表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/86

【 リハビリの日々 】


目覚めてから数カ月。

そうたは本格的なリハビリが始まった。



抗NMDA受容体抗体脳症。

リハビリには根気強く続けていくことが必要だった。


リハビリには歩行を含む身体的な訓練以外にも、社会生活に戻るための記憶や精神的な専門的トレーニング、コミュニケーションのトレーニングなども行われていた。




懸命にリハビリに励むそうた。


プロサッカー選手を目指し鍛え上げてきた体。

体力は落ちているものの、そのことが機能の回復を手伝っているのかもしれない、そうリハビリの担当の人たちは口を揃えた。





でも集中力がなく、思ったことをすぐ口にしたり、突然大きな声を出したり。

思うようにいかないとすぐ感情的になったり。


この頃のそうたは落ち着きのない子供のようだった。



気を紛らわそうとあの手この手で気を引こうとしたが手をつけられないくらい騒ぎ立てることもあった。





バンッ! バンッ! 

ガシャン! ガシャンっ! 


思い通りにいかない時、周りにあるものを叩いてはよく大きな音をたてるそうた。






でも一生懸命理解しようとしたり、我慢しようと頑張っているのだろう。


「ゔゔぅぅぅぅ……」

そんな時そうたはよく唸っていた。



そして無理に脳を動かそうとして疲れてしまうのか、そんな後はぐったりと横になることが多かった。





そうたは春花には特にわがままを言っていた。


「少しずつ回復していているってことだよね……」

春花は自分に言い聞かせるようにいつもそう口にした。



僕らが一緒にいられるのはお見舞いに来るわずかな時間だけ。

いつもそばで寄り添う春花や家族の苦労は僕らにはとても計り知れなかった。



そうたは僕らと同い年。

今年で二十歳。



痩せ細っていても背も大きく力も強い。

大の大人が子供のように暴れたらどれほどのものか。


そうたは身長も体格も僕とさほど変わらない。

体は大人、中身は子供。


病気によって急激に捻じ曲げられた時間軸が徐々に戻っていく。


そんな感覚だった。

ご覧いただきありがとうございます。

また、誤字報告をくださった皆さま、ありがとうございます。

ブックマークや評価、感想を頂けますと励みになりますので、どうぞよろしくお願いします.。.:*☆


次話 8月14日更新予定

隔週水曜日 お昼の12時更新予定です。


AR.冴羽ゆうきHPから "糸倉翔の撮った写真" としての冴羽ゆうきの写真も見られます!


HPからTwitter / Instagramへも!

ご興味のある方はぜひご覧ください☆


https://sites.google.com/view/saebayuuki/ 

コピペ願います!(AR.冴羽ゆうきHP にてHPを検索!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ