第五歩 那由多先にも通ずる出会い
「オラ、しっかりやれ」
店内が乱雑になってしまったことにより、店主は怒り狂い、今にでも襲いかかってきそうにこちら見て、
指示してくる。
どさくさに紛れて、いつでも逃げる気満々のファンタの首を掴みながら、気絶しているチンピラを横目に、涙目になりながら荒れた店内をしゃがみながら掃除していた。
(うぅ、人助けってこんなもんだったけ…)
軽く人助けがトラウマになりかけてながら掃除をしていると横から、
「う、うーん。こ、ここは?」
チンピラが目を覚まし、強く殴ったせいか何がなんだか分からない様子で辺りを見渡していた。
「やっと目覚ましやがったか」
俺が半ギレしながら喋りかけると、
俺の顔を見て思いだしたのだろうか?顔が凄い速度で青ざめていく。店主の方も見てみると、目線をより一層険しくさせていた。
すると命の危険を感じたのか、ニワトリが慌てて脱走
するかのように立ち上がって逃亡していく。
「二度と面見せんなでヤンス!後、手伝えー!」
ファンタの言葉での追撃も虚しく、慌てふためいて逃げていく。
(後で見つけて型はめてやる)
余りの理不尽に密かに胸に殺意を宿したその時だった。
突然、店の外から凛々しい大きな声が聞こえた。
「こんにちは、お馬鹿さん達」
目の前に現れたのは、人目見ただけで心を奪われるような美人そのものを体現した短髪の白髪の女性だった。
もしもだ、もしこの出会いに後悔をあげると
するならば…
――――チンピラが店を出るときに放っていた、狂悪な笑みに気付かなかったことだろう