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普通に見えていた日常が、崩れた話

作者: 神谷透
掲載日:2026/04/06

あの頃は、普通だった。



何も問題はなかった。



知人の紹介で出会い、

すぐに付き合うことになった。



彼女は看護師として働いていた。



私は、まだ学生だった。




寮生活の話をよく聞いていた。



先輩の愚痴。



削られていく睡眠時間。



それでも、


どこにでもある日常だと思っていた。




やがて彼女は、


寮を出た。



病院指定のマンションで、


一人暮らしを始めた。



私は、よく泊まりに行った。




ある日、


様子がおかしかった。



声をかけても、


反応がない。



ぼんやりと、


一点を見つめている。




何度か呼びかけると、


ようやく返事が返ってきた。



「ごめん、なんか……」



いつも通りの声だった。




疲れているだけだと思った。




だが、


その“間”は増えていった。




夜、


一緒に寝ていたときだった。




彼女の体が、


突然震え始めた。




痙攣。



額には汗。




声をかけても、


届かない。




やがて、


目を開けた。




だが、


何かを掴むように、


手を動かしていた。




空中で、


何かを繰り返している。




理解できなかった。




数分後、


彼女は戻った。




何もなかったかのように。




そして、


何も覚えていなかった。




私は、


説明した。




彼女は、


受診した。




診断は、


てんかんだった。





それからが、


日常ではなくなった。




薬は合わなかった。




強い眠気。



仕事に支障が出る。




相談しても、


「様子を見る」の一点だった。




病院を変えても、


変わらなかった。




ある医師は言った。




「子どもは難しいかもしれません」




彼女は、


薬をやめた。




私は、


何も言えなかった。





それから、


発作は起きていない。





あのとき何が正しかったのか、


今でもわからない。




ただ、



普通だった日常は、


確かに崩れていた。




そして今は、


何も起きていない。



最後まで読んでいただきありがとうございます。


日常は、壊れるときも静かに崩れていくのだと感じています。


その違和感や関係性について、

Xで言語化しています。


X「こころの余白|無理しない人間関係」で発信しています


https://x.com/yohakumaind/

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