表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねぼすけ龍のダンジョン配信  作者: 干干照り


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/3

はいどらちゃんねる


ダンジョンには、二種類ある。

公営か、民営か。


そうなるまでに紆余曲折あったらしいけれど。要は御上が見るか、商人が見るかが違って、

とはいえ民間が参入したがるような、売り物になるようなダンジョンは一部に限られる。


しかし現実では、どんなダンジョンも、誰かが入場を管理する必要がある。いわばダンジョンは資源の採掘場。不法侵入して盗掘するものは許されない。


だからボク達の暮らす梓沢(あずさざわ)町みたいに、地方の山奥にできたところでも。お金にならないという理由で誰も手出ししたがらないとしても。


公営ダンジョンとして、人目を置くしかないのだ。

ここ、町の名前をそのまま冠する梓沢ダンジョンにも管理事務所は存在する。トモミはその管理事務所の職員だ。


「じゃあ開所準備するんで、アジサイさんは好きにしててください」


入場チェックのための機材点検やら何やらしているトモミにならい、ボクもボクで準備を進める。

とはいえ精々、使いたいものの充電が完了していればボクは大丈夫。だからあとは、トモミの準備姿を見て暇を潰す。

ふてぶてしい顔さえ見なければ、後ろ姿はたくましく健康的な若者だ。ボクが彼のお世話になる一、二年前にはどこかの都市の大規模ダンジョンにいたらしいけれど、詳しいことは知らない。島流し、という単語こそ浮かぶが本人には言えない。


「武器の準備はしたんですか」

「ばっちりばっちり」


万が一モンスターと遭遇したら、パンチをお見舞いする予定だ。

振り返った彼が、拳を天井にぐっと突き上げたボクの姿を視界に収めた瞬間、深いため息を着いた。



「それじゃあ気をつけて」


ボクの入場手続きをしてくれたトモミの激励の言葉を受け、入口の前に立つ。

ちょうど一人通れそうな、薄暗く、様々な色が飛び交う何か。周囲の景色を巻き込むように、捻じれた淵。

ダンジョンの入口、亜空間はいつ見ても不気味だ。


「苦手なんだよなー」

「壁に挟まれた感じがするとか、縄で締め付けられた感じがするとか、俺の知り合いも言ってましたね」

「あ、分かるかも。ボクは……針でチクチクされてる感じ?」

「貴女に通る針なんてあるんですか?」


予防摂取もできないのに、と嘆くトモミを見ているうちに気が紛れた。

何となく肩とか首とか回して、にっこり笑顔で今なら行けそうだ。


「それじゃあ、いってきまーす」


やっぱり刺々しい痛みを感じながら、ぐるりと表と裏が入れ替わるという有り得ない錯覚が襲ってくる。

いつも何秒もかかる気がするけれど、実際はまばたきをする間の出来事だと思う。


よく見慣れた梓沢ダンジョンの景色だ。

ダンジョン、といえば洞窟という印象が強いらしいし、実際そういうダンジョンも多い。ただ全部が全部そう、というわけではない。


梓沢ダンジョンの1Fは、高い空と緑豊かな野原。清々しい朝の始まりにふさわしい。頬を撫でる風はひんやりとしていて、森の中で浴びる風と全く変わらない心地良さだ。


持ち込んだドローンを組み立て、内蔵カメラの調子をチェック。スマートフォンとの連携は問題なく、脳波読み取りのアクセサリの調子も大丈夫そうだ。服に取り付けたマイクもいい感じ。

自分の容姿が映るように、ドローンを動かす。


桃色の髪がゆらゆらと振れる。水色の丸く大きな眼は、ボクのことながら今の時代にふさわしい美少女だ。


準備万端。配信開始、と念じれば、その脳波が無事に読み取られ、そのまま動画サイト上で、自分の配信がはじまったのが分かる。


「……よし、大丈夫」


始まる瞬間は静かだ。時刻はまだ朝六時半。それも平日の。SNSでも配信開始の告知をして、まもなく。


8Q_B:朝枠はじまってる!


「エイトさん、おはどらー。昨日朝枠来てくれるって言ってたもんね」


エイトさんは一番最初のチャンネル登録者。朝枠に来てくれることが多く、見に来てくれる時は一番に来てくれることが多い。


そして彼ないし彼女が来たあと、段々リスナーも増え始める。


鳥空大:おはどら〜

ラカスピン:おは

Seeeeen4:朝枠だ。おはどら。


ぽつぽつと他のリスナーさんも来てくれる。ボクのチャンネルに来てくれる人の顔ぶれは大体同じなので、自然名前も覚えてしまった。


「ぼちぼちみんなも来てくれたし、ダンジョン配信者はいどらの朝ダンジョン活配信第なんちゃら回はじめるよー」


ラカスピン:あいかわらずのふにゃふにゃ進行

砂一:初見です!どこのダンジョンですか?


「初見さんいらっしゃいー、場所はないしょ!住んでるところにいちばん近い小さなダンジョンだよ。薬草とか取ってまったり雑談するから、朝の準備のおともに良かったら見てってね」


8Q_B:はいどらちゃんの配信はエリクサー並に活力湧く


「いつも思うけどエリクサーってことは一回命落としてるよね?」


鳥空大:今日は採取依頼でてんの?


「そうそう、初級回復薬用の薬草を採る必要があるんだよね、採取ポイント移動しつつ雑談しようと思いまーす」


はいどらちゃんねる。

朝のまったり雑談配信と、たまのダンジョン攻略配信がメインコンテンツ。登録者数は現在39人。


この登録者数を100万人にするのがボクの目標だ。


ダンジョンから採れた豊富な資源から技術のブレイクスルーが起きている世界を想定してます


スマホと連携していれば、画面を映し出せる特殊なコンタクトレンズとか、脳波を読み取る小型アクセサリが実用化されて、簡単な操作ならショートカット的に登録してできる感じです

アジサイはコメント欄をコンタクトレンズで映し出して、視界の端で確認してます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ