表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/86

【 言いがかり ② 】

「やることってなんだよ。山峰が不正したって言いたいのかよ。適当な事言ってんじゃね―ぞ」


興奮した井上はさらに声を荒げ、勢いよく春谷すのたにに近づいた。


「おい、井上落ち着けよ」

必死に二人の間に割って入った僕。



井上はいつもは冷静でこんな奴じゃない。

でも今にも殴り掛かりそうな勢いだった。



急に始まった言い合いに教室中がざわめいた。



「はんっ!」

春谷の見下すような目つき。

興奮する井上を見てあからさまに笑ったんだ。


さすがの僕も頭にカ―ッと血が上っていった。

苛立ちにゾワゾワと脳の表面にまで鳥肌が立つ。



「なに笑ってんだよ。根拠でもあんのかぁ?翔どけっ!」


興奮のあまり井上は止める僕を押しのけ、彼の胸ぐらを勢いよく掴んだんだ。


ガタガタンっ! 

ドンっ! 


ガタガタガタン! 


「うっ、いってぇ――っ」


僕は押しのけられた勢いで机に背中を強打。

背中に激しい痛みが走りその場に倒れこんだ。


「か、翔君、大丈夫?」

倒れた僕に駆け寄る山峰さん。


「大丈夫、大したことないよ」


彼女は不安げで今にも泣きそうな表情だった。




ひるむことなく言い続ける春谷。

「お前らが知らないね――だけだろっ。仲良しこよしが笑えるよなっ。みんな言ってるぞ。山峰そいつが内科の須藤先生とデキてるって。結婚の間近のイケメンドクターとな!」



「へ?」


僕らは、訳の分からない予想外の言葉に首を傾げた。

現実味のないその発言に僕らは拍子抜けしたんだ。



今日の授業は3週続く内科担当の基礎医学の授業。


婚約者がいるにもかかわらずその須藤先生と山峰さんが付き合っているとでもいうのだろうか。



どこから出た噂だろう。


現実味のない話だと思った。




「お前、何言ってんだ?」

井上は笑った。



「本当になんも知らねーんだな。俺、昨日の夜も見たんだよな。病院の中庭でそいつが須藤先生ともめてんの。先生と泣きながら抱き合ってるところをなっ」

自信満々にそう言った春谷。





でも山峰さんはそんな言葉に驚いて、うつむいたんだ。

それは明らかな動揺だった。




「え……?」

彼の言葉と彼女の反応に僕らは一瞬で硬直した。


「確かに。このテスト満点とかちょっとありえないよね……」

「嘘―っ、須藤先生って、先週来てたあのカッコイイ先生?」


どこからともなく、山峰さんを疑う声が教室中から聞こえ始めていた。




僕には須藤先生が内科のどの先生なの全くかわからなかった。


彼女が内科の先生と泣きながら抱き合ってた……?


結婚目前の、婚約者のいる先生と……?




呼吸が荒くなり彼女が肩で息をしているのは一目瞭然だった。


目の前の彼女の変化に僕の気持ちはぐらぐらと揺らいだんだ。




ドクドクと全身に強く鼓動が響く。




耐えるように、僕の腕を掴む彼女の手に、ギュ――ッと力が入っていく。


春谷の言い分が全くのデタラメでないことはすぐに察しがついた。



僕の心臓はますます大きく脈を打つ。


彼女は何も言わず、ただうつむいたまま……。




彼女の好きな人。



そういう複雑な理由だったから僕らに話せなかったのか?


ずっと好きだった幼馴染はこの大学の内科の先生? 



遠くにいるって言うのは……嘘?





会えないというのはそういう理由……?



一瞬のうちに色んな考えが頭を駆け巡った。






「春花、何があったの?」


三田さんが山峰さんの肩をゆすった。




「私……っ、先生とは……、そんな関係じゃない……」


ますます荒くなる彼女の呼吸。

首を横に振りながら、絞り出すような震えた声で彼女は言いがかりを否定した。




「じゃあ、昨日のあれは何なんだよ!」

強い口調でさらにまくし立て続ける春谷。




「……っ」


山峰さんはその突き刺さるような言い方に、言葉を詰まらせたんだ。

ご覧いただきありがとうございます。

また、誤字報告をくださった皆さま、ありがとうございます。


ブックマークや評価、感想を頂けますと励みになりますので、どうぞよろしくお願いします.。.:*☆


次話【 揺れる想い 】 


毎週水曜日 お昼の12時更新予定です。


AR.冴羽ゆうきHPから "糸倉翔の撮った写真" としての冴羽ゆうきの写真も見られます!

HPからTwitter / Instagramへも!

ご興味のある方はぜひご覧ください☆


https://sites.google.com/view/saebayuuki/ 


コピペ願います!(AR.冴羽ゆうきHP にてHPを検索!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ