表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/86

【 恋愛なんてくだらない 】

同級生の山峰春花。


僕は彼女に恋したことが嬉しかった。



” 恋愛なんてくだらない ”


人を信じては傷ついて、怒って泣いて感情をさらけ出す…。

そんな姿を人に見せるなんて格好悪い、僕はずっとそう思っていたんだ。


高校時代に砕け散った僕の淡い恋心。(※)

きっと知らず知らずのうちに臆病になっていたんだと思う。


山峰さんに恋していたことも怖がってどこかで気付かないふりをしていたのかもしれない。


ク―ルなふりをして人と距離を置く。

そうやって傷つかないように自分の気持ちをうまく隠して逃げていたんだと思う。


自分をさらけ出して、みんなでバカみたいに大騒ぎ。

本当になんて清々しんだろう。


空はいつもより青く広く、空気はとても美味く感じた。


こんなに楽しいのは一体いつぶりだ?




僕はきっと、今までにもたくさんの大切なことを取りこぼしてきたに違いなかった。



だってずっと一緒にいたはずなのにみんなのことを全然知らなかったんだ。


いつもだらしない賢治や麻雀三昧のあげく試験をたくさん落とす井上にも心底呆れていた。


医者を目指すための心構えができていない。

こいつら本当に医者を目指す気があるのか?


そんな風にも思っていた。



知ろうともせず人と距離を置いていた僕。

毎日一緒に授業を受けていたのに山峰さんのことにも全く気付かなった。


三田さんと賢治がこんなにも仲良しだったことも、井上に美鈴さんという彼女がいることも、真剣に二人の将来を考えていることも知らなかった。


みんなが教室で楽しそうに話しをしていても会話に入ろうとさえしなかった。


くだらない、面倒だと避けていたことが、大切な事だったんだと今さらながらに気付いたんだ。



例え授業で居眠りばかりしていても、試験をたくさん落としても、バカみたいに教室で騒いでいても…。

みんなの方がずっとずっと “人間らしい” 、そう思った。



誰よりも大人なつもりでいた僕。

‶ク―ルボ―イ″なんて言われて格好つけても自分が一番子供だったことに気が付かされた。



山峰さんがそばにいると僕の心臓は勝手に慌ただしくリズムを刻む。

いつもの平常心がどこかへ行ってしまうんだ。


隠そうとしても自然と溢れてはこぼれていく感情……。



君に恋をしたことで、僕は意味で気づかなかったたくさんのことに気がついたんだ。


(※第5話 【僕のパートナー】後半 ~ 第6話【初恋の傷跡】 ぜひご覧ください )


お読みいただきありがとうございます。

また、誤字報告をくださった皆さま、ありがとうございます。


ブックマークや評価、感想を頂けますと励みになりますので、どうぞよろしくお願いします.。.:*☆


次話【 みょうがの天ぷら 】 


毎週水曜日 お昼の12時更新予定です。


AR.冴羽ゆうきHP から "糸倉翔の撮った写真" としての冴羽ゆうきの写真も見られます!


HPからTwitter / Instagramへも!


ご興味のある方はぜひご覧ください☆


https://sites.google.com/view/saebayuuki/ (AR.冴羽ゆうきHP にてHPを検索!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ