲットできた時にはもう足がしびれて、疲れて(特に精神的に)ゲームどころではなかった。


だが、2人は2つだけ学んだことがあった、それは

開発部長は棒読みに厳しくて、げんこつが意外と痛いということ。そしてこの開発部は魔王城の予算の7割を使っており、その予算で好き放題やって暴れまくっているということだ。

まとめると、魔王城の開発部(特に開発部長)がかなりヤバい。



「疲れました…」

「でも、苦労の末、やっと手に入れたゲームだ。やっとかないか?」

「賛成です!あの3時間を無駄にしたくないです!」


『あと、6時間30分で戦闘モードがご利用いただけます。』



「チェック」

「なかなかやるな?だかそう簡単にキングを渡すわけにはいかない」

「くっ!」


「チェックメイト!」


『残り、1分です』


一息ついている魔王と勇者の隣では勇者パーティーの仲間達が7回分のチェス&トランプ大会の結果表をホワイトボードに書き出している。ちなみにそのホワイトボードは開発部ではなく、魔王城の会議室から持ってきたものなので、安心して使える。


「ここまで長かったな……」

「ああ。じゃあ始めるか。最後の決戦を!」


2人は向き合い、剣を構える。しばらくの静寂のあと、魔王が最初の魔法を打ち、アレンがそれを聖剣で切る。


だいたい5分くらい戦っただろうか、まだまだ決着はつきそうもない。


「今日の戦闘モードは終わりです。明日の朝9時にリセットされるまでお待ちください。」


「え…」

「…制限時間付きかよ!?」


「ちょっと魔王〜!!そのアレンって子ともう戦わないで?アレンはね、開発者の素質があるわ!私の弟子にするから。」


「「は…?」」


「その聖剣は平和の聖剣。1日5分以上は戦わせないの。なかなかいい発明品でしょ?傑作なの。」


「いや、それって聖剣って言わないんじゃ…」


「まぁ、まぁ聖剣なんて置いといて、あなたは今日この瞬間から私の弟子になったわ。いろいろ伝授するからしっかり着いてきてね!」


「俺は開発者なんてなりませんが?」

「こいつは今から我と戦うはずだったのだが?」


「そう、仕方ないわね…奥の手を使いましょう。今、人材不足の開発部を救うのはあなたよ!アレン!」


変わり者の開発部長が取り出したのは薬…?


「これは、アレンをどんな攻撃からも防ぐ超有能な薬。そして攻撃が効かないだけで普通に生活できるの。さぁ、飲みなさい!」


口を閉じようとするも、投げられた薬が想像より速く、思わず飲み込んでしまった。


「あ…飲み込んじゃった…」


「これであなたの死に方は老衰で決定したわ!年になるまで好きなだけ開発できるわよ。最高ね!」


「殺されることはない…結構良いですね!」

「ア、アレン、我との決戦は…?」


「やってもいいですけど、俺死なないらしいですね?」

「……やめとこう。」



その後、アレン達勇者パーティーは魔王を倒さず、説得することで世界平和に貢献した英雄として、語り継がれましたとさ。





三年後の魔王城開発部ーー


「さぁ、アレン、魔王!今日はソングくんを作りましょう!!作り方は紙に書いてある通りに!」


「出来ました!聞いてください!

はやーく、終わりたい〜、この開発部〜♪」


「却下。やり直し。魔王は?」


「アレーン、頑張れ〜、開発部長に〜、たーちむーかえ♪」


ゴッツン


「「痛っ!」」


「はーい、では明日は魔王を一撃で殺れる聖剣作りです!!持ち物は私への差し入れの焼き菓子かハンバーグ。そしてアイデア案です。遅刻しないように!あと、アレンくんは開発部の会議があるので忘れずに出席してね〜」


「魔王さんも来ます?開発部会議。会議中にホワイトボードが勝手に動き出して、怪しいポーション進めて来ますけど。」


「…やめとこう。」


おしまい。



結構ハチャメチャな最後になってしまいました…

よろしければ評価、感想など、お願いしたいです!

お読み下さりありがとうございました!!

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