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やり直しの第一歩  作者: 葵
9/13

第八歩 夢追う情熱

容赦のない斬撃が彼女に向かって放たれる。


彼女はその刃が視界に映り、何もかもがスローモーションに感じられる中で自分の運命を決定づけることを悟った。

突然のことに恐怖の魔の手が心に迫ってくる暇もなく、全ての世界の音が消え去ったようにさえ感じた。


今までの事を走馬灯のように思い出し、静かに目を閉じることしか、残された選択肢は絶望的だが他にはなかった。


そのまま、


凶刃によって彼女の身は裂け…………………


「ハァー――――ー!」


「ーーーーー!?」


突如、何者かが雷鳴すら置き去りにするほどの速度で命に届く刃を振り下ろそうとする男に接近し、


男の顔面めがけて、顔面が陥没するほどの可能性を秘めた拳が放たれて、盛大にぶっ飛ぶ。


それにより、後ちょっとの所で届いた刃は不発になった。


「おーい、大丈夫か。アンタ」


助けてくれた者をよく見てみると、それは店でいた男だった。予想外の人物に思わず彼女は息を呑んで驚いて、


 「な、なんで、あなたがここに…!?」


「いやそれは…」


        






            



               △▼△▼△▼△



俺達は店を後にした後、店で食欲に導かれるがままに食べ歩きしていた。


食べ物だが正直にいって、美味すぎる。食だけでいえば、地球よりも遥かにレベルが高いと思い知らされるほどに。


今食っている肉はまさに芸術の域。表面はこんがりと焼き上げられている。口に運ぶ瞬間、旨味が爆発し、深いコクと甘みが舌の上で踊りだす。

嚙みしめるたびに柔らかな肉の繊維が解け、口いっぱいに広がる豊かな味わいが、一口ごとに至福の瞬間をもたらした。


俺とファンタが笑顔でとろけながら食べていると、


――突然、どこからかある匂いが漂ってきて


「――――――チッ!」


俺は思わず顔をしかめて、舌打ちをする。


そんな幸せを打ち消すほどの匂いとは、


――血の匂いだった。そして、俺はこの匂いの元を知っている。


――あのチンピラのものだ


次の瞬間、何故か妙に胸騒ぎが酷くなって、

そのまま食うことを忘れて、大地を蹴り…


「――!?。ちょ、どこ行くんでヤンスか旦那!?」


俺は血の匂いがした方に飛び出していた。ファンタがいきなりのことに驚いて声をあげる。


「お前はついていなくていい。なんかやな予感がする。お前は出来ればここら辺にいる人たちを避難させといてくれ!」


そうして、俺は目的地に、一瞬で米粒にしか見えなくなるほどにまで速力を速くして向かった。




               △▼△▼△▼△





「――と、まぁこういう訳。悪いけどアンタには周りにいる人々の避難を手伝ってほしい。ギルドの人なら多分スムーズにいけるだろ」


「――助けはありがたいけど、私一人でも倒せるし、これは私の仕事だから大……」


会話している途中、突如投げられた六角手裏剣は彼女めがけて飛んでいく。

俺は反応できていない彼女の目の寸前で掴んで止めた。


遅れて、状況を理解した彼女は、話が途切れる。すると、表情に悔しさを溢れさせ、杖を自身の手が白くなるほど強く握る。

それを見て何か勘違いしているなと俺は思い、


「アンタ多分…自分が無力だとでも思ってんだろ」


「――――――ッ!」


図星をつかれ、彼女の顔が強張り、目が揺れた。

そのまま、俺は続ける


「アンタは無力じゃねぇよ。」


「ーーで、でも」


「力の強さは、戦いだけじゃねぇ。知力、財力、信頼力やら色々ある。街の人との信頼関係でいえばアンタは俺より強い。。だから、周りの人を守れるのはアンタしかいない。俺がこいつを倒す間、アンタはその力で皆を救え。それが今、アンタにしかできない戦い方だ。」


彼女は一瞬、呆然としてその言葉を受け止めていた。だか、驚きの表情が徐々に変わり、彼女の目には小さな光が宿り始める。


手にした杖を強く握りしめていたが、その力が緩み、白くなった指先から徐々に緊張が解けていく。

胸の奥からこみ上げる感情が、彼女の心に温かさをもたらした。


彼女は前を見据え、真剣な眼差しで答える。


「ーー分かった。私も頑張る。周りの人たちを守るために、私にできることを全力でやるわ。」


そう答え背を向け走りだそうとした瞬間、俺の方を振り返ってみて、ある質問をなげかける。


「あなた、何でそこまで命をかけるの?」


彼女は、首傾げて質問する。その表情には戸惑いの表情が浮かんでいた。そしてその姿は、相手を理解したいという強い慈愛の気持ちの表れのようにも見えた。


ーーまぁ、その質問をするのは当然だろう。

いきなり会った見ず知らずの男がいきなり助けにきて、いきなり命をかけるのだから。

その質問に答えるべく、俺は心臓に手をあてて、自分自身の心に問いかける。そして、ゆっくりと


「ロマンだよ」


「えっ?」


彼女は度肝を抜かれたかのように、驚きの表情を浮かべ、目を大きく見開く。


「ーー俺はさ、まぁまぁ萎える人生送っててさぁ。このまま一度しかない人生を終えていくんだってこの前までそう思ってた。――――だから、今ここで見過ごしたら、また同じことの繰り返しだ。ワクワクもしない、喜びもない、何の夢もない。そんなつまらない人生なんてもういらねぇ。俺には、"人生を楽しむ"っていうロマンがあるんだ。だからさ、これがその理由だよ。」


彼女は、その言葉を静かに聞き、ただ何も言わずに俺を見つめていた。まるで言葉の意味を噛みしめるかのように、彼女は一度息を飲み、眉がわずかに寄った。


俺の真剣な眼差しに、彼女は心の中で何かを感じたのだろう。静かに頷きながら、少し笑みを浮かべる。

その笑みには感動と理解の色が滲んでいた。

そして後ろを向き、


「ーーそれで理由で命を懸けられるなんて、本当にあなたは馬鹿みたいね。」


そう穏やかでどこか可笑しそうな口調で言い、路地裏を出ていった。

すると、吹っ飛ばした男が口元から血を垂らしながら、凍てつくような強烈な殺気を飛ばしてくる。


「あーあ、見逃しちゃった。」


そう彼は楽しそうに発言した。

怪我なんてないかのようにそのまま続けて、


「なぁ、お前さん知ってるか?」


男がまるで悪魔のような笑みを浮かべて、戦闘態勢に入る。

そのままさらに続けて


「腕に絶対って自信がある強いやつほど、負けた時に出てくる敗北の顔がまた…屈辱と後悔にまみれた何とも言えない良い顔をするんだ。

――なぁ、アンタはどんな顔をするんだ」


ほしいおもちゃを前にしてはしゃぐ子供のような男を、横目に、俺は服に手をいれ、特製の手首を覆うほどの長さの手袋を取り出す。


飛双家により造られた、特殊型手袋『双鋼』だ。

これは様々な金属の繊維を組み合わされて造られていて、マシンガンを喰らっても傷一つないほどの強度を誇る。

さらに、繊維が組み合わさっているため柔軟性にも富んでおり、拳の動作も問題なくすることが出来る、

俺愛用の武器だ


双鋼を手にはめ、隠していた兵器にも等しい程の殺気を放つ、


「――――――ッ!」



「I went to go」


俺はやる気を引き起こさせる魔法の言葉を呟いた。

そして、勇気を体現するかのように



 一歩を踏み出した――




   

(・∀・)イイネ!!などをよろしくお願いします!!

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