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【 桜の約束 】 

【 桜の約束 】


それは春花とそうたが大学の入学式を控えた春休みのことだった。


異常気象の影響でまだまだ寒い日が続いていた。

二人のお互いの大学は、なんとか自転車で行き来できるくらいの距離にあった。


初めての一人暮らし。

雪がチラつく中、二人はこれから始まる新生活に胸膨らませ新しく住むお互いの町を見て歩いていた。


「川沿いの桜並木なんて素敵だね。満開になったらきれいだろうなぁ」

二人で見つけた川沿いの桜並木。

蕾はまだ閉じていたが、お互いの町をつなぐように続く桜道を春花はすっかり気に入っていた。




「そう言えば春花、誕生日プレゼント何がいい? バイト代入ったから何でもいいぞ」

そうたは得意げに春花に言った。


「じゃぁ、桜! 可愛いのがいいな♪」

桜の花をモチーフにした小物を集めるのが大好きな春花。


「お前は本当に桜が好きだよな」

そうたはその予想通りの答えに笑っていた。




「ねぇ、そうちゃん、知ってる? 桜の花には魔法の力があるんだよ」

「桜に魔法?」

笑いながらネットに入れたサッカ―ボ―ルを蹴るそうた。


「桜の花には本当に魔法が掛かってるんだよ。手の中に満開の桜から花びらが舞い降りてきたら、その人の願いが叶うんだって」

桜の木を見上げながら嬉しそうに言う春花。


「じゃあ、花びらいっぱい拾って、いっぱい願い事すればいいじゃん。いっぱい叶うぞ――っ!」


「まったくもう。そうちゃんにはロマンってもんがないの? 地面についちゃったら、魔法は消えちゃうの!」


「じゃあ、空中キャッチだな! アタタタタ―――っ!」

そうたはそう言うとパンチを繰り出すようにチラつく雪をつかみ取った。


「もう、特別な一枚に決まってるでしょ! 想いをこめて手の中に桜が舞降りてくるのをじ――っと待つんだよ!」


「ふーん。待ってるだけなんて退屈だな」


顔をしかめるそうた。

チラつく雪が嫌に気になるのか、そうたは顔を振ったりキョロキョロしたり、パチンパチンと両手で雪を叩いていた。


「ところで春花、お前の願い事って何なんだよ」

「そ、それは、内緒だよ……。でも……、もし願い事が叶ったらその時はちゃんと教えるね」


目の前の雪を大げさに振り払うそうた。

春花はのん気に雪と戯れるそうたを愛しそうに見つめていた。


「そうちゃんは? そうちゃんなら何を願う?」 

「そんなん決まってるじゃん。プロになる! いっぱい願えば早くプロになれるかもしれないよな。春花、俺も桜に願掛けだ! 花びらいっぱいゲットゲットだぜぃ! ヒャッホ――――っ!!」


そうたは声高く叫ぶと、雪まみれになりながら大きく全身を震わせた。

それはゴ―ルを決めた時の喜びの舞い。


「ちょっとやめなよ。隠しても無駄だよ? 風邪気味なんでしょ? ひどくなっても知らないよ!」

いつもやせ我慢しようとするそうた。


調子が悪いのをごまかそうとしていたのだろうか。

心配する春花を尻目に、そうたはいつもより大げさに高すぎるほどのテンションで踊り続けていた。


「じゃあ約束ね。 桜が咲いたら二人で桜の花びらもらいに来ようね」

騒ぐそうたに呆れながらも、春花は幸せそうに笑っていた。


それはそうたが事故にあう、少し前のことだった。


ご覧いただきありがとうございます。

また、誤字報告をくださった皆さま、ありがとうございます。


ブックマークや評価、感想を頂けますと励みになりますので、どうぞよろしくお願いします.。.:*☆


次話【 彼女の想い 】 


毎週水曜日 お昼の12時更新予定です。


AR.冴羽ゆうきHPから "糸倉翔の撮った写真" としての冴羽ゆうきの写真も見られます!

HPからTwitter / Instagramへも!

ご興味のある方はぜひご覧ください☆


https://sites.google.com/view/saebayuuki/ 


コピペ願います!(AR.冴羽ゆうきHP にてHPを検索!)

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