第二歩 初めての出会い
「う〜ん、とはいってもどこに行きゃいいんだ?」
そこら辺で拾った木の棒を振り回し歩きながら、呟いた。かれこれ、1時間ぐらい歩いているが周りには街も見当たらない。周りに見えるのは変化もなく草原だ。
「漫画とかだとすぐに街が見つかる展開になってたっていうのによぉ」
一人で軽口をたたいていると、腹がぐぅ~と音をたてて鳴った。腹が、最大音で腹の減りを伝えているのが聞こえてきて、
周りをまた見渡して食べ物を探してみるが何もない。
(このままじゃ、飢餓がヤバいな。最悪は…)
ともっている木の枝をチラリと見た。唾をゴクリと飲みほす。
(いやいやいや、異世界来て初めての食事だぞ。もっと豪勢なものをじゃないと)
と先ほどの考えを捨てて、どうしようか思いながら丘を越えると、そこには辺り一帯に森が広がっていた
緑鮮やかで、生命力を感じずには入れられない程のしっかりとした森だ
「よーし!! 異世界初回の食事はサバイバル形式とするか!」
そう意気込んで、森に一歩一歩進んでいった
「わぁ!スッゲー!!!」
木々が作り出す美しくつくりあげられた、自然を見ながらそう思った。木々が一つ一つどっしりとしていて、それでいて木の細かい部分に色の鮮やかであることの良さを感じるのだ。
そうして森の中を散策していると、ふと思った。
――――地球の森もそうだったのだろうか?地球にいるときに、訓練で森でサバイバルをしたことが何回かあるが、そのときは、気分を良くしようとスッゲーやら言ってた気がするが、本心で凄いと思ったのはこれが初めてだった。
心に余裕があると、見える世界も変わるのだろうか…
そう思っていると、黄色の丸まった果物を見つけた。
見た限り、毒などを感じさせず、美味しそうである
(毒とかないよな…あってもある程度までなら、耐性はあるが…まぁ、何事も挑戦って多分偉い人も言ってたし)
偉人のことを信じ、心の中で決心する
そして、果物をとって、
「いっただっきまーーの前に!」
持っていた木の棒を振る、すると、何かに当たった音がする。
「矢かよ、あっぶーな!」
先ほどから、森に入ったときから、何者かにつけられていることは分かっていた。
敵意は感じたが、危害を加えられなければ、見逃そうと思っていたのだが…
「俺の食事の邪魔をした挙句、手まで出してきたんだ。命までは取らねぇが、痛い目見てもらうぞ」
そう気配のする方向に声をかけると、
すぐさま、複数の大木をへし折らんとするほどの勢いを持った矢が飛んでくる。
常人なら反応する間もなくやられてる…だか!
「ここにいるのは地球一強い男なんだよ!」
そう咆哮をあげ、そして、木の棒をもっていない右手で数本の矢を全部掴んでみせる
さらに、
「飛双式戦術 暴風の礫」
そう言い、俺は持っていた矢を投げる。
飛双家に伝わる戦闘術、飛双式戦術の一つである物を特殊な投げ方をすることにより、勢いを大砲以上のものにする技『暴風の礫』により、気配のする木以外の周りを全部削ってやった。
「これで逃げらんねぇな」
そう言うと、木の陰から、
「待っ…待ってでやんす。冗談…、冗談でヤンス」
すると、出っ歯が見える、いかにも脇役そうな小柄な男が慌てて出てきた。
「俺、冒険者に憧れて、故郷をでて旅をしていたんでヤンスが。そ、そ、その…金がなくなってきて、どうやって資金を集めようかと思いながら森を歩いてたらあん…だ、旦那を見つけてそれでちょいと気絶させて金目のものを奪おうかと……………」
俺の強さを見て、絶対に勝てないと思ったのか、膝をカクつかせながら、聞いてもいないことをベラベラしゃべりだした。
「な〜るほど。う〜ん」
「許してでヤンス〜〜、お願いでヤンス、殺さないでヤンスーー」
泣きながら、お願いをしてくる。その余りに哀れな姿を見て…
「わかった、わかった許してやるよ。てか、最初からこれ如きで殺す気なんてないし」
その言葉を聞いて、出っ歯な男は顔が急に晴れて、ご機嫌な様子になった。
「ただし!条件がある。」
それをきいて、また急に顔が絶望の底にまで落とされた
「じょ…じょ…条件とはなんでヤンスか」
「俺を街まで連れて行ってほしい。」
それを聞いて出っ歯な男は啞然とする
「そ、それでいいでヤンスか?」
俺が頷くと、出っ歯な男は安堵して、ガッツポーズをして、
「オラはファンタ、よろしくでヤンス旦那!」
そのキラめくような純粋な瞳でこちらを見て、そして手を前に出してくる。
そして、俺は
「よろしく、俺は俺は悠斗」
そう言い、前に出された手を掴んで、握手した。
(悪いやつじゃねぇんだろうな。攻撃加えられたのになんか憎めねぇし。)
そうファンタを見ながら思った
0話、1話を観てくれた方本当のホントにありがとうございます。ちなみに、悠斗はアメリカの軍隊と一人でやりあったら、苦労はしますが勝てます