表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/86

【 揺れる想い ① 】

急に教室を飛び出した山峰さんを僕と三田さんは慌てて追いかけた。



「はぁ、はぁ……、山峰さんっ、どこ行ったんだ」

「翔君……っ、こっちにも……いないっ」



僕らを追って井上と賢治も教室を飛び出して来ていた。


「おい翔、山峰はどうしたっ?」

「みんな待ってぇ〜。置いてかないでよぉ!」



「それがどこにもいないんだ」


「まさか外に出たんじゃねーだろうな」

井上の言葉に外を見るともう雪が降り始めていた。


山峰さんはコートもない薄着のまま。

この雪空の下、風邪を引くどころではすまないだろう。



「……っ、女子トイレも全部見たけど、……っ、どこにもいないのっ」

三田さんは泣きじゃくりながらしゃがみ込んだ。



「賢治、お前は三田さんのこと頼むっ」

「わかった。春花ちゃんのこと頼むね」


「わかった、大丈夫だ」

「翔、俺は寮の方見てくるな。二手に分かれよう」


三田さんと賢治をその場に残し、僕と井上は外へ出た。




迷わず図書館に向かった僕。

館内をくまなく探したが彼女の姿は見当たらない。

初めて山峰さんに遭遇したあの自習スペ―スにもいなかった。




彼女の携帯に電話してもメッセ―ジを送っても反応なし。

フェルマにも桜並木にもどこにもいなかった。



「どこにいるんだっ!」


気持ちだけが焦っていく。


慌てて飛び出してきたためコートもカバンも教室の中だ。


さすがの寒さに体が震え、徐々に指先がかじかんでいく。




いったい昨日、彼女に何があったんだ?



先生と話し合いに行ったのか?

先生との関係をはっきり否定した彼女。

でも一方的に彼女が先生のことを好きだとしたら?


考えれば考えるほど今にも頭がオ―バ―ヒ―トしそうになる。


「クソっ。春谷すのたにがあんなことさえ言わなければこんなことにはならなかったのに…」


放課後になれば山峰さんからゆっくり話が聞けるはずだったんだ。


込み上がる春谷への怒り。

追い詰められ涙を流す山峰さんの横顔が僕の脳裏に焼き付いて離れない。


彼女は今も泣いているに違いない。


「早く見つけなくちゃ…」

焦る気持ちを抑えて僕は必死に探し続けた。






「おい翔、どうだ? いたか?」

「ダメだ、いないっ」


こっちも空振りだ。病院の方探しに行くぞっ」

「そうだな」



合流した僕と井上は大学病院内を探し回った。

受付に外来、そしてそれは病棟を回りはじめた時だった。




「ねぇ吉田さん、すぐ須藤先生戻ってくると思うからそこのカルテ確認してもらっておいてくれる?」

「あ、これですね。わかりました」



後ろから聞こえた看護師さんの言葉に僕らは振り向いた。


「須藤先生……?」



それは春谷が教室で言っていた先生の名前。

確かに僕の耳には “須藤先生” と、そう聞こえたんだ。




ご覧いただきありがとうございます。

また、誤字報告をくださった皆さま、ありがとうございます。


ブックマークや評価、感想を頂けますと励みになりますので、どうぞよろしくお願いします.。.:*☆


次話【 揺れる思い ② 】 


毎週水曜日 お昼の12時更新予定です。


AR.冴羽ゆうきHPから "糸倉翔の撮った写真" としての冴羽ゆうきの写真も見られます!

HPからTwitter / Instagramへも!

ご興味のある方はぜひご覧ください☆


https://sites.google.com/view/saebayuuki/ 


コピペ願います!(AR.冴羽ゆうきHP にてHPを検索!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ