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第九話:加護と適正

自分の実力不足ですが、文章にするのは難しいですね。


 魔王による特別教習を受講したわけだが、いかに自分が無知であるのか思い知らされた。


 この世界には魔法が存在し、魔術、精霊魔術、召喚術と様々なカテゴリーに分類されている。それらは全て魔力を基にしている。


 魔力には6つの属性があり、火、水、風、土、光、闇とある。


 属性は生まれた時に確定するので増える事はない。複数属性を持つのはレアであり、全属性持ちは魔王とモモノーラ様の加護持ちの俺しかいない。


 属性があってもなんの力もない。空の器に術を取り込む事で初めて使える。術が手に入るタイミングはさまざまで、初めから保持していたり、魔獣討伐時や精霊との契約などがある。因みに俺は空のままだと聞いて項垂れだ。サービス悪いぜ女神さんは。


 器の数は最大で3つ。

 モモノーラ様の加護持ちは6つ。

 属性毎に器があるので計36。

 魔王は言えないくらいあるらしく、チート野郎なのだ。そりゃ強いはずだよ。


 モモノーラ様の加護は他にも特典がある。

 ・魔獣討伐時に術を取り込むか選択可能。

 ・取得済の術を別の術に上書き可能。


 次はスキルについてだ。

 基本的には魔力とおなじでこちらにも器に技を取り込む必要がある。


 技は修練により身に付けた場合、ダンジョンの宝箱からたまに入っている技石を使った時、稀に戦闘中に閃く事もある。逆に技を消し去る技消石(ぎしょうせき)というのも存在する。消せる技は指定出来ず、ランダムとなる。


 技の器の数は魔術と同じ。

 魔王の加護持ちは五つ。


 魔王の加護は他にも特典がある。

 ・魔獣討伐時に技を取り込むか選択可能。

 ・一度訪れた街や城に転移できる。

 ・技消石で消す技を選択可能。


 以上が魔王から教わった内容である。



「メルレータ、シエルの基礎能力を上げる為に訓練が必要じゃ、頼めるか?」


 魔王が隣に控えていたメイドに指示を出した。


「承りました。(わたくし)めにお任せください、魔王様」


 丸い黒淵の眼鏡を掛けた薄紫色の髪色でおさげのメイドさん。真面目そうな人だな。見た目は人間ぽいけど、やはり悪魔なのかな?


「シエル様。メルレータと申します。これから(わたくし)と訓練するので付いてきて下さい。ラティフォリア様もご同行お願いします」


 両手でスカートの裾を軽く持ち上げて丁寧に挨拶された。教育が行き届いているのが、よく分かるね。


「メルレータさん、宜しくね」


 片手を軽く上げて挨拶を返した。

 感じがよさそうな人だから厳しい訓練にはならなさそうだな。安心した。


「ああ、メルレータ。私も同行しよう。シエルはエッチだからな、二人きりは危険だ」

「ちょ、ちょっとラティさん? 俺は紳士だ。変態紳士だ!」


 腰に手を当てた仁王立ちで、失礼な事を言ったラティに体を向けて堂々と言い放つ。


「変態の時点で問題ではないか! 何を言っておるのだお主は!」

「真に受けるなよ、ラティ。シエル流のジョークだから。ねえ、まーちゃん。まーちゃんなら分かるだろ?」

「シエルよ。魔王として部下を守るのも主の務めじゃ。モモノーラ様の加護持ちがエッチな真似などしないと信じとるが、万が一の場合は覚悟するとよい」


 魔王から本気で釘を刺された。

 そんな気無かったのに凹むわ。


「シエルよ、お前のためでもある。しっかり学んでくるのじゃ」

「分かったよ、まーちゃん」


 メルレータさんが魔王に一礼した後に謁見の間から退出した。


 ★★★


 案内された場所は体育館のような部屋だった。訓練と言ってたから体を動かすのは分かってたけど、周りには器材とか武器とか何もないただの部屋だ。


「先ずはお着替えからですね」


 メルレータさんが指をパチンと鳴らすと、身体に異変を感じた。ごわごわするな。


 状態を確認すると何か着せられている。


「さて、シエル様。あなた様に覚えて頂くのは身体強化魔術になります。魔力持ちならば誰でも取得可能で、空の器が無くても問題ありません。魔力を纏うだけで基礎能力を底上げします。錬度により上昇率は違いますが、強者で使えない者はいないと言いきれます」


「その前にちょっといいですか?」


「はい。疑問点があれば何でも仰って下さい」


「この着ぐるみは必要なの? 動きづらいから脱ぎたいんだけど」


 ラティはピンク色のウサギの着ぐるみ姿。似合ってるし、可愛い。


 俺は緑色で特徴のある水掻きが手足にあるのでカエルだろうな。どうせなら猫とかにして欲しかった。


「その着ぐるみは身体能力を低下させる効果がございます。ワザと動きを制限させる事で身体強化魔術を早く会得させる為になります」


 なるほど、着ぐるみにも意味があるのね。

 それならカエル以外にしてもらいたいな。


「メルレータさん、悪いけどカエルじゃなくて猫の着ぐるみない? 気分の問題だけどカエルはなんかさぁ……」


「駄目でございます」


 あっさりと却下された。解せぬ。


「どうしてさ? 訓練内容を聞くに何でもいいと思うけど」


「シエル、ワガママ言わずに素直に訓練を始めろ! シエルの為の訓練だと魔王様が仰っていたではないか!」


 俺の態度に業を煮やしたラティから苦言を呈されたけど、諦められない。


(わたくし)はカエルが嫌いです。見るのも触るのも無理でございます。堪えれません」


 メルレータさんが意味の分からない事を仰ってる。なら交換でいいじゃん。


「嫌いなら交換しようよ」


「……だからでございます。私はシエル様が大嫌いなのです」


 突然の大嫌い告白された。

 嫌われる事なんかしてないのに。

 していないよね?


「シエル様は魔王様と初めてお会いしたのにもかかわらず、昔からの友人のように振る舞われております。敬愛している魔王様のあのような楽しそうなお顔は初めて拝見しました。その点に関してはよくやりました。……ですが、私の魔王様にあの振る舞いは許せません。ああ、私の魔王様、私だけの魔王様…………好き♡」


 辛辣な言い方してたのに、魔王を語るときは恍惚な表情で悶えている。


 嫉妬で嫌われていたのか。

 どないせーちゅうねん!


「訓練はちゃんとしてくれるのだろうな?」


 逆恨みのシゴキなら洒落にならない。

 念を押しとかないと。



「魔王様に任されたのです。個人の感情など関係ありません」


 確かに魔王から依頼されてたな。

 なら安心だ。安心だよね?


「一時的とは言え、(わたくし)達は師弟関係です。試練を達成した暁には弟子として魔王様の私物をパクって、師匠である私に献上しなさい。何でも良いですが、は、ははは、肌着とかどうでしょう。べ、別に魔王様の匂いを嗅ぎたいからではありませんよ。私は変態ではありません。魔王様をお慕いしている普通のメイドです」


 あれ?

 ヤバイ気配しかしないのは俺だけ?

 教官が変態なんですけど。


読んで頂きありがとございます

次回も頑張ります。

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