春のささやき
視点:宮本華
春の日差しが聖心学園のキャンパスを照らし、生徒たちは授業に急いでいた。私は詩集に夢中になり、栗色の髪をポニーテールにし、鼻の上に少し傾いた眼鏡をかけて歩いていた。桜の花びらが私の周りに舞い降り、夢のような魔法の雰囲気を醸し出していた。
詩人の言葉に集中していたので、こちらに向かってくる人に気づかなかった。突然、私たちはぶつかり、私の本が地面に落ちた。目をぱちぱちさせながら、混乱したまま散らばったページに桜の花びらが混じるのを見た。
「ごめん、見えてなかったよ」と、温かく親切な声がした。
顔を上げると、生徒会長の高橋春斗がいた。カリスマ性と親切さで知られる春斗は、いつも周りの人を引き寄せるような光を放っているようだった。彼は微笑みながら私の本を拾ってくれ、その瞬間に私の頬は一気に熱くなった。
「ありがとう…」と呟き、彼が差し出した本を受け取った。
春斗はもう一度微笑み、歩き去っていった。私は立ち尽くし、胸の中で心臓が強く鼓動しているのを感じた。彼と話したことは一度もなかったが、その短い出会いは私に深い印象を残した。
一日中、春斗のことが頭から離れなかった。授業に集中しようとしても、あの桜の下での瞬間が何度も心によみがえった。彼の笑顔には、内側から温かさを感じさせる何かがあった。その感覚は完全には理解できなかった。
授業が終わった後、私は学校で一番好きな場所である図書館に避難した。新しい本を探している間も、頭の中では春斗のことがぐるぐる回っていた。どうしてあんなに完璧な人がいるのだろう?彼は親切で、頭が良く、いつも他人を助けようとしている。対して、私は人の代わりに本の方が好きなただの平凡な女の子だった。
しかし、運命は私に他の計画を用意していた。棚をめくっていると、近づく足音が聞こえた。振り向くと、驚いたことに春斗が友好的な笑顔でそこに立っていた。
「こんにちは、花だよね?」と彼が言い、彼の唇から私の名前が聞こえた瞬間、心が跳ね上がった。
「うん…どうして私の名前を知ってるの?」と、愚かな質問をしてしまったことを少し後悔しながら尋ねた。
「生徒会では君のことが知られているよ。いつも図書館や庭で読書しているのを見かけるんだ」と説明し、彼は笑顔を絶やさなかった。
顔がさらに赤くなった。観察されているとは知らなかったし、ましてや春斗が私の存在に気づいていたなんて。私たちはそこに立ち、本や詩について話し始めた。春斗は親切でカリスマ性があるだけでなく、情熱的な読書家でもあった。
言葉を交わすたびに、私たちの間に特別なつながりが生まれるのを感じた。それはまるで春の桜の魔法のように、私たちの心がその瞬間に出会う運命にあったかのようだった。
ついに帰る時間が来たとき、春斗は私を図書館の出口まで見送ってくれた。再び会うことを暗黙のうちに約束しながら別れを告げた。家に向かって歩いていると、何かが私の中で変わったことに気づいた。世界はもっと輝いていて、可能性に満ちているように感じた。
その夜、ベッドに横たわりながら、私たちの出会いのすべての詳細を思い出し、唇に微笑みが浮かんだ。知らないうちに、私は友情と愛の本当の意味を発見する道を歩み始めていた。そして、すべては桜の花が咲く下での偶然の出会いから始まったのだった。